さて、ぐだぐだになってきた内容に入ります。
※注意
・カイメイ風味があります。・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。キャラクターイメージが違う、というところがあるかもしれません。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・自己設定の、架空のものが出てきます(例えば、妖怪だとか)。
・一部、レンが不憫です;;
以上のことが、OK!という方だけお読みください。
ここは、双子の姉弟・鏡音家の、客間である座敷部屋。
そこには、興味津々に聞こうとする鈴と、どこか気の進まなさそうな蓮、真剣な表情でいる海斗、同じく気の進まなさそうな清輝が、円を作るようにして、座っていた。
「‥‥僕が医者だってことは知ってるね?」
こくりとうなづく海斗と鈴。
「うん、結構この街じゃ、清輝先生って言ったら有名だから」
清輝は、着物の袖を軽く払うと、座布団の上に、足を崩して座りなおした。
「その一環として、この街に何度か往診に来ることもあったんだ。僕しか見れない病気もあるからね」
淡々と、落ち着いた口調で話し出す清輝。
「そのときに聞いたんだけど──」
──二週間ほど前。
「あ、先生でしたか、どうぞ。お上がりください」
そう言って座敷に招き入れる、長屋の店主。清輝はこの日、この店主の娘の風邪を診にきたのだった。
「最近、様子はどうです?」
「はい、先生のおかげで、すっかり調子がいいみたいで‥最近は起き上がって折り紙なんかしたりしてるんですよ?」
にこにこしながら話す店主に、すっかり安心したのか、清輝は、楽しそうに姉と折り紙をする、娘に視線を移した。
「あぁ‥そうそう‥‥」
突然声を潜める店主に、ふと眉をひそめる清輝。
「どうかしたんですか?娘さん」
「い、いや‥娘のことじゃないんですが‥‥」
店主のただなら無い様子。
「最近、物騒ですから、帰りの道とか‥気をつけてくださいよ?特に、先生が帰る道は、人通りが少ないんですから‥‥」
これに、清輝が、何か気になったのか、
「な、なにかあったんですか?」
「いやぁ、つい先月ぐらいだったかな‥町外れの蔵でさ、大量の鴉の死体が見つかってさ」
「‥鴉の‥死体‥‥?」
店主が言うには、一月ほど前、町からほんの少し離れたところに建つ蔵から、黒い鴉の死体がたくさん見つかったらしい。ということだった。
「‥物騒ですね‥」
清輝がそう言うと、店主は、
「それがさぁ、目立った外傷がまったく無かったらしくて‥岡引(おかっぴき)も困っているんだってよ」
「そうですか‥‥」
医療道具を、丁寧に木箱に直しながら、そう返事をした清輝。
「そういえば、一月ぐらい前もですね──」
そんな店主の言葉が、彼の耳に入ったときだった。ふと、彼が、縁側の先の、庭園に目をやると──。
「‥白‥猫‥‥?」
庭園の隅のほうにいる白猫が、清輝のほうに、黄色く細い目を向けて
「‥あ‥あぁ、ときどき猫が来るんですよ。なぜか分かりませんけど‥懐かれてるんですかね~‥‥」
その猫が、くるっと背を向けて、出て行こうとしたとき、清輝は、はっとした。
その猫の尾が‥二つに分かれていたのだ。
「‥‥っ!猫又‥‥」
「せ、先生‥?」
「あ、ちょっと用事思い出したんで失礼します!」
清輝は、それだけ言って、猫又らしき白猫が消えた方へと、木箱を持つと、草履を履いて駆け出した。
やっとのことで、白猫に追いつくと、白猫は、ある蔵の前で止まった。
「‥蔵‥‥?」
今回、黒猫の死体が大量に見つかったのは、そのとき見つけた蔵だった。
「──以上が、僕の知っている限りの話だ。これ以上はもう知らない。というか、こんな気味の悪い話はもうしたくないよ」
うんざりしたようにそう言う清輝。
「猫‥か‥‥」
海斗だけが、清輝の話の後、そっと口を開いた。鈴はすっかり気落ちしたようでいて、蓮は口をつぐんでしまっていたせいだ。
「そういえば‥めーちゃん‥‥ミー助って猫‥飼ってたな‥‥」
ぽつりとつぶやいた海斗の一言に、何か気がついたように、ざっと蓮が立ち上がる。
「そ、それだ‥‥!」
「れ、蓮‥‥?そ、それだって‥何が?どうかしたの‥?」
いきなり立ち上がった蓮に、鈴は、びくっとして、若干後ろに下がった。
「その、ミー助って、どんなやつ?年は?くせとかある?性格とか分かるか?好きなものとかあった?変なこととかなかった?」
──‥また質問攻めだ‥僕ってなんでこんなに質問攻めされるんだろう‥‥。
「えーっと‥‥」
海斗はそう言ったあとで、コホンと咳払いをして、
「蓮君、一気に聞かれると答えられないから、一つずつしてくれないかな?ちゃんと答えるからさ」
ふっと、蓮に、小さく微笑んでみせた。
──‥僕だって、たじろいでばっかりじゃないからね‥‥!
珍しい海斗のキリッとした強い表情に、ずかずかと発言をしていた蓮も、戸惑いながら、
「あ、あぁ‥分かったよ‥‥」
──こいつ‥こんなに強気だったか‥‥?
「まず、ミー助は白猫で、半年ぐらい前に、老年で死んじゃってるからね。癖というよりは、縁側で昼寝するのと、縁側に居るとき、めーちゃの足に擦り寄ってくるっていう感じかな。性格は、比較的大人しくて、のんびりしてる。好きなのは、めーちゃんが作った湯豆腐。変なことは──」
いきなり、無表情で突風並みのスピードで話し始めた海斗に、
「ちょっ、ちょーっ!!ストップ、ストーップ!!一回黙れ!お前こそ一つずつしゃべれっ!!」
蓮がすぐさま突っ込みを入れた。
「え、聞き取れなかった~?へぇ~、蓮君がぁ?そうか~‥」
と、海斗が言ったもんだから、
「あ、お前、わざとだな!絶対そうだ!間違いねぇよ!仕返しか?そんなにおれが嫌いか?」
「れ、蓮、落ち着いてよ‥‥何もそうと決まったわけじゃ‥‥」
清輝は、その様子をあきれて見ていたが、
「あ、やっぱりそうか!年下のおれが、年上のおまe‥じゃなくて、海斗をバカにしたことへの仕返しか!」
という蓮の一言に対して、クスッと微笑む海斗。
「さぁ~?なんだろうね~?君の想像に任せるよ~、双子の弟の蓮君♪」
その表情を見た清輝は、
──うわぁ‥久しぶりに見たけど‥海斗君が仕返しなんて‥‥。
「あ、先生、どうしました?」
「い、いや、なんでもないよ!海斗君!」
──この微笑だけ見ると、そうは思えないんだけどなぁ‥‥。
清輝がそう思っている一方で、双子の姉弟は、
「‥ちょっ、姉ちゃん!こいつ、仕返しとかしてくるような奴だったか?」
「さぁ?蓮君が意地悪するからじゃないの?」
「‥‥‥っ!」
姉の鈴に何も言い返せない蓮。これが、図星というのか、反論のしようがない。
彼は、くるっと海斗に向き直ると、
「海斗、悪かった!いや、すいませんでした、海斗さんっ!おれがふざけ過ぎでした!だから、ちゃんと教えてください!」
そう言って頭を下げた。その後ろで、鈴が、おおーっ!と褒めている。
それを見た海斗は、突然、ぷっ‥と笑い出すと、
「‥冗談だよ、冗談!僕が、ちょっとした悪口で仕返しするようなみみっちい人間だと思う?子供の悪ふざけで怒ったりはしないよ」
──‥お前も子供だろう‥‥。
「‥こいつめ‥‥!」
冗談といえども、バカにされたような立場の蓮が、また何か言おうとすると、
「それに、そんな器の小さいことをしたら、めーちゃんに嫌われちゃうもんっ!」
──‥また始まった‥海斗の天ボケお惚気(おのろけ)‥‥。
「めーちゃんが言ってたんだ!『仕返しとか、あだ討ちとかするような、器の小っさい男になったりしたら許さないからね!』ってさ~」
──‥たしかにそれはそうだが‥‥。
「だからね、僕は、『器の大きい男』になるんだっ!」
真剣な顔で、海斗がそう言い出したもんだから、鏡音姉弟は、たちまち笑い出してしまい、
「な、なにさ、笑い出して‥‥」
「じゃあ、『器の大きい男』になるんだったら、蓮君の質問に答えてもらおっか♪」
──‥これって‥おれだけ無視されてるんじゃ‥‥。
そう思って、鈴を、チラッと見ながら、蓮はため息をついた。
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!、続き、拝読させて頂きました!
先生のお話、なにやら、何か影で動いてそうな感じでしたね。白猫の事も気がかりです。
珍しく、海斗が蓮に一本取りましたね。こういう”推理”の場面だと、海斗君は目覚めますね。
続き、楽しみにしてますね。ではでは~♪
2010/04/05 22:08:24
愛夢☆ソライト
>enarinさん
ご拝読ありがとうございます!
ちょっと真面目が入り過ぎな気がしてたので、蓮君には、不憫な子になってもらいました^^;
さらには、姉もそれに拍車を‥‥という感じですね。
海斗君は日常的な押しには弱いですけど、非常事態には強いです^^先生もなんか知ってそうな感じにしてみました。
まだ何かありそうな感じですが、お楽しみに?。では?(^ω^)ノシ
2010/04/06 10:21:54