昔々あるところにとても貧しい家に美しい少女がおりました
彼女の名はインゲルしかし彼女はうわべばかり気にする虚栄心の持ち主だったのです
「『美しいが貧しい家に見合った貧しい心の娘』と私の事を人は言うわ
でも心が貧しくてどこがいけないの?心なんて人には見えやしない
でもここにいるときっと私は錆ついてダメになる、こんな家早く出ていかなくては・・・・・・」
インゲルは教養や自分の美しさをどんどん磨き、さらに美しい娘へと成長していきました。
そんな彼女はやがて裕福な家に見初められ上流階級へ嫁いで行きました
きれいなドレスに豪華な食事、前とは考えられない優雅な暮らしです
「もう貧しい娘なんて言わせないわ、やはり美しいものにはそれなりの待遇がなくては」
インゲルの心は前にもましてどんどん貧しくなっていきます
一年も過ぎある日お屋敷の主人はインゲルに
「インゲルや、そろそろ父さんやお母さんに会いたいだろう このお土産を持って行っておいで」と促してきました
「はぃ・・・・・・(なんであんな家いちいち帰らなくてはいけないのかしら?)」
粗末な食事にぼろの服、インゲルはもうあの家には帰りたくはありませんでした。
しかし、自分を『貧しい』とっていた村人や家族に今の優雅な暮らしを見せつけるいい機会
「それではいってまいりますわ」
インゲルはどうしても自慢がしたくて主人から渡されたお土産のパンを持ち、馬車で出かけて行きました
しかしインゲルの住んでいた村は山の奥、馬車では途中までしか進めません少し待つようにと御者にお金を渡し、
インゲルが険しい森を進んでいくと家の近くで薪をしている母親をみつけました
同じ女性のはずなのに手入れの悪いぼさぼさの髪にぼろの服
「なんてけがらわしくていやしいのかしら?あんなのと同じ血が通っているなんて虫唾が走るわ」
インゲルはそのまま馬車まで引き返すことにしました。
帰り道、雨上がりに出来たぬかるみの前でインゲルは立ち止まります
「なんて今日は悪い日なのかしら、でもお気に入りのドレスと靴、汚したくないわ・・・・・・」
インゲルが悩んでいるとふと彼女の手にはインゲルの家族の為にご主人のお母様が一生懸命焼いてくださったふかふかのパン
「あぁこんなのあったかしらね」 ベシャっ!!
ためらいもなくインゲルはそのパンをぬかるみに放り投げ、容赦なくパンの上に足をのせます
ところが、その途端にパンはぬかるみの底へインゲルを乗せたまま沈み、二度と浮かび上がることはありませんでしたとさ
END
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