第6回目の講座は周波数についてです。


周波数はミックスにおいて特に大事な分野ですが、扱いが難しい分野でもあります。
まずは周波数が音圧に大きく関わってくるところから解説したいと思います。


音圧は2ミックスという箱の中にどれだけ詰め込めるかというイメージが比較的わかりやすいかと思います。
しかし、逆に言うと詰め込める量には限界があります。
RMSメーターが高い値を示しているのに、どうも音量感が足りないと感じた方いると思います。
原因は2つあり、1つは " 音量を感じにくい低周波数成分が多い " という状態です。
もう1つは " 音数が多い " という状態です。


まずは、音量を感じにくい低周波数成分が多い場合から解説します。
" MixTips #5 音圧 " で解説した等ラウドネス曲線を思い出してください。
同じエネルギー量でも中域と比べると、低周波数は聴こえにくい傾向にあります。
その中でも特に非常に低い周波数成分が多いとRMSメーターが高い値を示しても音量感に欠けてしまうわけです。
そのような場合は、『キックやベースの音色を変える』などして低周波数成分を減らしましょう。


次に、音数が多い場合を解説します。
この場合は、音量が0dbという限界があり、その中でさらに周波数ごとに各楽器が自分たちの音量を分配し合うのが原因です。
わかりやすく言いますと、例えば中域で出せる音量が6、各楽器が出す音量が同じだとします。
ここにボーカルとピアノが入ってきたとします。
そうするとボーカル3、ピアノ3の音量が出せます。
しかし、ここにギターが入ってきたとします。
スペースは6しかないので、ボーカル2、ピアノ2、ギター2と各楽器が出せる音量は減ってしまうというわけです。
そのような場合は、同じ周波数帯で被っている楽器が多いので、『パン振り、音源を変える、音数を減らす』などの作業が必要です。
状態によってはパン振り、音源を変えても解決できないということがありますので、思い切って音数を減らすということも考えておきましょう。
1つだけ注意ですが、ここで音数を減らすというのはパートとしての音数を減らすという意味です。
キックなどを太くするために重ねているトラックは、キックパートの1つなので、勘違いをしないようにしてください。


次に各音域に焦点を当てていきたいと思います。


まずは低域です。
低域はセンター配置が基本なので、キックとベースがぶつかることは非常に多いと思います。
加えてピアノの低域(左手)もぶつかりやすいと思います。
これらはパンの処理で避けることが難しいため、以下の方法を試してみてください。

・音量バランス
・リズム
・音色
・音程

これらは後ほどの回で詳しく説明します。


次に中域です。
中域は " MixTips #5 音圧 " で解説したようにマスタリングで中域の音量が上がりやすいため、ミックス段階では少し控えめ程度にしておくのが好ましいです。
ただし、中域全体のバランスはこの段階でちゃんと整えておきましょう。


最後に高域です。
高域は、空間の抜けを演出する大事な成分が含まれています。
金物などの音量が大きいとマスタリング段階でこれらを引き出すことができなくなってしまいます。
ミックスの段階でしっかりとしたバランスを組むようにしましょう。


以上で全体を軽く触れましたが、ミックス段階でしっかりとしたバランスを組むには『小さい音量、大きい音量ともにモニタリングをする』ことが必要不可欠となります。
綿密にチェックすることを心がけましょう。


周波数に関して理解して頂けましたでしょうか?
次回は定位について解説していきたいと思います。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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MixTips #6 周波数

ミックスとマスタリングに関する講座

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投稿日:2014/03/30 19:03:45

文字数:1,558文字

カテゴリ:その他

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