僕は少し間を置いてから、リンに「隣いい?」と……なるべく震えそうになる声を抑えて、笑顔を作ってリンに聞いた。
リンは無言で僕が座れるスペースを作る。僕はそこに座った。
「…リン」
少しの気まずい沈黙の後、僕が口を開く。
リンは「…何?」とさっきと同じ返事を返してきた。
「髪……梳かそうか?」
僕は、リンのボサボサになった髪に視線を向けていった。リンは驚いたように鏡を見て、赤面する。
思わずプッと吹きだしてしまった。リンが赤い顔のまま頬を膨らませる。
「とうっ!」
リンはいきなり僕の顔に向かって枕を投げつけてきた。それは僕の顔に命中。
「…リン~?」
ひきつる僕の顔。リンは「べ~」と舌を出して、まるで鬼ごっこをするようにベットの上を逃げ回る。それを、僕は枕を手に追いかけた。
「あ…」
と、突然リンがシーツに引っかかってこけた。すぐ後ろに居た僕も将棋倒しの様にこける。
……理解に数秒かかった。
僕が、リンの上に覆いかぶさっている。
僕とリンの視線が合わさる。リンの顔がピンクに染まっていくのが分かった。近くで見ると余計、女の子らしい容姿になっているのが分かった。
でも……僕の中の「留め金」が、少し壊れかけている。
無意識に僕とリンの顔が近付く。
と。
トンッ、と軽く体が押された。
其処にはまだ赤味の残る顔で、僕から目をそらしていった。
「もー、何やってんのよ…」
何か、僕の心が軋んだ気がした。
僕達は見つめあう。お互いの間に少しの重苦しい沈黙が流れる。気まずくなった僕は、リンに背を向けて鏡台の前の椅子に手を掛けると、
「…座って」
とだけ言った。…僕は顔を見せるのが怖かっただけなのかもしれない。
少し間が空いて、「……うん」というリンの返事と、リンがベットから降りる微かな足音が聞こえた。リンの表情は生憎背を向けていては分からないけど、きっと悲しそうな顔をしているんだろう。
……そういえば、昔よく交代で髪をとかしてたなあ…
僕はそんな事をふと思い出していた。
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ブクマつながり
もっと見るシャッ、シャッ。
私のお気に入りの櫛が、私の髪を梳かす微かな音が聞こえた。
私は今、レンに髪を梳かしてもらっている。ボサボサだった髪が綺麗に纏まっていくのを、少し微笑んで見ていた。
パサリ、パサリと櫛で梳かして行く度肩に落ちる、金色と亜麻色の混ざった母譲りの独特な色の髪。
そういえば、私がレンと同じ...アドレサンス<自己解釈> *3(リン視点)
haruna
僕は、覚悟を決めた。
今日は盛大なパーティーが開かれた。特に誰の誕生日というわけではない。ただ、パーティー好きの両親が主催の、気まぐれのパーティーだ。
リンも僕と同じ事を思っていたらしく、会場を爛々と瞳を輝かせて見ていた。
でも…―僕等は「姉弟」だから。
リンが戻ってくる少し前、母さんに話を持ちかけ...アドレサンス<自己解釈> *1(レン視点)
haruna
ボーン…ボーン…ボーン……―
12時を告げる柱時計の音が、鳴った。
その時計のゆらゆら揺れる振り子は、まるで僕とリンの今の心情のようだった。
僕はそっと唇に触れる。まだ、ほんのり温かかった。
「……ねえ」
突然、リンが僕に話しかけてくる。
リンは、言葉を続ける。
「……ほんとに、行っちゃうの?」
「...アドレサンス<自己解釈> *4(レン視点)
haruna
「レン……?」
リンの僕の存在を確かめるような声が、遠くから聞こえた気がした。
トクン、トクン。
多分、僕もリンも鼓動がシンクロしているハズだ。
僕とリンの顔は間近に迫る。
リンの女の子らしくなった顔が間近に有るのが、もっと心拍数を上げた。
僕は、リンを押し倒している。
それは紛れもない事実……僕の...アドレサンス<自己解釈> *5(レン視点)
haruna
「レン……?」
心臓の音が大きすぎて、自分の声さえ遠くから聞こえる。
レンの顔が間近に有るのが、もっと心拍数を上げた。
私は、レンに押し倒されている。
それは紛れもない事実……私の心拍数を上げるのに十分な理由。
「……リン」
数秒経って、リンがゆっくりと唇を動かした。
自分と同じ、青い瞳で見詰め合う...アドレサンス<自己解釈> *5(リン視点)
haruna
「…」
私は、偶然聞いてしまった。
今日は家で盛大なパーティーが開かれた。それはパーティー好きの父と母が主催で行われていて、色々な人が来ていた。
豪華なドレスを着た大人たちや、普段の倍はある料理、いつもより光って見える大理石の床。全てが私にはまぶしく見えた。
今はもうパーティーは終了して、それぞれ帰...アドレサンス<自己解釈> *1(リン視点)
haruna
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