「あいしてる。」

少年はそう言って、その手に握ったナイフを振り上げた。

愉しそうに。
哀しそうに。

その瞳が向けたのは、ただ純粋な「愛」。

そして今日も、その歪んだ愛を少女に向けるのだ。

少年らしい、ひたむきさと激しさを持って…。



少女の白い肌に、真っ赤な薔薇が咲く。

それは紛れもない「愛」の証…しかし、

激しい痛みを伴った紅は、確実に少女を蝕んでいった……。



「×××、」

少女の澄んだ瞳が少年を見据えた。

「愛してる」

微笑んだその表情は、ただ純粋に美しく、

そのまま少女は少年の唇を塞ぐ。


少年の手からナイフが滑り落ちた。

少女はそのナイフをそっと手に取り、そして――

少年の目が、一瞬大きく見開かれる。

「これからは、アタシだけを見て。」

少年の体が跳ねた。

力を失った少年の顔を見て、少女が首を傾げる。

不思議そうに。
不思議そうに。

「ねえ、どうして息をしてないの?」

少女が握ったナイフは、少年の背中を深く深く切り裂いて。

「ああ、わかったわ!」

少女が笑う。

「アタシがあなたに息をあげる。」

再び深く口づける少女は、

「これからはアタシ無しでは生きられないのよ、ね?」

その瞳は、


ただ純粋な「愛」に染まる。

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  • 非営利目的に限ります

【小説】二足歩行(歪解釈)


歪み解釈の二足歩行です。

閲覧数:321

投稿日:2011/04/12 21:25:26

文字数:552文字

カテゴリ:小説

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