関われないで過ぎていくのは
薄っぺらい恥ずかしいノートの横にある
丁寧に作られた素敵な物語ばかりで
幸せな世界まで表紙と数枚だけだ
例えばそこに僕のページを紛れさせ
じゃあ幸せなお話を味わったとして
どの展開にだって僕が触れることはない
文字も挿絵も後書きも変わらない
インクの匂いだけを移されてしまえば
ページを戻したノートでさえ居心地は悪くて
どこにも行き場がなくなってしまうだろう
僕は本棚から落ちてしまえば良い
繋がれないで朽ちていくのは
薄っとろい恥ずかしいノートの下にある
完璧にまとまった無敵の物語ばかりで
幸せな社会まで表紙と数ミリだけだ
もしもさそこに僕のページを挟んでさ
じゃあ楽しげなお話が賑わったとして
その本文にだって僕が記すことはない
紙もしおりも前書きも変わらない
ラベルのテープだけ剥がされてしまえば
ページが破れてホームでさえ居場所はなくて
どこにも逃げ場がなくなってしまうだろう
僕は誰からも気にされなければ良い
分かっているんだずっとずっと
未来はここに有るわけが無くて
悟っているんだずっとずっと
特別はここに待つだけ無駄だって
空を飛ぶ夢をチケット一枚に
君と歌う夢をスワイプ一回に
浅はかな笑い声の奥で泣いてる
ページはもう残っていないんだ
遠くに聞こえる祭り囃子のように
仮初めの祝福が孤独を煮詰めてく
近づいてはいけないとあれほどに
見つめてはいけないとあんなにも
インクの匂いだけを移されてしまえば
ページを戻したノートでさえ居心地は悪くて
どこにも行き場がなくなってしまうだろう
僕は本棚から落ちてしまえば良い
だから僕はその場で全部通り過ぎた
誰にも触れないように
時計にも気付かれないように
濁った泥水が澄むのを待つように
呼吸を忘れていたらいつしか
固く閉じた本になっていたんだ
きっと良く燃えるだろうから
暖まっていくといい
灰も煙も風で消えてくんだ
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