カゲロウ計画とは二十一世紀前半、とある国の高名な科学者がその概論を完成させたものだ。
世界がメデューサを見つけ、それを公式に発表しようとした科学者もいた。その中にその高名な科学者もいた。
高名な科学者は罰せられることを避けられた、そのかわりにカゲロウ計画の代表として開始を命ぜられる。
既にカゲロウ計画は世界にとって意義のあるものだと誰かが考えていたのだった。
カゲロウプロジェクト。
世界的な研究所にもそれは発表されることとなり、実験方法も全てが発表された。
ただ、それを知るのは数少ない人間だけ。
その中に、楯山研二朗の姿もあった。
≪カゲロウプロジェクト 最終章≫
【01 -24:33:48】
ヘッドフォンをつけて走っていた日々を思い出した。
あの日、ゲームを作って、そのテスターをしていた。
あの日が、来なければ。
もしかしたら、私はこのことから帰れるのではないだろうか。
でも、私はその体でなくてはいけない理由が……今、見つかった。
電脳の海を疎ましく思うことしかなかった。
けれど、いまは――すごい嬉しい。
この海を泳げるのは、今私だけだ。
さあ、泳いでしまおう。
この先にあるもの――それはなんだろう。
きっと、私が面白いと思えるものなら、いいなと思う。
【02 -24:33:47】
「……エネは大丈夫だろうか」
「大丈夫だ、シンタロー。……もしかして、エネを心配しているのか?」
「心配してるわけねーだろ」
シンタローの言葉を聞いて、キドは少し口を歪めた。
今、メカクシ団員たちはエネを除いてある場所へ向かっていた。
レコーディング・キューブ。
ケンジロウですら、それを名前しか知らない、カゲロウ計画の最重要機密。
その場所へ彼らは向かっていた。
なんのために?
それは簡単だ。
彼ら自身に絡まった、メビウスの輪を解き放つため……彼らはそこへ向かっている。
「……ほんとうにこの道であってるんだろうな」
「ああ。確かここに……あった」
通路の突き当たり。
そこにあるスイッチをケンジロウが押すと、通路の先が開かれた。
「……これは驚いたな」
「さあ、向かうぞ」
ケンジロウの言葉に、キドは頷くこともなく通路の先へ歩いていった。
ほかの人間もキドに連なって、歩いていった。
カゲロウプロジェクト 31話【二次創作】
「最終章、突入。」
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