6月ハーモニー 未来音符 そのなな



家に帰り自分の部屋に上がり、先輩に買ってもらった服と靴をベッドの上に。

そして服を袋から出して、人が着ている形に並べて

う~~ん…流香先輩は気合をそんなに入れてないって言うけど…

今まで着たことがない服が並んでいるため、自分には変なんじゃないかと、

流香先輩は、チョー似合ってるよ!って言ってたけど…

う~~ん…

自分の普段着ている服はパーカーとかだから、こんなふわっとしてるのは…

う~~ん…

まぁ先輩が選んでくれたから確かに可愛いけど…

着てみたいとは……まぁ思うけど……やっぱり気合入りすぎなんじゃ?

う~~~ん…



それから晩ご飯を食べてお風呂を出ても、服を見ながら

う~~~ん…

悩んでいたけど、寝る時間になったので服を壁にかけて

もう寝よう…

布団に入ったが、明日のことを考えると

心臓の速さは普通なのに、なんか苦しい…

なかなか寝付けなかったので1階に行ってホットミルクを飲んでいると

「あら~~?ミクまだ起きてるの~~?」

お母さんがリビングにやって来た

「うん…なんか…寝れなくて」

お母さんは私の向かいに座って

「ミクか~わいい~~明日のデートがそんなに緊張なんだ~~」

ニコニコ顔のお母さん

「だから、デートじゃないって…ただ映画を一緒に見に行くってだけだし…」

「でも明日のデート服買ってもらったじゃな~~い?」

夕飯の時に2人に、服は流香先輩に買ってもらったと話し、服を見せた。

服を見るとお母さんは、あら可愛いじゃな~~いと笑顔で言った。

「ま、まぁ…うん…」

いくらお母さんにデートじゃないと言っても無駄だと思い、もう通そう

「ふふっ、可愛い服着れるんだし、デート楽しみでしょ~~?」

楽しみだったら緊張はしてません。まぁ…服に関しては楽しみ…かな?

「楽しみでしょって言われても…今までこうゆうことって無いし…

ど、どんな風な態度したらいいか分かんないし…」

ちょっとだけむくれながら言うと

「どんな風にって…楽しむことだけ考えてればいいんじゃな~~い?

そんなに深く考えなくてもいいんだよ~~ねっ?」

相変わらずニコニコ笑顔で返ってきた

「そうですか…お母さんは凄いですね~」

嫌味っぽく言うが

「だって~~お母さんだも~~ん」

通じなかったみたいだ

「はぁ…もう寝ます…お休み」

立ち上げリ飲み終わったコップをシンクに置くと

「お休み~~眠れなかったら子守歌を歌ってあげるからね~~」

「結構です」

自分の部屋に戻り、再びベッドに入り

お母さんの言う通り、深く考えないほうがいいのかな?

流香先輩も買い物してる時に、そんなに意識しないほうがいいよって言ってた

し…でもな~ただの友達とのお出かけじゃないし…

う~~苦し…



なかなか寝付けなかった



そして次の日。梅雨の空は曇り空の日。

いよいよ?海斗先輩とデーt…一緒に映画に見に行く日がやって来た。

私はメゾールの4階の映画館の前で、海斗先輩を待っていた。

約束した時間の30分前に着いてしまったため、時刻は9時ちょうど。

早く来て先輩を待とう…とかは特には考えていない。

ただ、初めての男の人ととのお出かけのためか、緊張で朝早くに目が

覚めてしまったのだ。

映画館の前で1人で待ってる女の子…私はどんな風に見られているんだろう?

彼氏を待ってるのかな?とか、好きな人を待ってるのかな?って

見られてたりしてないかな?

周りにいる人がみんなして私の事を見て、変な誤解しているんじゃ?

そう思い周りを見渡すが、誰とも目が合わなかった

いや、私を見てないだけで、きっとみんなでコソコソ言ってるんだ!

それとも…もしかして気合入り過ぎてる子って思って見ないようにしてるとか?

私はそう思い映画館の前のガラスの前に行き、そこに写っている自分を見た。

私の格好は、白い生地に可愛らしいピンク色の花柄がプリントされた、

着丈が60cmのチュニック(インナー付き)とカーキ色のキュロット。

そして黒のニーソックスを穿いている。

そのニーソックスの先の靴は、きらきらとしたビジューリボンが付いた黒色の

バレエシューズ。

髪をとめているのはいつものゴムとは違い、今日は白のシュシュでとめていて、

両手の手首も同じ白いシュシュがついている。

う~~~~~~ん……やっぱり気合入り過ぎじゃないですか?流香先輩…

自分の部屋で見たときからず~っとそう思っている。

これは…かなり派手なんじゃ…

流香先輩いわく、髪の色と服の色が対照的なほうがいいと思って明るい色の

チュニックを選んだらしい。

だからシュシュも白色のを選び、小さいけどその白さを私の髪の中で

アピールしている。

これは…これは気があるって思われるんじゃないのかな?

かなり気合入れている服だなと…もしかしてって思われませんか?

もしかして俺のために…って思われませんか?流香先輩?

心の中の先輩に聞いても、まぁ答えなんか返ってこないし、着替えに帰る

とゆうこともできないし、ましてやドタキャンは駄目でしょ?

しゃ~ないか~はぁ~

だから海斗先輩が来るのを待った。

私が待っていると女の子の2人組や男の子のグループ、カップル達といった

色んな人たちが映画館に入ってくる。

その人達(主に男の子)を見ながら

海斗先輩はどんな服で来るのかな?あんな風なチェックのやつで来るのかな?

それともあっちの人みたいなパーカー?

それともあの人みたいな………Tシャツ痛いな~あの人…

う~ん、どの服も海斗先輩が着てるとこが想像できないなぁ…

先輩の私服をイメージすると……まぁ制服姿の海斗先輩しか出てこないな…

う~んどんな格好で来るんだ先輩は?私がこんな気合入った服を着て…

いや、流香先輩に着させられてるのに普通の服を着てきたら…

まぁ、そうしたらもう話しかけないでって事になるわよね?だって、ねぇ~?

私がこんな格好までしてるのに、誘った人がそんな普通の格好で来るのは

許されることじゃ無いわよね~?

ん?待てよ…でも先輩がかなり気合入れて来たら…

可能性は十分にあるな…先輩は私の事が好きで誘ったわけだからな…

しかし男の人の気合入れた服ってどんなんだろう?

う~~ん想像できないな…

先輩の服をイメージしていると後ろから

「初音さん?もう来てたの?」

海斗先輩の声がしたので振り返ると

「お待たせ。ごめんね待たせちゃって…待った?」

先輩は無地の黒のジャケットをグレーのプリントTシャツの上に羽織り、

黒のジーンズを履いていて、靴まで黒い色で統一されていた。

「…あ、えと…」

か、格好いい…

先輩は細くスラっと見えて、つい見惚れてしまった

「ん?どうしたの?あっ…」

先輩は私の格好を見て

「初音さん…服いいね…似合ってるよ」

少し照れながら褒めてくれた

「あ、ありがとうございます…と言っても流香先輩が選んでくれたんです

けどね…私が相談して、昨日…買ってもらいました…」

褒められたことは嬉しかったけど、自分で選んだと思われることが

恥ずかしかったし、本当のことなので流香先輩の名前を出してしまった。

「そ、そうなんだ…でもいつもと違うから、な、なんか新鮮…」

「わ、私もこんな服着たこと無かったので、へ 、変な感じです…」

そう言いながら私はうつむいてしまった

照れて顔が赤くなっているからと、先輩を見るのが照れくさいから。

私もここで先輩の服を褒めたりすればいいのかな?

で、でもそれは恥ずかしいからできません…

流香先輩は、海斗君の服がよかったら褒めてあげなね?って言ってたけど

無理に決まってるじゃないですか!無理無理ムリ!!

恥ずかしいからそんな事できる訳ないじゃないですか!できっこありません!

私がうつむいてるからか、海斗先輩は何も言わない

ど、どうして、じゃあ映画に行こうか?ってチケット買いに行かないんですか?

こーゆー時は男の人がエスコートするもんなんじゃないんですか?

は、早くチケット買いに行こうと言ってくださいよ!

「え、え~っとさ、じゃあチケット買いに行こっか?」

ようやく先輩が言ってくれた

「あ、はい…じゃ、じゃあ待ってますんで…」

私がうつむいたままスタスタと歩き出したら

「あ、ついでに飲み物とポップコーン買うよ、何がいい?」

背中に当たった声に立ち止まって、でも振り返らずに

「じゃ、じゃあアイスティーでお願いします…ガムシロとミルクも一緒に…」

「うん分かった…じゃあ待っててね…」

先輩はチケット売り場に行った

私はその場で先輩の背中を見ながら

つ、ついに…ついに今から映画を見て、おそらく一緒にご飯を食べて…その後…

その後に何するんだろう?買い物……とか?

まぁ先輩が何かしてくれるんだろう…

ついに先輩とのお出かけ…いや、もう受け入れよう…諦めて受け入れよう…

デ…デート……をする時が来てしまった……

き、緊張する…苦しいほど緊張する……

な、何を話せばいいんだろう?

お母さんは楽しむ事を考えていればいいと言ったし、流香先輩は、おそらく

海斗君も緊張してるだろうから平気なんじゃない?と言ってたけど…

どーやって楽しむの!?なにが平気なんですか!?

アドバイスのアの字にもなってないよ2人とも!!

特に流香先輩は私がこーなるって分かってたはずなのに何が平気なの!?

私と海斗先輩、お互いをよく知ってる人なのに!それなのにぃ!!

せめてもうちょっとこう……駄目だ!なんにも思い浮かばない!!

欲しいアドバイスがなんにも思い浮かばないよ!!

気楽にデートできる方法なんて何も思い浮かばない!!

くっそー!!

悔しがってるその時

ぴろ~ん

携帯にメールが来た

誰だ?流香先輩からだ!!

画面を見て驚き、そして安心した

さすが流香先輩だ!タイミングを見計らって私にアドバイスを送ってきた!!

さすが頭の良い流香先輩だ!ナイスタイミングだ!!

喜んでメールを開くと

 『デート頑張ってね!!』

意味無ぇぇーー!!

私は携帯を閉じた。もちろん返事はしない。

1人で乗り切れって事か!?自分の力で頑張れって事かよ!!

するとまたぴろ~んと携帯が鳴った

また流香先輩だ!!今度は何ですか!?

少し怒りながらメールを開くと

 『ミクの格好に海斗君もイチコロだよ!ミクの事をさらに好きになるよ!』

余計なお世話だよ!!

先輩からのメールを見ないため、あと映画館のマナーのために電源を切った。

駄目だ!流香先輩は私にアドバイスくれる気は全く無い!!

もぉー!!私がこんなに緊張してるのに流香先輩は!!

私が流香先輩の態度に怒っていると海斗先輩がやって来て

「お待たせ。ん?どうしたの初音さん。どうして怒ってるの?」

私は先輩からチケットを受け取り

「何でもありません!それより早く行きましょ!」

すたすたと映画館に入っていった

「お、俺なんかした?えっ?嫌われた?」

面倒な人だな~



そして2人で映画を見始めて20分ぐらい経った頃、

さ、寒い!

映画館の効き過ぎている冷房に自分の肩を抱いて

さ、寒いー!!冷房効きすぎ!!

私が着ているチュニックは薄い物なので、かなり寒く感じる

うぅぅ~寒い寒い寒い!!

隣に座ってる先輩を見ると先輩は寒がってない

そりゃそうか、長袖だもんね…いいなぁ~か、貸して欲しい!

こ、こーゆー時は漫画みたいに、寒いの?って言って服を貸してくれるもん

じゃないの!?そっと肩にかけてくれるもんでしょ!?

先輩!いま服を優しくかけてくれたら惚れます!私あなたに惚れます!!

だからそのジャケット頂戴!!着させて!!

ガタガタ震えながら心の中だけで懇願するが

「うぅ!か、感動するなぁ~」

先輩は映画に感動するだけだった

こっちを見て!私を見て!!好きな子を見てよ!!

寒がってますよ!ほら、今がチャンスですよ!?服をそっとかけるチャンス

到来ですよ!?優しさをアピールできるチャンスですよ!?

気付いて先輩!わたし寒がってますよー!!



私は映画が終わるまで心の中で叫び続けたが、それは虚しく終わった。

つまり先輩に服をかけてもらう事は無かった。



映画を見終わって映画館を出て、3階に向かうエスカレーターに2人で

乗っているときに私の後ろにいる海斗先輩が

「映画、面白かったね~初音さん。」

おそらくいい笑顔で私のつむじに話しかけてきた。

おそらくと言ったのは私がずっと前だけを見ているからだ。

「ソウデスネ~タノシカッタデスネ~」

私は無感情に答えた

「なんでそんな感情がこもってない返事するの!?俺なんかした!?」

先輩はすぐにそんな事を言うなぁ…

「ナンニモシテマセンヨ~私はイツモドオリです。」

私が先輩に無感情で接してる理由は3つ。

1つは映画館の冷房がかなり効いていて、体が冷えてしまったから。

もう1つはそんな寒がっている私に先輩が服を貸してくれなかったから。

貸してと先輩に言って断られたわけじゃないけど、先輩は私の事を一切見なくて

私が寒がっていることに気が付かなかったのだ。

私がどんだけ寒かったと思ってるんですか!?先輩は長袖で寒くなかったでしょう

けど、私は薄い服を着ているので寒かったんですよ!?それなのに!!

無感情に接している最後の理由は、先輩が1人で映画を楽しんでいたから。

先輩は面白い場面では笑って、感動できる場面では泣いたりとずっと1人で映画を楽しんでいた。

私は寒くて寒くて全然映画に集中できなかったのに!!

なんで1人で楽しんでたんですか!!私だってもっと映画を楽しみたかったんですよ!?

それなのに冷房のせいで!服を貸してくれなかった先輩のせいで!!

映画を見てる最中から先輩に対して怒りを感じていた。

なので今、先輩に対してある意味で怒りをアピールしている。

「いやいやいや!!いつも通りじゃないよ!?いつもと全然違うよ!?」





うるさいなぁ~私が寒がってるのも分からなかった鈍感のくせに…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

6月ハーモニー 未来音符 その7

6月ハーモニー 未来音符 その7です

この話でも歌詞の一部を使っています。

梅雨の空は曇り空なんです。

閲覧数:93

投稿日:2012/08/30 00:50:36

文字数:5,979文字

カテゴリ:小説

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