第11回目の講座はステレオ音場についてです。
前回の " MixTips #10 音圧と音質調整 " では触れませんでしたが、音場を広げることでも音圧を上げることができます。
ただ音圧が上がらない場合は、音場を広げるよりも先にミックス段階での定位を見直してみましょう。
では、今回は2通りの方法を解説していきたいと思います。
・イメージャー系プラグイン
最も手軽に試しやすいのがイメージャー系プラグインです。
『定位の位置をそのまま』にして音の広がりを出すことができます。
周波数の帯域ごとに設定できるタイプでは、低域の広がりを抑えて高域だけを広げるなど様々な広げ方ができます。
プラグインは一番最初にインサートします。
イメージャー系のプラグインの多くは位相をいじるので、位相ズレなどには注意しましょう。
・MS対応プラグイン(EQやコンプなど)
左右でMidとSideの信号に分けるタイプのプラグインです。
『Midの音量を抑えてSideの音量を上げる』ことでも広がりを出すことができます。
これは対応しているプラグインでないとできません。
今回は今までで解説してこなかったMidとSideの信号を対応プラグインなしで手動で分ける方法を解説したいと思います。
MidとL、R(Side)の3つを作っていきます。
- Mid -
・原理
モノラルで定位を真ん中にし、Mid成分を作ります。
・Midのつくり方
1. まずは2MIXのデータを用意し、DAWに読み込ませます。
2. 書き出し設定で『モノ』に設定し書き出します。
- Side -
・原理
位相反転を利用し、LとRの互いの余分な成分を打ち消し、Sideの成分を作ります。
・Side (L-R) のつくり方
3. 最初に読み込んだ2MIXを書き出し設定で『スプリット(スプリットモノ)』に設定し書き出します。(L,R)
4. 書き出したLとRを読み込み、『Rのみを位相反転』させます。(L,-R)
5. Lと位相反転したRを一緒に『モノ』で書き出しします。(L-R)
※スプリットとはLとRをそれぞれモノで書き出す設定です。
・Side (R-L) のつくり方
6. 5で書き出したモノを読み込ませます。(L-R)
7. 読み込ませた音声を『位相反転』させます。(-L+R)
8. 『モノ』で書き出しします。(R-L)
最後に揃った3つのデータを読み込ませ、Side (L-R) はLへ、Side (R-L) はRへパンを振ります。
これで完了です。
MS非対応のEQでもMidとSideに分けて調整することができます。
ステレオ音場に関して理解して頂けましたでしょうか?
次回はエンコードについて解説していきたいと思います。
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