――少年少女、前を向け。
≪チルドレンレコード Ⅳ【自己解釈】≫
「解ってる……解ってるさ……」
シンタローはすべてを終え、外へ出ようとしていた。
しかし彼は二年もの間、ニートだった。
そんな人間がすぐ出ようなんて、簡単にはできないだろう。
しかし、彼以外の人間はみんな頑張っていることは事実である。
「……想像力の外の世界…………、」
彼は独りごちる。そしてひとつ深呼吸。
ドアノブを――しっかりと自分の意志で握り、ドアを開けた。
そして少年少女たちは――オーバーな空想戦線へと踏み出していった。
**
「お先にどうぞ?」
余裕ぶった顔でコノハはヒヨリたちを先に歩かせる。しかし、ヒヨリは初めて会った人間に嫌悪感を抱き、舌を出した。
しかし、コノハはそんなこと思われてるとは思ってなく、無邪気な目で笑ってみせた。
それを上から眺める、カノたち。
「……セト、じゃじゃ馬は止まりそうか?」
「いやー、予想外すぎたね。まさかエネがこんな力持ってただなんて。もうあっという間にコードの半分を無効化しちゃったよ?」
「そうじゃなくて、じゃじゃ馬は!?」
「そっちの件だけど厳しそうだね。あの科学者もバカしたのか、パスワードで力を解除したあとの対策を怠ってたらしい」
「ほんとあのやろう……、まじで会ったら踏み潰す」
「キド真顔で言わないで怖いから」
セトはキドに怯えながら、情報端末の画面に指を滑らせた。
**
八月は夜が深くなる。暦では七月を超えればあとは夕暮れが早まっていくのでパンザマストが鳴る前でも既に暗くなってしまうのだ。
夜になる。モモはそんな中、独り怯える心を殺して歩いていた。
『オコサマ』なら燃えるはずの延長戦を味わいたい。
彼女はそんなことを思い、走る。駆け出す。
「逆境ぐあいがクールだろ?」
隣に走るキドが息も上げず、笑う。
モモはその言葉を聞き――しっかりと頷き走っていく。
**
「寝れないね……。まだまだ実験は始まったばかりさ」
実験室とは到底思えない塞がれた地下空間で男は笑っていた。
このオコサマたちの抗う姿を見て、笑っていた。
「ほら、早く。まだ……この実験は終わらせてはいけないんだ」
そう言って男は沢山の機器類のひとつのボタンを押した。
**
テンポ良く視線を合わせて、施設へ滑りこむ。そこには既にモモとキドを除く全員がたどり着いていた。
モモはその全員にハイタッチしていく。恥ずかしくたって、彼女には関係ない。そしてメカクシ団全員のビートが同調、鳴り始める。
「……諸君、考えては遅い。行動は本能、いや命令を忠実に従え!」
キドの言葉に、全員がはっきりと頷いた。
ワンコードで視線を合わせて、ぶっ飛んだグループをぶっ飛ばす。名前の通りに、だ。
きっと、その風景の隙間に、『答え』が見えるはず――。
キドや、ほかの人間はそう考えていた。
つづく。
チルドレンレコード Ⅳ【自己解釈】
次の次くらいで終わりそうです!
本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm18406343
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