プロローグ*レン*

空は一日中暗い。
意味の無いノイズが世界中に鳴り響く。
風は突き刺さるように冷たいし、
人には'善'何てもの無かった。




ここはラストシティ。
地球が分裂した果てに出来た世界。
ここで、生き残った人間達が戦っている。
12人の生き残った人間はシロとクロに分かれた。
そう。僕ともう一人の双子の片割れもあちらに行ってしまった。
相変わらず、空は暗いままだ。


            *
*リン*

「おい!雨が降ってきたぞ!アジトに引き返せ!」
リーダーのルカさん言葉で私たちは攻撃をやめる。

私たちは急いでアジトに向かう。
ボロボロになった服の隙間から雨が入ってくる。
私は、すりむけた足で力いっぱいに走った。


私たちはクロと呼ばれるグループの仲間達。


まず、仲間の事を紹介しよう。
リーダーのルカさん、
指令塔役のカイトさん、
二重人格で銃を操るハクさん、
雑用全般のグミちゃん。
そして、行動派の私。

このグループで戦争をしている。

ここは、地球の分裂した果てに出来た、いわば生き残り。
あっても無くてもどうでもいい惑星。
ここで醜く、そして哀しい戦いを来る日も来る日も続けている。
戦わなくては、食べるものも何もない。
戦わなくては、守るものも何もない。
戦わなくては、生きる理由も何もない。
私たちは'それ'を認識するために今戦っている。

アジトが見えてくるやいなや、すぐに疲れが出てきた。
時々転びそうになりながらも、走りながらアジトへ向かう。

「ただいま!!!!」
・・・大声で言ったのは、この暗い心を少しでも明るくさせたかったからだ。
アジトに入ると、すぐさま靴を脱ぎすてて、広間へ行く。
「あ、リンちゃんお帰りー」
この人がグミちゃん。いわゆる雑用係。
広間のすぐ隣にあるキッチンに立ち、少し黒くなったエプロンを身に着けながら料理をしていくグミちゃん。
「はぁ...疲れたあー今日の調理は何?」
グミちゃんは少しため息をつく。
「材料の調達が....出来なかったの。」
「そっ...か、ごめん。」
グミちゃんは笑う。引きつった笑みで。
「大丈夫。リンちゃんにせいじゃないよ?」
引きつった笑みは、まるでグミちゃん自身を慰めているようだった。
私は四畳半のせまい広間に座る。
部屋はこことあと地下室しかない。
ここにはキッチンとトイレと風呂がある。

私物は、一冊の本と一枚の写真だけだ。
この二つのものは、私の宝物。
写真に写った私とレン。
満面の笑みで笑う少女と少年が、今思うと少し懐かしい。
あんなに心の底から笑ったのもあの時が最後だった。
私は、この懐かしい気持ちを心の中に押し戻すと、今の現状を思い出した。




             *
*レン*

「はっ....はぁ....はあ....」

疲れ果てた様子のミクさんを横目に、僕は頭を回転させていく。
只今、'シロ'が退散したので追いかけていったのだ。
だが、ルカに邪魔された。
「あの馬鹿。逃げるなんて....」
メイコさんは爪をかむ。

では、僕の仲間を紹介しよう。
リーダーのメイコさん、
刀を操るがくぽさん、
機械担当のネルに、
雑用のミク。
そして、頭脳担当の僕。

僕は、攻撃はしない。ただ作戦を考えたり、指令をだしたりするだけ。

「レン、ここからどうする?」
メイコさんからの質問に答えるのに少し戸惑う。
「いや...帰るしかないでしょ。」
メイコさんはちょっと機嫌を悪くしたのか、口を3にして、
「分かってるわよ」
とつぶやいた。

僕は、リンの事を思い出す。
一枚の写真。この中に、リンは今も居る。

「「ねぇ、レン。私たちは慣れても一緒だかんね!」」

そんな言葉何処へやら。性格が変わったリンを眺めているだけで心が傷つく。

大好きだったリン。リンも僕の事を愛しているだろうか?

僕はそんな事を思いながら反対方向のアジトへ向かった。


Ⅰ~完~

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

'裏表戦争物語'

行動派のリンと頭脳派のレン。ちょっとドキドキしますね。

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投稿日:2011/10/29 16:48:23

文字数:1,655文字

カテゴリ:小説

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