人目も憚らずにずっと泣いてた
そしてそれはいつしか鳴り響く
小さなファンファーレになったんだ
小鳥が一羽囀ってくれたから

もう残せるものなんて無いって
空っぽのポケットが寂しくって
空を忘れるくらい俯いていた
下弦の月が笑っていたっけ

欲しいもの思い浮かべられなくて
誰かに優しくしてもお返しを言えない
そうしたかっただけなのに困ってしまう
そうして誰か困らせてしまうんだ

本当の愛も真実の声も
覚えていなければ風になる
でもそんなの寂しいじゃないか


人目も気にせずにずっと踊ってた
そしてそれはいまにも解き放つ
小さなエピローグになったんだ
子犬が一夜唸ってくれたから

もう渡せるものなんて無いって
空っぽのポシェットが虚しくって
星を忘れるくらい下向いてた
滲んだ宵が呆れていたっけ

好きなもの思い及ぶことなくて
みんなを好きになってもご褒美を言えない
好きなだけだったのに悩んでしまう
こうしてみんな悩ませてしまうんだ

完全な意志も満足な意図も
記していなければ雨になる
でもそんなの虚しいじゃないか


誰よりも大きな声で歌うことができた
遠くの山に聞こえるように震わせていた
誰かがそれを聞いて怖いって言ったんだ
そのうち僕は歌うことができなくなった

森が聞かせてほしいって乞いに来た
雨はあの声が懐かしいって言いに来た
星がやたらと静かだなって聞きに来た
鳥がまた共に歌おうって会いに来た

歌になってそこで溶けるようにして
終わらないひとつむぎを何度も何度も
嗄れなくなった喉は河のように潤い
湧き出す響きが豊かに広がっていく

もう寂しくなくなっていたんだ


欲しいものも好きなものも考えなくて良い
誰かをみんなをずっと大好きなままで良い
困らせたり悩ませたりしなくても良い
誰かの顔色をうかがって歌わなくても良い

どこかで聞こえた歌が心地よく思えたなら
もしかしたらそれは僕の足跡かもしれない
良かったら君も少し歌ってくれるかな
すぐに忘れてしまうだろうけどそれでも

声は灯ったんだ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

singing to reload.

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投稿日:2024/11/09 21:29:17

文字数:862文字

カテゴリ:歌詞

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