《A1》
コトシの夏は嫌に暑過ぎて
買ったばかりのアイスが溶け出す
駄々捏ねたアイツの御機嫌取りに
一番好物の味にして
燃え尽きそうな程の太陽は
深く濃い影を貼り付け落とす
情け容赦もなく降り注ぎ
垂れて赤く滲んだ
《B1》
あぁ 何処か懐かしい
アイツとよく寄り道したこの道
あぁ 何故なんだろう
昨日が随分と遠くにある
この曲がり角を曲がった先の
僕らの秘密の避難場所は
相も何にも変わらず
そこにあるはずのものだったんだ
《S1》
伽藍堂に引かれた境界線
に躊躇して後ろに後退る
「何もわからない…!」って怯えて震え
冷えた記憶は嘲笑ってる
「鴉ガ鳴ク前ニ帰ロウヨ?」
冷たくニヤけた声が響いた
「そうだ、帰らなきゃ。もう時間だ。」
茜色染まる頃へ
《A2》
常に後ろを付いて回ってた
鬱陶しいと手を払い退けた
お年頃の僕は仲間欲しさに
一番大事を突き放して
コトシの夏も嫌に暑いから
悪巧み会議をしていたんだ
だからアイツにはまだ内緒で
仲間外れにしてた
《B short ver.》
「ねぇ 夜は危ないよ?」
そう言って僕の服の裾掴む
「そんなに帰りたいなら
一人で帰れよ!」と舌を出した
《S2》
伽藍堂に引かれた境界線
が忘れてた孤独を呼び起こす
「何も見たくない…!」って叫んで泣いた
冷えた記憶はしたり顔して
「鴉ガ鳴ク前ニ帰ロウヨ?」
あざとく嘯く声が響いた
「そうだ、逝かなくちゃ。もう時間だ。」
茜色染まる場所へ
《C》
赤く滲んだシャツの意味も
本当はとっくに気付いていた
忘れられるはずもない記憶
嫌に暑い夏の記憶
不貞腐れ顔で渋々帰った
いつもの寄り道をして
僕を脅かそうと待っていた
誰かが来るまで待っていた
だから 僕はキョウも
ハサミを喉に突き立てる
《S arrange ver.》
伽藍堂に引かれた境界線
の向こう側に見えた横顔
「何なんだよこれ…。」って駆け寄り抱いた
冷えた笑顔は赤く染まって
「鴉が鳴く前に帰らせて…!」
劈くような声で嘆いてた
「どうか、お願いだ…。もう一度だけ…。」
そう何百回繰り返して
伽藍堂に引かれた境界線
から振り上げた僕の手を握り
「もう前を向いて。」って笑ってみせた
冷えた記憶は狼狽え踠く
「鴉が鳴く前に帰ろうよ?」
聞き慣れてたあの声が響いた
「ごめん、帰ろうか。終わりにするよ。」
茜色のあの日を抱きしめた
《A short ver.》
今年の夏は嫌に暑過ぎて
買ったばかりのアイスが溶け出す
駄々捏ねたアイツの御機嫌取りに
一番好物の…
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