6月ハーモニー 双子蜜柑 そのじゅ~いち



俺の携帯がメールを受け取ったので、誰からだ?と思い画面を見ると母さんからで

『リンに電話しようとか考えてんじゃねぇぞ?

それよりも何があったかワケをちゃんと話せ。あんな説明じゃなんにも分からん。母より』

俺は母さんからのメールを見て

これは…帰って説明したほうがいいな…

だから横でしゃがんでいるメグミに

「メグミ~いま母さんからメールが来て、さっきのリンのこと聞かれたから俺、帰るね~」

するとメグミは驚愕な顔して

「えっ!?え、え?マジ?マジで帰るの?だ、だってカラオケ…」

「ん~でもこうゆう時の母さんって、聞かれたことに答えないと滅茶苦茶

ブチ切れるんだもん…だから、カラオケはまた今度に行くべ?なっ?」

俺がそう言うと、メグミはさっきみたいにずーんと落ち込んで

「……分かったよ…レン君がそう言うのなら…はい…」

「どうしたのメグミ?そんなにカラオケに行きたかったの?」

メグミは少しだけ涙を浮かべた目で、俺をジト目で見上げながら

「レン君は…残酷だ…」

「えぇ!?何でよ!?俺なんかメグミに悪いことした!?」

メグミは俺とは反対の方に、ぷいっと顔を向けて不満たらたらな声で

「さっきだってさ~私とタケル君が付き合えばいいんじゃないとか言ってさ~

その前も急にゲーセンに行くの止めて、タケル君とバスケするって行ってさ~」

「うえぇ!?バスケのことはいいじゃん!?だってメグミだって俺が

聞いたらいいって言ってくれたじゃん!?なのに何で!?」

「まぁそりゃ確かに言ったけどさ~でも私とタケル君が付き合えばいいんじゃ

ない?ってのはさ~無いんじゃないかな~?」

「あれは…まぁ唐突にそう思って、口から出てしまったんです…すみません」

するとメグミは立ち上がって、俺の方を見ないで

「もういいです…帰ります…」

少しだけ拗ねた声でそう言い、帰ろうとしたので

「あ…うん…バイバ~イ」

その背中に手を振ると、メグミは振り返って怒るように

「バイバイじゃないよ!今は!今のは…!」

そう言って拗ねた顔をして俺を睨んできた

「え?え?なに?なんなの?」

「う~~!!もういいです!ホントに私は帰ります!バイバイ!」

メグミはまた俺に背中を向けて歩き出したので

「う、うん…バイバイ…また明日ね~?」

「うわぁー!レン君のお馬鹿さんー!!」

なぜかメグミは叫びながら走り去ってしまった

な、なんなのメグミ…?

ちょっとだけ俺はポカンとしてしまった



俺は、メグミはどうしたんだ?と考えながら家に帰った。

「ただいま~」

玄関のドアを開けるとリビングから母さんが出てきて

「おかえりなさい、可愛くない私の馬鹿息子」

「いきなり何だよ!?別に可愛く思われたくもねーし!そしてそんなに馬鹿じゃ

ありません!!ちょっと成績いい方ですー!!」

「うるさい、リンが寝てるんだから黙りなさい」

「母さんから振ってきたのに何ソレ!?横暴すぎ!!」

母さんにツッコんだ後、俺は靴を脱いで上がった

「それで早速だけど、メールで聞いたとおり何があったか教えてくれる?」

母さんがリビングに向かいながら聞いてきたので、俺は母さんを追いながら

「と言ってもメゾールで言った通りなんだけど…

店員のお姉さんの態度が急に変わって、それにリンはビビったんじゃないかと…」

「でもそれだけだったとしてもビビり過ぎでしょ?」

母さんはリビングの椅子に座り、横にあるソファを見てそう言った。

そのソファにはリンがぐ~ぐ~寝ていた。

俺は母さんの向かいに座って

「そう言っても分かりませんよ…リンがお姉さんに言われて服を脱いでる間、

俺とメグミは外で待ってたから2人がなに話したか分かんないよ…

あ、でもリンが店から出るときに、お姉さんがリンの耳元でなにか言ってた

と思うよ?さすがに何を言ってたかは聞き取れなかったんだけど…」

そういえばお姉さんに何か言われた瞬間のリンの顔は引きつってたな…

なに言われたんだ?もう来るなよ…みたいなことでも言われたのか?

「ふ~~ん、まぁその時に何か言われたって考えるのが妥当ね…」

母さんはそう言った後に立ち上がって

「レン、何か飲む?温かいアイスコーヒーでも入れよっか?」

「どっち!?冷たいの!?温かいの!?それとも間でぬるいの!?」

「じゃあ3時のオヤツでも食べる?カステラあるわよ?」

「か、母さんが始めてまともなこと言った…た、食べます…」

そう言うと母さんは台所に行って、上の棚を開けて

「なんかカビっぽいのが生えてるやつなんだけど…アンタなら平気よね?」

「ぜってー食わねぇーからな!!つーか、さっさと捨てろ!!」

「文句の多い子ねぇ~まぁいいや…それより今晩なに食べたい?

なんかリクエストでもある?毎日献立を考えるのメンド臭くてさ~」

母さんはシンクに手を添えて聞いてきたので

「え?え~っとじゃあ…さっきメンチカツパン食べたから、それ以外……

あ、オムライス食いたい!オムライスがいい!!」

昨日テレビで見たグルメ番組を思い出して言うと、母さんは頭に手を付け

「しまった~今日はちょうどスーパーでメンチカツが安いから、メンチに

しようと思ってたのよ~メンチカツでいい?」

「じゃあ聞くな!!それなら俺に聞くな!!オムライスがいい!!

卵がふんわりしたオムライスが食べたい!!オムライス作って!!」

「わがまま言うんじゃありません!!今日はメンチって決まってるの!!」

「だが断る!!俺は今日オムライスが食いたいんだ!!作れ!!」

俺の迫力に負けたのか、母さんは少しタジタジになり

「は、母親に命令するとはアンタも成長したわね……分かったわよ、アンタの

リクエスト通りオムライス作ってあげるわよ…デミソースのやつでね…」

「やり~」

リクエストが通ったことに俺が喜ぶと

「アンタのだけ、オムライスの中身を全部ピーマンにしてやる」

「それオムライスじゃないから!!ピーマン炒めの卵とじだから!!」

俺と母さんが話してる間もリンはずっと寝ていた。





視点変更 レン→リン



晩ご飯前になってようやく私は起きた。

ただ、まだ意識ははっきりとはしていなくて、まだ半分寝ている状態だ。

まだ目を開けることができず、耳だけが機能している。

そしてその耳に、男の子と女の人の話し声が聞こえてきた。

この声は…レンと……ママ…?

声の主が誰だか分かると、私の意識は少しだけ起きてきて

…のど渇いたな……

私がうっすらと目を開くと

「お?やっと起きたか~もう晩飯になるぞ~」

レンが私を覗き込むようにして話しかけてきたが

「…………」

私は何にも言えなかった

「母さ~ん、リンがやっと起きた~!」

「そう?じゃあもうご飯だから2人ともテーブルに着いて~」

レンが台所にいるお母さんに私が起きたことを言い

「もしもし?リンさ~ん?起きてますか~?」

私の顔の前で、レンが手を上下に振って意識がはっきりしてるかどうか確かめる

が、私は眠たさもあって感情の無い声で

「……私…なんでリビングで寝てるの……?」

周りを見て、自分がリビングのソファで寝ているのが分かった

「そりゃ、家まで走って帰ってきて疲れたからでしょ?」

ちなみに母さんは台所でジュージュー音を立てて、フライパンを回している。

私はゆっくりと体を起こして

「……走って帰って来た…?いつ…?」

はっきりしない頭では、レンの言葉を上手く飲み込むことができない。

「メゾールで服を見て、その後だから……2時ぐらい?」

2時…?2時だと、私達は…まだ映画館の中で…

「…2時だと…まだ映画を見てた……」

「は?お前まで寝ぼけてんのかよ…?いい加減に起きてくださいよ」

レンがそう言いながらの私の頭を叩いた、叩くとゆうか手を乗せられただけだ。

私はレンの手の平の感触でようやく意識がはっきりとして

「……?え?あれ?マックでご飯食べて……あれ?あれ?へ?」

私は壁の時計と俺を交互に見比べて、キョトンとした

ありゃ?なんでもう7時前になってんの?へ?なんで?

だって2時ぐらいなんじゃないの?だってレンが今2時って…

意識ははっきりとしているんだけど、頭が上手く働かなくて、自分の考えてる

ことに違和感を感じながらも、間違った答えを出してしまう。

「うん…マックで昼食って、メグミに会って服を見て、お前は店員のお姉さんに

恐怖を感じて、たまたま出会った母さんに抱きついて、その母さんを

引っ張って家まで走ってきたってワケ…分かった?」

レンが言ってくれたおかげで思い出したと言うより、イメージ映像が浮かんだ。

私とレンがメグミに会って、3人でショップに入って……

そこで私は完全に覚醒し、お姉さんの言葉を思い出した。

そ、そうだ…あのお姉さん……私のことを知ってた…

「…ぁ…あのお姉さん……」

「ま~だ恐怖を感じてんのか…こりゃ重症だな…」

レンがそう言いながら、困り顔で頭を掻いた

「2人とも~座りな~もうできた~」

お母さんが晩ご飯をテーブルに並べながら言ってくるが、私はそれどころじゃない

「だ、だってあのお姉さん、わわわ、私のこと、し、知ってたんだよ!?」

レンに私が何に恐怖を感じてるかを教えると

「は?なにリンのこと知ってるって?」

「そ、そのまんまの意味だよ!あ、あのお姉さん、私が子供のころ、髪が

長かったって知ってたし、私のフ、フルネーム言ったの!」

「お~い、リンちゃ~ん、レンく~ん座れ~」

会話をしている私達にお母さんが話しかけえるが、私達は聞こえてなかった

「は?え?髪が長かったって…え?いつ言われたの?」

レンも私が本気で言ってるのが分かってるのか、マジな顔になった

「最後よ!最後に私の耳元で、子供の時みたいに髪を伸ばして、この服を買いに

来てね?鏡音リンちゃんって言ったの!!」

あのお姉さんの最後の囁きを思い出して言うと

「はぁ!?あの時そんなこと言われてたの?なんか言われてると思ったけど…」

「そうよ!そう言われたの!」

私がそう言った瞬間、レンの顔が真っ青になった

「うわぁ~!?なにそれ?マジにあった恐い話じゃん!?」

レンは恐怖で自分の肩を抱いた

「早く座りなっての!さすがのお母さんも怒るよ!」

お母さんがテーブルに来ない私達に怒るが

「そうよ!だから私はあのお姉さんおかしいって言ったの!」

「うわぁー!!うわぁー!!怖ぇー!!」

「わ、私もうメゾールに行けないよ!!」

「俺だって行けないよ!!」

私達が恐怖で叫びあっていると、お母さんが来て

「そんなに怖いのか!?じゃあ忘れさせるから、さっさと座れ!!」

そう言いながら私とレンのおでこに強烈な打撃を叩き込んだ。

ゴゴン!!

瞬間、私とレンは気絶した

「ほ~ら、これで完璧に忘れたはずだ!だからさっさと座りなさい!!

今日はリンといえども、私をあんなに走らせたから許さないんだからね!!」

「「…………」」

しかし、私達は気絶しているので返事ができない

「ほらさっさと起きて座ってご飯食べなさい!!起きなさい!!」

パンパン!!

私達がお母さんにビンタされると

「「はっ!?」」

私達は起きた。ついでに何を話してたかを完全に忘れていた。

「あれ?痛ててて…なんかデコが痛い…」

「私も痛い……あれ?今なに話してたっけ?」

私の前にはおでこを抑えたレン。その横にはにっこりしてるがなんか怖いお母さん

「晩ご飯できたわよ?だから2人とも早く座ってね?」

「「は、はい…」」

笑顔のお母さんが妙に怖かったので、私達はお母さんの言葉に従った。

そしてお母さんはお父さんを呼んできて、4人で晩ご飯を食べ始めた。





晩ご飯を4人で食べてる時、私とレンは何を話していたか思い出せなかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 双子蜜柑 その11

6月ハーモニー 双子蜜柑 その11です

世にも奇妙な鏡音ママです。

閲覧数:53

投稿日:2012/08/29 23:42:25

文字数:5,034文字

カテゴリ:小説

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