数日がたった頃。
俺の携帯が、着信を知らせる。
ポケットの中から携帯を取り出し、点滅する文字を見る。
「え・・・」
思わず携帯を落としかける。
そこに浮かび上がっていた文字は、
「ミク・・・。」
小刻みに震える手をなんとか押さえ、画面を開く。
無機質な呼び出し音だけが俺の脳内を廻る。
恐る恐る、通話ボタンを押す。
「・・・もしもし。」
微かに声が震える。
数秒の間を置いて、その人物は口を開く。
「もしもし。鏡音レン君ですか?ふふ、驚きましたぁ?あ、もしかして、初音ミクちゃんから電話だと思っちゃった?残念!あたし、あなたのだぁい好きな初音ミクちゃんじゃありませんよぅ?」
聞き覚えのないその声と、特徴的なしゃべり方に思わず眉を潜める。
そもそも、なぜミクの携帯を持っているのか?
そんなことを知りもせず、女はしゃべり続ける。
「あ、なんであたしが初音ミクちゃんの携帯持ってるのか、気になりますぅ?それはですねぇ、あたしがぁ・・・、あ、これは秘密でした!危ない危ないっ!今日あなたに電話したのは、伝えたいことがあるからなのです!」
「・・・つーか・・・、誰だお前。」
イライラしながら、女に尋ねかける。
しかし女は、とぼけた様子で答える。
「あたし、ですかぁ?ううーん、名乗るほどのものじゃない!とでも言っておきましょう!これ、1回言ってみたかったんですよねぇ♪・・・あれっ、もしかして、怒ってます?やだぁ、カルシウム取ってますかぁ?」
電話を切ってやろうか、と思ったその時、急に電話の向こうの空気が変わる。
さっきまでの調子とは一転、女は真剣な声で言う。
「・・・もし、あなたが本当に初音ミクちゃんの死の真相を知りたいと思ってるなら。忠告しておくよ。やめておいた方が良い。」
「・・・は?」
「あたしは忠告したよ。あとはあなた次第。死の裏に隠された真相。暗闇に落ちた真実。それを知りたいのなら。それを知る覚悟が出来てるなら。あたしはもう止めないよ。」
冷や汗が、背中を伝う。
気持ちの悪いその感覚を振り払いたい衝動に駆られるが、女の言葉に取り憑かれたように体が動かない。
「・・・なぁ~んてっ!まぁ、知らない方が良いのは本当!じゃあっ、また電話するね?ばいばいっ!」
「ちょ、ま・・・っ」
俺の言葉は届かずに、ツー、ツー、という機械音にかき消された。
カイトからの電話がかかってくるまで、俺はじっと携帯を見つめていた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【第2話】 君の言葉と片羽のアゲハ。 【真実の裏にある暗い闇があなたを拒む】

あの女の正体は!?
カイトからの電話の内容とは!?

まぁ、続きます!

閲覧数:196

投稿日:2011/04/06 17:45:04

文字数:1,012文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました