<Dear My Friends!第2期 第9話 心の整理>

(午後6時頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・食堂)

 結局、ヤマト国に行く前に、当初考えてなかった“様々な問題”が出てきてしまったので、休憩と食事も兼ねて、最高裁の食堂で食事を取りながら、全員で変更点を挙げてみる事になりました。

 チャンチャン カンカン ジュワ!

 食堂では、めぐみの手配で全員分の夕食を作っていました。そこに、大きめの紙をとめるボードを持ち込み、食べながら皆の意見を聞いていく形式にしました。

 パクッ

 ルカ姫はお腹が空いていたのか、意見を挙げる以前に、食事に楽しんでいました。

ルカ姫:美味しい~! お城の料理にはない、この味! やっぱりこうでなくちゃ!

テル:ルカ姫、食べるのもいいですが、ちゃんと議論の話題にはついていってくださいね?
ルカ姫:わかってるって!
アペンド:はぁ、私も食べるの半分、議論半分で行こうかしらね
学歩:拙者は大丈夫でござる。めぐみ、議論を開始しようでござろうかな?

 まさにそうであった。食事の時間に議論というのも何だが、出航まで数日しかないので、大事な決め事はやっておかないといけない。

めぐみ:そうね、皆さん悪いけど、食べながら意見を挙げていくことにします。まず、大事な事から行きます。このヤマト国への渡航、問題ないですね?
テル:ああ、問題ないだろう。危険である事に間違いないが行かないと始まらないし、追加で知る必要がある事例が出来たこと、それとヤマト国出身と思われる“ツケている連中”と接触することも必要だろうしな
イア:発信器で尾行しているのだから、数日後の出航の船には、おそらく乗るでしょう。問題は船の中で接触するか、船に乗る前に入り口で、検問をしいて接触するか、ですね

 やっていることが警察とかそのレベルだったが、少なくてもイアにとっては、場合により生死の問題になりかねない事だったので、まるで警察の仕事のような事を提案したのでした。だが、めぐみはここは冷静に対応したのでした。

めぐみ:これは前者を取ることにします。彼らは“ヤマト国出身”である可能性が高いから、“ヤマト国行きの船”に乗ることに不信な理由はないし、尾行だけの理由で、乗船不許可を出すことはできません。イアさんには悪いですが、“船の中”でコンタクトを取って、話し合うことにしましょう。その際には、彼らに接触した、テルさん、リンさん、イアさんの3名には協力して頂きます
テル:無論だ
リン:はい、協力します
イア:当然です

めぐみ:では次の問題です。船内の時は体力を温存するとして、ヤマト国に入ってから、どうするかですね…
学歩:無論、拙者がガイドになっt

アペンド:いえ、それはあのマップで言うところの、“島の北部”の当たりまでですよね?
学歩:う、うむ、その通りでござる。情けないながら、1つ連絡船を越えた、『トゥ・ホック』エリアに入ると、どうにも…
めぐみ:それは、向こうでガイドを雇う事にします。学歩? 辺鄙な島国ですから、ガイドさんはいるんでしたね?
学歩:うむ。ここと同じで“ガイド妖精”、と呼ばれる、ギルドに登録済みの妖精がいる故、その者達に頼もうと思っているでござる

リン:妖精さんまでいるんですか!
学歩:うむ、何故かいるのだ。サホロ周辺で修行していた時に、ギルドで雇ったことがあるでござる
イア:なんでもあり、なんですね…

めぐみ:では次に行く。サホロ近辺はなんとかなるとして、まだ情報がほとんどない、『トゥ・ホック』エリア以降はどうするか、ですね
テル:簡単に言うと“内戦で危険地帯と思われる場所”を突破する方法だな
学歩:ガイドに任せるのも一案でござるが、これだけはお互いにカバーしながら、安全なエリアへ迂回しながら進むしかないでござるな
アペンド:私もそう思います
めぐみ:では、これに関しては向こうのガイドと要相談ですね。えっと、他はこの場より船内でのコンタクトで決めた方がいいですね。はい! これにて今日の議題は終了します。夕食と雑談に戻りましょう。ルカ姫さん達はお疲れですしね
ルカ姫:もが? みょふ ぎょひゃんりゃべてみゃひゅよ?(もう、ご飯食べてますよ?)
テル:ルカ姫はもうそれでいいです。さて、私も食べるとしよう

 こうして、簡単ではあるものの会議は終了し、全員で夕食を食べて、ワイワイ雑談をしていたのでした。

(午後6時半頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所付近の宿“ポルト”)

 その頃、あの3人は喫茶店から近くの宿“ポルト”に移り、ゆうまとりおんは、ノートPCなどの監視を続け、ミズキだけは港の事務所に出かけていたのでした。

ゆうま:未だ、最高裁以外に移動する気配なしか…
りおん:ご飯でも食べているんだよ、きっと
ゆうま:そうだな、ちょうどそんな時間だしな。こっちもミズキが帰ってきたら、夕飯にするか。確か肉料理だったな
りおん:やった~♪

 ガチャ

 そんな時、部屋のドアが開いて、ミズキが帰ってきたのでした。

りおん:お帰り~♪
ゆうま:お帰りなさい。で、どうだった? 次の船の事
ミズキ:まぁ、こっちとしては好都合な展開だったよ。数日後まで出航予定が無く、その“次の便”が、予想通り“ヤマト国”行きだった。あそこから到着する船は、この“ジェンド港”に必ず到着するからね

 ゆうまはちょっと頷きながら、手を顎に持っていって行きました。

ゆうま:そうか、目的地はヤマト国の・・・・・サホロにまず行くわけか
りおん:良かったね! あちし達も久々にヤマト国に帰れるのだ!

 まさにそうだった。理由はともかく、ヤマト国から、イアのような素材を求めて旅に出ていたのだから、久々の帰郷となるわけだ。

ミズキ:まぁ、今回は彼らを尾行するわけだから、必ずしもアキバに帰れるわけではないけどね。目的さえ達成できれば、アキバには寄ろうと思うよ
ゆうま:そうだな、報告はしないといけないしね
りおん:ひっさびさに“ケバブ”を食べたいからね、必ず寄ろう!

 しかしミズキはちょっと考え込んでしまった。1つ気になる事があったのだ。

ミズキ:・・・・・いや、“尾行”、ではなくなるかも知れないな…。船内でエンカウントの可能性が高い。そうなったら変に逃げずに、彼らと話し合う事にしよう
ゆうま:! だ、大丈夫か? こっちはこれまで尾行していた立場だぞ?

 ゆうまの意見は正論だった。向こうも解っているであろう“尾行”の立場で、彼らと面と向かってエンカウントするのは危険であるのは明白だ

ミズキ:今回、同船するわけで、乗船時間も結構長い。出来るだけそうならない様にしようとは思うが、逃げる状況にはしたくない。如何せん、場所は海上だ
ゆうま:そうだな。海を自力で渡れる道具はもっていないから、そうなったら仕方ないか

りおん:い、いぢめる?

ミズキ:まぁ状況次第だが、こちらの言い分を丁寧に説明すれば、船上だから戦闘にはならないと思うし、尾行の件は素直に謝るつもりだ
ゆうま:まぁ、こっちだって、死活問題でこんな事やっているわけだしな
りおん:けんかはよくないからね

ミズキ:ということで、同室の乗船チケット3枚は買って置いた。こちらの予想が外れても、キャンセルに出せば問題ないだろう
ゆうま:そうだな。ヤマト国行きに、どれだけ客が乗るか正直わからないが、抑えておくべきだからな
りおん:やったぁ! 船の旅~♪ 美味しいもの食べよう!
ミズキ:言って置くが“普通乗船券”だ。食事はノーマルだぞ?
りおん:(´・ω・`)

ゆうま:まぁ、仕方ないか。ではこちらも食事にするか。肉、だったな?
ミズキ:そうよ、美味しそうな店を、2,3件見つけて置いたから、そこに行きましょう!
りおん:o(´∇`*o)(o*´∇`)o

ゆうま:ほっっっっんとに、お前、単純だな…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

Dear My Friends!第2期 第9話 心の整理

☆オリジナル作品第16弾である、「Dear My Friends!第2期」の第9話です。

☆今回は情報の整理と、各自が部屋に戻った時の心境編でした。

☆どうなってしまうのでしょう・・・・・

***

私がここに投稿したボカロ小説のシリーズ目次の第1回目です。第1作目の“きのこ研究所”~第8作目の“部室棟”+番外編1作目です。
作品目次(2009/12/25時点):http://piapro.jp/t/5Qsh

同じく、目次の第2回目です。第9作目“鏡音伝”~第15作目“ルカの受難”の途中までです。
作品目次(2010年1月6日~2012年2月7日):http://piapro.jp/t/9GY1

更に、完結した『Dear My Friends! ルカの受難』のみの目次も作りました。
作品目次(Dear My Friends! ルカの受難):http://piapro.jp/t/qj6A

***

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

☆あず×ゆず様が、第8作目の部室棟の死神案内娘“テト”を描いて下さいました!。本当に有り難うございます!。
『おいでませ!木之子大学・部室棟へ♪』:http://piapro.jp/content/rsmdr1c3rflgw7hf

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投稿日:2012/10/09 22:40:11

文字数:3,286文字

カテゴリ:小説

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  • オレアリア

    オレアリア

    ご意見・ご感想

    enarinさん、お久しぶりです!待ちに待ったディアフレの第9話、楽しみにしてました!

    前回の8話も合わせて拝読させて頂きました。
    今回はヤマト国へ向かう前の情報整理と下準備、各人の心境が読み取れる大事な回だったなと思いました。

    それにしてもヤマト国の地方「トゥ・ホック」や「サホロ」には、聞いた事のある地名で思わず笑ってしまいましたw

    アキバ以外にも様々な地名がある、という事は他にもたくさん登場しそうですね。
    しかも現在のヤマト国は戦場になっているという事は、西の方はかなり激戦区になってそうですね。特に「ヤマシロ」とか「セッツ」の辺りとか…

    そしてこれまでイアを尾行してきたミズキ一行、まさかのテル達に歩み寄る方向にシフトしてきましたね。やはり隠れもできないし、逃げ場のない海上で彼らを敵に回すワケにはいかないからなんですよね。さすがミズキさん、賢明な判断!

    いよいよテル達とミズキ達の一行が鉢合わせしそうな気がしますね。しかしテル達はミズキ達の素性に感づいている、それをミズキ達はどう切り抜けるのか。またその目的は…?
    今後の旅路とヤマト国での展開がとても気になります!

    ブクマ頂きました!僕も更新が完全に滞ってしまってピアプロに来ることも少なくなりましたが、enarinさんのディアフレは更新される度の楽しみです。次回の10話のうpも待ってます!

    2012/10/10 21:34:22

    • enarin

      enarin

      オセロット様、今晩は!

      > 待ちに待ったディアフレの第9話

      アップが遅くなりましてごめんなさいです orz

      > 拝読させて頂きました

      有り難うございます!最高裁についてからの3話分で一区切りです

      > 各人の心境が読み取れる大事な回だったなと思いました

      これまでめぐみさんとかのお話で終わっていましたので、区切りをつける意味でも、今回は敵味方、全員の各人の思いを書いてみました。

      > 「トゥ・ホック」や「サホロ」

      ”トゥ・ホック”の方は、GRYPHUSδ様のコメント記載のアイデアをお借りいたしました。とっても感謝感謝です。他にも皆様のコメントで”これいいな”と思った事は、決めていない事項に関してのみですが、お借りいたしております。

      > たくさん登場しそうですね

      はい。ここまでのエリアの名前はボカロパラメータの名前のもじり。これからはまさにココの名前を使っております。大事な理由がありますので。

      > 特に「ヤマシロ」とか「セッツ」の辺りとか…

      まだ西の方の地名、決めてなかったです…、もしかするとお借りするかも知れません、すみませんです。

      > 歩み寄る方向にシフトしてきましたね

      これはミズキさんの言っている通りの理由です。好戦的なわけではないので。ただ、イアさんが欲しいという事は、そう簡単には受け入れて貰えないでしょうね。

      > さすがミズキさん、賢明な判断!

      今回のミズキさんは三人組のリーダーなので、格好良く書いてます。こちら側のテルやめぐみさんの位置ですね。

      > それをミズキ達はどう切り抜けるのか。またその目的は…?

      第1期は戦闘の緊迫感、第2期前半と中盤は話し合いの掛け合いで面白くしようと思ってます。ただヤマト国に入ってからは…

      > ブクマ頂きました!

      有り難うございます!!! とっても励みになります!

      > enarinさんのディアフレは更新される度の楽しみです。次回の10話のうpも待ってます!

      はい! 頑張って中盤の航海編を書こうと思います。でも中盤は短くて、本編のヤマト国編が本番になると思います。

      このたびのご閲読、コメント、ブクマ、本当に有り難うございます!

      2012/10/11 20:30:26

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