6月ハーモニー 双子蜜柑 そのさん



私が上りエスカレーターに乗って3階につくと、レンが待っててくれた

「レ~ン!お待たせ!待っててくれたの?ありがと~」

エスカレーター前のレンに駆け寄った

「ん~、じゃあゴドバシ行くか…」

そう言って家電量販店に向かうレン

そのレンの横に並び、私はいつも通りレンと手を繋いだ

「ゲームって何を買うの?こないだ買ってなかった?なのにもう買うの?」

レンの横顔を見ながら私が聞くと

「あれはモ○ハンでしょ?今日はポ○モン買うの。ほら、ちょっと前に

新しく黒と白が出たじゃん?ずっと買おうかどうか悩んでたんだけどさ~

今日バスケ部の友達がやってるの見て買うことにしたの。」

「ふ~ん。つーかバスケ部の友達…まだポ○モンやってたんだ…」

男の子はいつまで経ってもゲームやるよな~

お父さんも未だにス○ロボやってるし…卒業しないのかな?

「え~?おかしい?だって俺、こないだ電車の中でポ○モンをやってる

OLのお姉さん達を見かけたよ?2人とも22ぐらいだったかな?

あと、これも電車で見かけたんだけど、ポ○モンのストラップつけてる…確か

同い年ぐらいの女の子を見たよ?

意外とまだやってる人はいるんだって…そうだ、リンも一緒にまたやる?

2人で図鑑を完成させるか!俺は黒を買うからリンは白ね~」

勝手に決めるんじゃない。

「私はもういいよ…サファイアで卒業しました…

アドバンスは買ったけど、さすがにディーエスは買うほどじゃなかったし…

P○Pも持ってるけど、ボーカロイドのDIVAぐらいしかやらないし…

いつからかゲームに対しての興味が無くなってきたんだよ。」

小学校の頃は毎日みんなで集まってポ○モンやってたのになぁ…

それが段々とやらない子が出てきて、私も中2あたりからやらなくなった。

まぁ別に不思議な話じゃないし…

と思っていると、レンが信じられないとゆう顔をして立ち止まり

「そ、そんな…お、俺が知らない間にリンが変わってしまった…

な、何で…どうしてなんだよ?どうしてなんだよぉ…

俺達あんなに…あんなに(ポ○モンが)好きって言ってたじゃんかよぉ!!」

レンの叫びに周りの人達が立ち止まり

え?なに?別れ話してるの?こんなところで?と誤解し始めた。

変な風に言うんじゃないよ!

「な、なに言ってるのよレン!?つーか変に思われるからそうゆう風に

言わないでよ!(恋人だと)誤解されてるよ!!」

レンの肩を掴んで暴走してる馬鹿を止めようとするが

「事実じゃねぇか!!俺が好きだって言ったらリンも好きって言って…

誰よりも…みんなの中で誰よりも(図鑑集めの)いい関係だったじゃんかよ!!」

馬鹿は止まってくれなかった。

私とレンはポ○モンを買うとき、図鑑集めのため違う色のを買っていた。

私がサファイアならレンはルビー、と言った感じで…

周りの人達はレンの言葉に、あの年で深い関係に…と誤解してる

「ちょ!だからそんな言い方しないでってば!変に思われてるから止めて!!

私はもう(ポ○モンに)興味ないの!」

レンの口を塞ごうとするが、レンは私の手を掴み

「なぁリン、やり直そうぜ?俺達…今だったらやり直せると思うんだ…

今だったらまだ、リンが(ポ○モンと)別れてからそんなに時間経ってないし…

やり直そうぜ…いや、新しく(黒と白のポ○モンを)やり始めようぜ?

なっ?リン…俺は今でも好きなんだよ…リンはどう思ってるんだ?興味無い

って嘘だろ?本当はリンも今でも(ポ○モンのことが)好きって思ってるんだろ?」

なぜか少し悲しげに私に言ってきた

周りの人達は最初より増えて、あそこまで言ってるんだからやり直して

あげなよ…あ~あ、彼氏かわいそう…

あの子、今でも元カノが好きなんだ…うんうん、分かるよ…忘れられないよな…

彼女はなんで彼を捨てたの?私だったらあんな子と別れないよ…

他の子を好きになって別れたのかな?ヒッド~い…彼女サイテ~

レンに対しては同情。私に対しては非難の声が出ている。

だから別れ話じゃねぇーから!!ポ○モンのことですから!!

「ちょ!レンいい加減にしてよ!いい加減にしないと怒るよ!!周りに

誤解されてるからそうゆう言い方しないでってば!!

離…してよ!!私は(ディーエスも持って無いし)もう昔のようになれないの!!」

レンに掴まれてる手を振り払って叫ぶと、悲しげに驚いたレンが

「っ!!そんな…あんなに…あんなに2人で色んなトコ(ポ○モンセンターや

映画やスタンプラリー)に行ったのに!!2人であんなに楽しんで!想い合って!

(映画を見て)泣いたこともあったけど、あんなに…あんなに…想ったのに!

俺さ、リンと映画を見れて(映画で貰えるポ○モンが2つ手に入り)嬉しかった…

リンと大事にしていたものを交換した夜は…新しい感情を…知ったんだ…

今でも(通信してポ○モンが進化した)あの夜は忘れられない…

そんな風に…俺達…(色違いのソフトで)支えあう仲だったじゃねぇか…

俺の足りないところをお前が助ける…そんな仲だったじゃねぇか…

なのに…何でなんだよ?お前には分かってるんだろ?リン…

俺には…俺にはさ…お前が…リンが…」

レンは最後のほうでうつむいてしまった

周りの人達は、彼氏泣いてる…可哀想…彼女~ヨリ戻してあげなよ…

遠くから私に言ってくる

うつむいてるレンに私がいい加減にしろ!と怒ろうとしたら

レンがバッ!顔を上げて

「俺には(俺が黒を買って、そんで白を買う)お前が必要なんだよぉぉー!!」

大声で馬鹿な告白をしやがった

周りの人達も、特に女の子達が、キャァァー!!彼氏言ったぁぁー!!

告白したぁぁー!!言われてみてぇー!!

キャーキャー叫んでいる

「だからポ○モンとゆう主語を抜かして言うなぁぁぁー!!!」

私は叫んだレンに切れて顔面をバゴォ!っと殴った

「おぶぅ!!」

ゴッ!!ガッ!!ズシャァァァーー!!

レンは2回バウンドして3mぐらい滑った

「はぁ…はぁ…あんたは……あんたは馬鹿かっ!?ああん!?」

切れてる私と吹っ飛んだレンに周りの人達はかなり引いて

え?え?ポ○モン?ポ○モンの事を話してたの?

マジで?別れ話じゃなくてポ○モンのことであんなに語ってたの?マジで?

私は周りで見てる人達を睨んで

「ポ○モンのことを話してたの!!私とレンは双子なの!!姉弟なの!!

彼氏とかじゃねーからっ!!勘違いするな!!」

ひぃ!?す、すいませんでした…と周りの人達は逃げて行った

私はビクンビクンしてるレンに近づいて

「私を必要と言ってくれて嬉しかったよ?ありがとねレン」

超にっこり笑顔で言うと、震えてるレンが私を見上げて

「お、俺と一緒に…ポ、ポ○モンを…やろうぜ?」

「だが断る。」

レンの言葉に瞬時に無表情になり返事した



その後、2人でゴドバシに入ってゲームコーナーに行った

「顔面が痛い…」

自分の顔をさするレンに

「レンが悪いです。何で主語を抜かして話してたんですか?」

冷静な目で聞くと

「え?主語って?俺ちゃんとポ○モンって言ってなかった?」

「いえ、一言も言ってませんでした。」

完璧に勘違いされるように話してたとしか思えなかった

しかし、よくあそこまで主語のポ○モンを抜かせて話せたな…

「そうだったのか…でもだからって本気で殴るなよ…マジで痛いし…」

「だからレンが悪いと言っています。また殴られたいんですか?」

冷たい目をした私にレンはビクッ!と怯えた

「す、すいません…俺が悪かったです…今度から主語を抜かして話しません…」

「それで良し…あっ、あったよ。これでしょ?ポ○モンの黒」

ポ○モンの黒を手に取ってレンに渡すと

「おっ!これこれっ!よしっ!買うか!」

そう言って私達はレジに向かった

ピッ!

「4320円だよ~ん」

初対面なのに随分と親しげな店員だ…

「はい。」

レンは財布からお金を出して払った

「ありがとね~また来てね~」

店員のお姉さんはレジから離れる私達の背中に手を振った

嫌いじゃないな、こーゆー店員さん…



ゴドバシから出るとレンが

「じゃあ帰るか。」

買ったソフトを鞄に入れながら言った

「え~?もう?もうちょっとお店回ろうよ~」

レンの腕を掴んで揺らしながら言うが

「いま何時だと思ってんだよ?もうすぐ6時だぞ?帰らないと怒られる」

「え~?大丈夫だよ~ちょっと遅くなっても怒られないよ~?

だからもうちょっと回ろうよ~お願いレン~

あと一軒だけ!一軒だけでいいから!ねっ?お願いレン!」

2人でもうちょっと楽しみたいのよ~

でもレンはしかめっ面になって

「お前は怒られないけど、なぜか母さんは俺にだけ怒ってくるんだよ!

理不尽に俺にだけ怒ってくるんだよ!だからもう帰りますよ!

それに腹減ったから、もう飯食いたいの!」

レンがそう言いながらエスカレーターのほうに私の手をグイグイ引っ張るので、

私は負けずと踏みとどまり

「じゃあ私も一緒に怒られるから!だからあとちょっとだけ!

あとちょっとだけいいでしょ!?お願い!それに前から思ってたけど、

レンは買い物が早すぎるんだよ!なんでもっとお店を見て回って楽しもうとか

考えないの!?いっつも買ったらすぐに帰ろうって言ってさ~

もっと色々見て楽しまなきゃ駄目だよ!?損な買い方してるよ!?

そうだ!私がそうゆう買い物の楽しさを教えてあげるよ!だから、ねっ!?」

かなり無理がある説得をするが

「はいはい今度ね~、今度教えて下さい~じゃあ帰ろっか?」

レンは繋いでる手を離して、少し屈んで私の腰に手を回し、私を持ち上げた。

ヒョイ!

ちょうど真正面から腰に手を回されて上げられているので、レンの顔の位置が…

「ぎゃ~~!!なにすんじゃい!?止めてよ!下ろして~!!」

私は顔が真っ赤になって、胸の位置にあるレンの顔にそう言うと

「はいはい、いま下ろしてあげますからね~」

いつも通りの顔でそう言い、下りエスカレーターに乗って

「ほいっ、帰りますよ~」

下ろされた

「うわぁ~ん!レンの馬鹿~!!殺す!殺してやるー!!」

真っ赤な顔でレンに殴りかかるが

パシッ!パシッ!

両手を掴まれた

「こんな所で止めてくださいよリンさん…恥ずかしいじゃないですか…」

なに何でもないような顔して言ってんだ!?

「よ、よくも!よくも私の、む、胸に顔を埋めてそんな態度とれるな!?

こ、こんな…こんな所でよくも!どんだけ恥ずかしかったと…

私がどんだけ恥ずかしかったと思ってるんだーー!?」

ジタバタしながら叫ぶと

「大声で叫ぶなよ…つーか、こないだ映画を見て俺が泣いたときだって、

リンに抱きしめられて泣いたじゃん?何が気になんの?ほら、リンが恐い夢を

見て一緒に寝たときだって、抱きあっt…」

「それと今のは違うんだよー!!場所が違うんだよー!!

周りに人がいるんだよー!!気になるんだよー!!お前は馬鹿かぁー!?

つーか言うんじゃねぇよぉぉーー!!止めろぉぉー!!」

私の顔はさらに真っ赤になった

「だから叫ぶなって!みんなが見てるじゃん!ん?はは~ん、なるほど…

帰らないって言うならもっと言っちゃうよ~?ん~?」

ニヤリと意地悪な顔で言うレンに

「な、何よ?な、何を言おうってゆーのよ?」

「さっきの仕返しだ…こないだ~リンさんは~自分の部屋のぬいぐるみで~」

うげぇっ!!

「や、止めて!いや止めてくださいレンさん!!私が悪かったです!!

帰ります!!帰りますから言わないで!!それは言っちゃ駄目!!」

ずっと掴まれてる両手でレンの口を塞ごうとするが

「そうそう、それでいいんですよ~じゃあ帰りましょうか?

ポ○モンも買えたし、楽しかったですね~?ね?リンさん?」

私の抵抗も虚しく抑えられ、いい笑顔でそう言われたので

「せ、せめて…せめてクレープ屋にでも行きませんか?だって偶然に

会ってゴドバシで買い物しただけなんだよ?しかもレンだけ…

せっかく…せっかくメゾールに来てるんだから…ね?」

上目で弱々しく聞くが

「せっかくって…いや、こないだの日曜に来たじゃん…なに言ってんの?

つーかリンはさっき先輩とアイス食ったんでしょ?じゃあ駄目でしょ?」

正論で返してきた…

「違うの!学校帰りにメゾールに寄ってるのは久々でしょ?って言ってるのよ!

5月に2人で学校帰りに来たのが最後でしょ?

休みの日に来るのと、学校帰りに寄るのは意味が違うでしょって事なの!

なんで分かんないの!?全然違うんだよ!」

うまく言えないけど、雰囲気…いや、違うな…

学校帰りは放課後デート…みたいな…制服を着て来るのがいい…みたいな…

ともかく違うんだってば!!

するとレンは

「ふ~ん………帰るか…」

無情だった

「うわぁ~ん!レンの馬鹿~!!」





私達はエスカレーターから降りると真っ直ぐ出口に向かった。

私が抵抗しようとすると、また持ち上げるよ?と脅されたから。 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 双子蜜柑 その3

6月ハーモニー 双子蜜柑 その3です

これを書いていた時にポケットのモンスターのブラックとホワイトが

出たばっかのころだったのかな?

だいぶ前に書いたせいで忘れちまってるぜ…

閲覧数:71

投稿日:2012/08/29 22:38:50

文字数:5,529文字

カテゴリ:小説

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