照明や空調が復帰した。そう長い時間では無かったがやはりホッとする。
「あ、良かった~戻ったみたい。」
「この雷のせいかな?」
「台風来てるのか?」
「他の皆大丈夫だったのかな?ドア閉まっちゃったみたいだし。」
――ピンポーン…ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!
「わわわ?!誰?!誰?!はいはーい!」
忙しないチャイムにドアを開けると何故かクッションを持った浬音が立っていた。
「浬音?どうしたの?」
「…ルイさぁ~~~ん…。」
「どしたの?…って浬音ちゃん?」
真っ赤な顔で涙目になった浬音を取り敢えず部屋に入れた。何でクッションを持って来たかは本人もよく覚えてないらしい。チャイムの音と話し声で何故か他の皆も集まって来てしまった。
「何で皆来るのよ?狭い!」
「や、面白そうだったし、こいつは浬音絡みなら直行だしさ。」
「浬音さん?何があったんです?泣いてるだけでは判りませんよ。」
大勢になってしまったせいか浬音は益々萎縮して部屋の隅っこに縮こまってしまった。いけない、このままじゃ怯えさせてるだけだわ。集る人を少し散らせて話し掛けてみる。
「どうしたの?誰かに苛められた?それとも帽子屋さんと喧嘩でもしたの?」
「何だ、痴話喧嘩?」
「黙っててよ!無神経な!」
「浬音、首どうした?ここ。ゲルニカに噛まれたみたいな痕だな。」
「――っ!!」
ヨナの言葉に浬音は首筋を押さえて隠した。明らかに動揺したもんだから余計怪しいのがバレバレな訳で…。
「何隠した?見せろって。」
「やっ…!」
「クラム乱暴はするな。」
「そうよ、嫌がってるじゃない!…って、何これ?…歯型…?」
一瞬かなり微妙な空気が部屋に流れた。もしかして冗談抜きで痴話喧嘩?
「あいつが痕残したりするかねぇ?証拠とか一切残さないタイプに見えるけど。」
「あー判る判る、指紋すら拭きそう!」
「あんたらねぇ…。」
「これ誰に噛まれたの?」
一応聞いてみるけど真っ赤になって首をふるふると横に振る。
「浬音からウサギの匂いがするって、ゲルニカが言ってる。」
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「…………………………。」
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