やっと、着いたんだ。
ここに。
ヘッドフォンから声はうんともすんとも聞こえないけど、きっとここに間違いない。
そして――私は目を疑った。
「素晴らしい、貴音! 今はエネと呼ぶべきかな?」
一番会いたくない、目を見たくもない人間の姿がそこにはあった。
白衣を着たそいつはニヒルな笑いを浮かべ、目の前の透明な壁を軽く叩いた。
「実験は成功と見てよろしいですかね。Mr.楯山?」
「……だな」
「では、これを」
隣にいた部下と思しき人間が何かを取り出した。
それは――おもちゃみたいな爆弾だった。
「見たまえ、エネ。これが――きみが生まれ、暮らし続けた街の姿だ」
その言葉を聞き、私は振り返った。
そこにあったのは、透明な壁に包まれた立方体だった。
しかも、今までいた人間は人形みたく、動いてはいなかった。
ここは……箱の中の世界?
箱庭?
燃え尽きていく街だったものをただ、呆然と見る耳元で――ヘッドフォンの向こうから、小さくすすり泣いているような声が聞こえた。
「ごめんね…… ごめんね……」
カゲロウプロジェクト The animation 第二話③
a headphone actorⅢ
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