抜け穴をくぐって、僕は思う。
この学校の構造、どうなってるんだよ。
なんで壁の中こんなにおかしいんだよ。
いや、そもそもコンクリート掘った初音がおかしいのか。

「っていうかさ、初音」
「何よ、このバ神威」
「酷っ！…いや、さっき『抜け穴作ろう』とか言ってたよな？」
「そうね」
「もうこれあるじゃん！なんでまた作ろうって思ったんだよ！」

だいたいなんでこの穴のこと言わなかったんだよ。

「いやぁ、なんとなく？」
「なんとなくで建物壊すな！ここは高校なんだぞ！？」
「知ってるわよ。だから良い子の皆に見せられないように本棚の裏に作ったのよ」
「ここは小学校か！」
「テレビの前の皆は絶対に真似しないでね！」
「するか！」

あれだ。
もう初音はダメかもしれない。いろいろと。
頭いいくせに。

なんだろう。
こうしてると、うっすらと昔の記憶が…

確か、小さい頃か？
僕と初音とルカの三人で、山道を探索してたら洞窟みたいなのを見つけた。
勝手に入って歩いていったら、突然強い光を見たんだよね。
そしたらそこに……あれ？

何が、あったんだっけ？

「どうしたのよ神威？とうとうボケはじめたの？ほら、入れ歯なら洗面所でしょ？」
「僕は少しボケはじめちゃったおじいちゃんか！まだ10代、高校生だ！バリバリ若いわ！」
「おぉ、そんなに一気にツッコミをして疲れないの？お茶でも飲む？痺れ薬入りだけど」
「相方はお前だ！なんでそんな危ないもの飲ませようとしてんだよ！一人で飲んでろよ！」

なんでこんなコントをしなくちゃいけないんだろう。

「へー、今はあのテニスの選手が熱いのね？」
「そうそう。『頑張れ頑張れやればできる！』って言ってるの」
「おぉ、熱くてやる気でるいい人じゃない。焼き芋できそうね」
「いやできないよ」

なんかあっちもあっちで楽しそうだし。
っていうか、そんな話題していいのか。
グミもこのＶＹ１って人も、どっかおかしいよなぁ…