僕は、覚悟を決めた。
今日は盛大なパーティーが開かれた。特に誰の誕生日というわけではない。ただ、パーティー好きの両親が主催の、気まぐれのパーティーだ。
リンも僕と同じ事を思っていたらしく、会場を爛々と瞳を輝かせて見ていた。
でも…―僕等は「姉弟」だから。
リンが戻ってくる少し前、母さんに話を持ちかけた。
『リンと寝室を別にしてもいい?』
案の定、母さんは賛成してくれた。でも、僕だって覚悟していたけど、やっぱり辛かった。
今までずっと一緒だった。外見だって見分けもつかないくらい似ていて、よく入れ替わったりもしていた。小さい頃は服に男女の区別なんてあまりないし、髪型にも特に拘りは無かったから、少し髪を伸ばしたりもしていて、余計に僕達は「似ている」といわれた。
声も高くて、同じ音程。
手の大きさも同じ。
身長だって同じ―「だった」。
でも……
ある日、僕は気付いた。
「全てがずれている」
と。
あの幼い頃の様に「全てが」一緒じゃない。
顔立ちも、どこか似ていてどこか違う。なんか、昔より綺麗になって、女の子らしくなった。体系だって、リンの方が女の子らしい柔らかみも感じさせるようになった。手の大きさも。昔は一緒だったのに、今は僕の方が大きくて、リンの手の方が小さく感じた。声も、僕の方が低くなっていて。身長も、僕の方が高くなっていた。
目が合うと、慌てて目をそらして赤面してしまうようになった。昔は平気で顔面なんて近づけていたのに、今は一緒に寝る時もお互い背を向けて寝ていて。そして…―なんかドキドキして。正直、身が持たない。
だから母さんに提案したのだ。
母さんと話し終わった後、僕はドアノブに手を掛けて回した。でも「気付いて」しまった。
「…―レンのバカッ」
そう呟いた、リンの少し高い声が聞こえたから。
ギュッと、左胸の辺りに手を当てる。
チクリと、胸が痛んだ気がしてならなかった。
「リン」
僕はなるべくいつもと変わらない笑顔を装って、リンに声をかけた。リンは少しこっちを向いて、不機嫌そうに
「何?」
と返してきた。
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もっと見るシャッ、シャッ。
私のお気に入りの櫛が、私の髪を梳かす微かな音が聞こえた。
私は今、レンに髪を梳かしてもらっている。ボサボサだった髪が綺麗に纏まっていくのを、少し微笑んで見ていた。
パサリ、パサリと櫛で梳かして行く度肩に落ちる、金色と亜麻色の混ざった母譲りの独特な色の髪。
そういえば、私がレンと同じ...アドレサンス<自己解釈> *3(リン視点)
haruna
僕は少し間を置いてから、リンに「隣いい?」と……なるべく震えそうになる声を抑えて、笑顔を作ってリンに聞いた。
リンは無言で僕が座れるスペースを作る。僕はそこに座った。
「…リン」
少しの気まずい沈黙の後、僕が口を開く。
リンは「…何?」とさっきと同じ返事を返してきた。
「髪……梳かそうか?」
僕は、...アドレサンス<自己解釈> *2(レン視点)
haruna
ボーン…ボーン…ボーン……―
12時を告げる柱時計の音が、鳴った。
その時計のゆらゆら揺れる振り子は、まるで僕とリンの今の心情のようだった。
僕はそっと唇に触れる。まだ、ほんのり温かかった。
「……ねえ」
突然、リンが僕に話しかけてくる。
リンは、言葉を続ける。
「……ほんとに、行っちゃうの?」
「...アドレサンス<自己解釈> *4(レン視点)
haruna
「レン……?」
リンの僕の存在を確かめるような声が、遠くから聞こえた気がした。
トクン、トクン。
多分、僕もリンも鼓動がシンクロしているハズだ。
僕とリンの顔は間近に迫る。
リンの女の子らしくなった顔が間近に有るのが、もっと心拍数を上げた。
僕は、リンを押し倒している。
それは紛れもない事実……僕の...アドレサンス<自己解釈> *5(レン視点)
haruna
「レン……?」
心臓の音が大きすぎて、自分の声さえ遠くから聞こえる。
レンの顔が間近に有るのが、もっと心拍数を上げた。
私は、レンに押し倒されている。
それは紛れもない事実……私の心拍数を上げるのに十分な理由。
「……リン」
数秒経って、リンがゆっくりと唇を動かした。
自分と同じ、青い瞳で見詰め合う...アドレサンス<自己解釈> *5(リン視点)
haruna
「…」
私は、偶然聞いてしまった。
今日は家で盛大なパーティーが開かれた。それはパーティー好きの父と母が主催で行われていて、色々な人が来ていた。
豪華なドレスを着た大人たちや、普段の倍はある料理、いつもより光って見える大理石の床。全てが私にはまぶしく見えた。
今はもうパーティーは終了して、それぞれ帰...アドレサンス<自己解釈> *1(リン視点)
haruna
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