私が本を読んでいると、夏の爽やかな風が、窓をノックした。
「なんだろう?」そう思って私は窓を開けると、
部屋に鳥の声が響いた。もしかして、鳥さんが遊びにきてくれたのかな?
私は読みかけの本を置いて、
「どこからきたんだい?」と笑ってみせた。
たぶん鳥さんはその方には居ないのかもしれない。
だって、私は目隠しをしているから。
そんな、午後三時です。
≪想像フォレスト 【自己解釈】≫
世界は意外とシンプルに出来ている。0と1だけで……表現は難しいかもしれないけどそれくらいで表現できそうなくらいだ。
だから、複雑に怪奇した私なんて、誰にも理解されなくて、昔から私は独りぼっちだった。
でも、お母さんはいつも私に、
「大丈夫だよ」と楽しく話してくれた。
私は町外れにある森の奥深くにひっそりと佇む家で暮らしていた。ずっと一人暮らしだけど、誰もやってこないからなれちゃった。せいぜい鳥さんが毎日私の焼くクッキーを目当てにくるくらいかな。
「目を合わせないで!」
固まった心。独りぼっちで元に戻すのを諦める。
時折、そんなことを思い出す。けどもう慣れてしまった。
「ふわぁ……。もうこんな時間かぁ」
気づいたら鳥さんは居なくなってたし、日は傾いていた。時計を見ると4時過ぎくらいだったと思う。
私は立ち上がってさっきまで読んでいた本を本棚にしまった。いろんな本があるけどまだ読み終わらない。たぶん、私が死ぬまでに読み終わらないんじゃないかな、とか思っちゃうくらいだ。
私はこういう体だから、目に写った無機物≪モノ≫にしか安堵することは出来ない。外に出たらすぐ理解されなくて、排斥しようとする。だから私は外になんて出たくない。
「アラビアンナイトかぁ~……。
いいなあ、私も旅がしたいなぁ……」
だから、私は物語の中でしか知らない色んな世界に、少し憧れる。
別にそれくらい。
許してくれる、よね?
私は毎日そんな理不尽なことを思い浮かんでしまう。
けど、私の中じゃ、それが案外人生なんだよね。
ねぇ、いつか突飛な未来を想像して、膨らむ世界がノックするのはありますか?
出来れば、今日か明日にでも。
……なんて妄想なんてして外を眺めていると、
「ここか……」
突然にしゃべり声が聞こえてきた。
「!!」
私は驚いて飲みかけのハーブティーを机中に撒き散らした。もし、鳥さんがいたら驚いて逃げて私がここにいるのがわかってしまったのかもしれない。
「どうしよう……」
とりあえず私は下に降りて、ドアの向こう――きっと、その声の元がいる――を見つめました。
「目を合わせると、石になってしまう」
私は母親から聞いたことを思い出す。
「私たちの目は成長すると赤くなる。
その赤は見るものを凍りつかせて、石にさせてしまうの」
私の目もそうなっているらしくて、時折鏡を見つめていた。写っているのは、私の赤い目。
だから物語の中じゃ私たちって、怖がられる役ばかりで、仲良くしてくれるなんてないんだ、ってことは知っていたんだ。
トントン、とノックがドアのむこうから響いた。そんなのは初めてで、緊張なんてもんじゃ足りないくらいだった。なんだろう、『恐怖』すら浮かんでいたのかもしれない。
ねぇ、私が想像していた突飛な世界は思ったよりも実に簡単にドアを開けてしまうものでした。
人間が嫌いだった。
母親が、死んだ訳を私は目の前で見たから。
私が数年前、人間に虐げられた。恐らく……珍しい存在と思われたから。
そしてそれに気づいた母親が私を守ろうと“力”を使って――死んでしまった。
だから、私はずっと一人。ずっと、ひとり。
扉は唐突に開かれて、誰かが入ってきた。私はただ、目を塞ぎ蹲っていた。
その人は驚いていた。だから、私は言った。
「目を見ると、石になってしまうんだ」って。
その人が、微笑んだのを、覚えている。
「僕だってさ、石になってしまう、と怯えて暮らしてたんだ。
だけどさ、世界は案外怯えなくていいんだよ?」
その人はそう言って私に服を着せた。なんだろう、この服は?
「これはパーカーっていうんだ。
君も、メカクシするんだろう?
これはそういう人にいい服だよ」
「……ありがとう」
「うん。お礼はいらないよ。
そうだ。君って世界がわからないんでしょう?
教えてあげるよ。うーんと、ちょっと待ってね」
そう言ってその人は薄い栞に近い何かを取り出した。
「これは、iPodだね。
いろんなことがわかるんだ……。
ほら、これを耳に当てて……」
その人は、紐みたいなものを私に差し出す。私は言われるがままにつける。
そして。耳に音が響いた。
世界は、やっぱり想像よりも素晴らしかった。
心の奥に溢れていた想像は、世界に少し鳴り出していた。
ねぇ、突飛な未来を教えてくれたあなたが、もしまた迷ったときは、私がここで待っているからね?
私は、その人に言った。
夏風が今日もまた、あなたのくれた服のフードを少し揺らす。
私に似た人間は、今日もまたこの服を着て、フードを被っている。
End.
想像フォレスト【自己解釈】
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aurora
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