マスターが家に帰らなくなって、1年が経つ。
「レン、レン。マスターは? ねえ、マスターは?」
家に帰らなくなって1週間くらいの頃は、たまに聞くくらいだった。
それが今では、四六時中聞いてくる。
リンの問いかけに、レンが答えたことは、1度もなかった。
「ますたー、ますたー、ますたー……」
ある日レンが目を覚ますと、リンは家中を荒らし、うわ言のように「マスター」と呟き続けていた。一瞬だけ見えたリンの目には、光などなかった。
見ていて悲しくなってくる。レンは、物が落ちる音が止まない中、リンから目を逸らした。
何分経っただろうか。不意に、窓が開く音がした。
レンが恐る恐るそちらを見ると、ベランダから下をのぞき込み、そこから落ちようとしているリンがいた。2人が住んでいるのは10階建てのマンションの8階。落ちたら確実に死ぬ。
レンは静かにリンの背後に行き、リンを抱きしめる。
「もう……マスターは……いないんだ……」
優しく包み込む程度だった抱きしめる力は、徐々に強くなっていく。
「ごめん……」
苦しむリンに対しかける言葉が見つからないレンは、意味もなく謝っていた。
その時だった。マスターがいなくなって初めて、リンが涙を流したのは。
これは、家族以上の存在を失った、ある少女の物語。
マスターのいない世界/鏡音リン
大筋を見ながら、「いやな予感がする……」と呟きました。
その予感は当たってくれちゃいました。あたらなくていいのに。
というわけで予想以上に短くなってしまった物語。
私の中でリンは元気な存在です。
ですが、やっぱりボカロにとって一番大切とも言えるマスターの存在がなくなったリンは、元気じゃなくなっちゃう感じで。
せめて消えた理由が分かれば話は別になるのかもですけどね……
この物語もレン視点と捉えようと思えば捉えられますが、とりあえずこれはリン視点です。
同じ時間のレン視点も書こうと思ってるので……
壊れてるリンっていうあれなので、リンの考え書いちゃったらぐちゃぐちゃになるかなぁって今思ったんですけどね(今かよ
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