~グミ視点~ 50年後の世界



「私も、君が元の世界に帰れる方法を探すのを手伝おう。」

「(未来の)神威さん、ありがとうございます。」

彼は私に協力してくれるみたいだ。

「あっ。そうだ。」

「え?なんですか?」

神威さんがなにかを思いついたようだ。

私は耳をかたむける。

「――君がこの時代の君に会えたら、たぶん帰る方法がわかるんじゃないか?」

「そっか。未来の自分なら、知ってるかも。」

私は神威さんの言葉に納得した。…ん?

「神威さん、…まさか私がこの時代の自分を探すんですか?この街、いろいろと変わってるから探すの無理です」

「いや、君はこの時代の街をよく知らないだろう。そのへんについては私が調べるから安心してくれ。」

よかった。このへんはやっぱり、この時代の人がいないとよくわからん。

神威さんが何か持ってきた(地図?)

「じゃあ今の君がどこに居るか調べるから、ちょっと聞いていいか?」

「え?はい、どうぞ」

私に何を聞く気だろう。

「君はどこに住んでいた?」

「えーっと…この住所のあたりです」

私は地図に載っている、自分が住んでいた住所を指差した。

「このへんか。わかった、ちょっと待っててくれ。」

「わかりました。…ヒマなんですけど、どうすればいいんでしょう?」

「ん?ああ、その棚に雑誌が置いてあるから、それでも読んでればいい。」

「…なんで交番に雑誌が、こんなにたくさん置いてあるかな…?」

言われた棚には、雑誌がめちゃくちゃ置いてあった。

この時代の雑誌は、どんなことが書かれているのだろう。

とりあえず、適当に一冊取り出して、ページを開いた。

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{『粘着ブーム、再び』

 50年前に発表されたポエム集[粘着系男子]が、今再び人気になっているようだ。

 F1層に得に人気のようである。ポエムなのに、もはや文学の域に達している。

 このポエム集の作り手である66氏は、たまたま雑誌に投稿したところ、『奇才現る』と社会問題にまで発展し、ポエム集の出版が決まったそうだ。

 現在、66氏のポエム集は、16冊以上出版されている。}
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…新聞の記事みたいに書かれてるのは気のせい?

「粘着ブームって…つい最近おこったぞ、これ…」

「ん?粘着ブームか。君の時代に起こったらしいな。」

「ええ。…本当に社会問題にまで発展しましたよ、コレ…」

「そうか。あ、まだちょっと時間がかかりそうだから、もうちょっと待っててくれ」

ということなので、雑誌のページをめくる。

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{『家の裏でマンボウが死んでる事件』

 最近、家の裏でマンボウが死んでいる事件が多数起こっている。

 原因不明の事件だが、警察はまったく信用していない。

 ともあれ、マンボウがかわいそうだ。}
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…これも最近あった出来事じゃん!(元の時代であったぞこれも!)

っていうかこれ新聞だろ!

「またせてすまないね。君の家がわかったよ…ってどうして雑誌を半分に破こうとしているんだ?」

「これ新聞だろおお!雑誌名が『週刊キラッ☆タイム!(ふろくつき)』なのに、中身全部新聞じゃーん!」

「あ、そういえば今週の『週刊キラッ☆タイム!(ふろくつき)』は、新聞スペシャルということで中身は新聞だぞ。ふろくも新聞」

「どんなスペシャルだよ!意味わからんわ!ふろくが新聞っておかしい!」

「まあ落ち着いて。君の家がわかったってば。」

「この雑誌型新聞め!…え?本当ですか?」

「うん。本当だから、その雑誌をはさみで切ってから燃やすみたいなことは…資源が無駄になるから、本当にやめてー!」

「ごめんなさーい、手がすべってうっかり切っちゃいました☆(キラッ」

「…もう、君の家に行くよ。ついてきなさい。」

「はい。」

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~がくぽ目線~ 元の世界


「――あれ?グミさんいないんですか?」

「ええ。ついさっきまでクワガタとじゃれていたんだけど、突然すごい光が見えたと思ったら、いきなり消えちゃったのよ。」

「え?…ということは、行方不明なんですか?」

「…ええ。そういうことになるわね。」

「そうですか。グミさんのお母さん、ありがとうございました」


俺は今日、学校の帰りに緑川と口喧嘩をした。

『――ふんだ。がくぽさんなんか、知らない!」

『――あ、待て、緑川!』

そのまま緑川は、自分の家の方向へ走っていった。

俺は家に帰って、自分の言ったことを後悔した。

そして、緑川に謝ろうと、緑川の家に来たんだ。

なのに、こんなことになってるとは。


「―――緑川。お前は今、どこにいるんだ…?」

どうしてこんなことになったんだよ。

緑川…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

クワガタにチョップしたらタイムスリップした3 【解釈小説】

最後、まさかの急展開☆
50年後の世界の神威さんと、元の世界のがくぽさんは別人です。

「家の裏でマンボウが死んでる」と「粘着系男子の15年ネチネチ」が登場。

閲覧数:3,054

投稿日:2011/09/19 18:19:58

文字数:2,180文字

カテゴリ:小説

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