ああ、いつから私はこうやって俯いて歩いているのだろう。
あの日、余りにも長い道のりに私は少しだけ疲れてしまって。
立ち止まってみようかな、なんて甘えたことを考えていたら、時間という列車に置いて行かれてしまった。
私は今日も、『人生』という名の…長い長い、旅をしている。


“アイロニ”


幼い頃、幼稚園の隅でひっそりと積み重ねた積み木のタワー。
もう少しで当時の私の身長よりも大きくなるというところで、いじめっこたちに壊されてしまった。
昔も…そして今も、私は誰かに邪魔されてしまって後一歩まで近付いた完成には辿り着けない。
そんなことを何度も繰り返して、今ではもう惨めな思いをするのも悔しい思いをするのも慣れっこになった筈なのに。
手に届かないまま目の前で潰える可能性に、私はまた泣きそうになる。
でもまた挑戦するのはどうしてかって言われたら、いつも必ず途中までは巧くいくから。
「もしかしたら、今回は…!!」って、淡い期待を抱いてしまうの。
…どうせもう直ぐで完成するというところで壊れるなら、最初からバラバラに壊してくれればいいのに…!!

ねぇ、「絶対」って何だろう。
所詮、人の創り出すモノは人によって受け止め方も正解も違うんでしょう?
だったら、「絶対大丈夫」だなんて言葉、信じられないじゃないですか。

「苦しむのは皆同じだよ」ってあなたは言うけれど、“私の苦しみ”を理解してくれてるわけじゃない。
…苦しくて、逃げ出したくて。
私は子供のように泣いた。


…でもね、ふと気付いたんだ。
私が難しく考えてたことほど意外と簡単で、面倒くさいと思ってたことほど淡々と終わるものだって。
夢、希望、生きる意味…そんなものは要らないから、私に思い切り泣ける場所をくれないかな?
…泣き疲れちゃって、ちょっと、立ち止まりたくなったんだ。

あなたと居ると、綺麗事すらも信じたくなる。
都合のいいことを言ってるって知ってるけど、ついつい甘えたくなっちゃうよ…。


…ねぇ、でも無理だよ。
今更この長い旅路を変更することなんて出来ないの。
だから、もう放っておいて。
もう関わらないで?
…私、そろそろ本当に疲れちゃった…。

私だけの世界に閉じ籠もり、ただ泣き喚いて。
逃げ道を探しても、そんなものありはしないから。
だから、「これで幸せだ」って、そう思えばいいんでしょう?
ねぇ、そうだよね?

…そう納得して、
迷子の私は、一人泣く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

アイロニ/すこっぷP【心情解釈小説】

こんにちは(●´∪`●)
有言と申します。
記念すべき第一号はすこっぷPの『アイロニ』でした!!

-上手に生きるのは難しい。

すこっぷPは曲紹介でこのように『アイロニ』を表したそうです。
きっと誰もが生きていることに正解なんて見いだせていない。
だからこそ共感できて、「もうわかんないよ バカ!!」で涙腺が崩壊した方は多くいらっしゃるんじゃないでしょうか。

本当にこの曲は可愛いけれど、とても切なくて。
「人生って難しいなぁ」って、考えさせられる。
そんな深い歌詞ですよね。

歌い手の皆様方がこの曲を歌うとき、心情をふと思い出してもらえるような。
そんな作品になっていれば幸いです。

最後になりましたが、文章化の許可をくださったすこっぷP、本当にありがとうございました!!

閲覧数:3,396

投稿日:2012/08/12 11:55:37

文字数:1,024文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • merushia

    merushia

    ご意見・ご感想

    曲を聴きながら読ませていただきました!
    もう涙腺がやばいです(笑)
    とても素敵な小説ですね!

    2012/11/29 21:29:54

オススメ作品

クリップボードにコピーしました