過去巡り 外伝   『花の祝福』 その4



家に帰りベッドの上でサキを説得できなかったことに私は

ごめんね…流香…

流香に少し罪悪感を持った

流香に内緒にしてねって言われたのに…はぁ~何やってんだか私は…

天井を見ながらため息をついた

サキを合唱部に入れることができなかったから…どうするんだろ…流香…

違う子を誘ったりするのかな?でもそれじゃガク君との約束が…

どうするんだろう…どうしようか…


その後、ご飯を食べて風呂に入って眠るまでずっと

どうするんだろう…どうしよう…と悩み続けた



次の日の昼休みに流香と昼ごはんフランスパンを食べながら

「そういやどこを部室にするの?」

「ん?第二音楽室だよ?先生がもう使っててもいいってさ」

「じゃあみんなでそこに集まるか」

私の提案に流香は少し驚いた

「え?でもまだ5人揃ってないよ?あと1人捕まえなくちゃ」

「私達だけで動くよりもヒロと優希も混ぜてみんなで動いた方がいいでしょ?

クラスの子に声をかけるならあの2人にも手伝ってもらわないと」

「あぁそっか、そうだよね…」



そして放課後になり4人で第二音楽室、部室に集まると流香が

「……でサキをゲットすることができませんでした。」

昨日のサキとの事をヒロと優希に話した

「まぁ仕方ないんじゃない?サキにはサキの考えがあるし…」

「でもちょっと…残念…またみんなで…やりたかった…」

ヒロは淡々と、優希はかなりショボーンとしていた

私は昨日の事…流香と別れてから私1人でサキを説得したことを、流香

には話していない。

ごめんね…流香…内緒にしてってお願いされたことを勝手に話しちゃって…

しかも説得に失敗して…

本当にごめんね…

私は流香の背中に謝った。そして

「うん残念だね…だからあと1人をみんなで捕まえようってハナが言って、

今日からここに集まってもらうことにしたの」

流香の言葉に続き

「そう。だからみんなで良い案出して、あと1人ゲットしよ?」

わざと明るい声を出した

「…そうだね。やっぱりクラスの子に声をかけるのが無難かしら?」

流香が私とヒロ達を交互に見て提案すると

「そうだね……でもそれだけでいい?ポスターとか作ったら?」

「ポスターって…誰が書くの?…流香かヒロ?」

ヒロと優希が加わった。

ん?なんで私の名前が出てきてないんだ?

「絵は優希が上手いでしょ?お姉さんの漫画を手伝ったことあるんでしょ?」

優希の案に流香は何にも疑問に思ってないのか、そのまま話を進めようとするが

「ちょっと待て!なんで私を省いたんだよ!?」

優希に私が疑問に思ったことを言うと

「だってハナ…絵ヘタクソ…幼稚園レベル…落書き…酷すぎる…ゴミ」

「おぉーい!?言いすぎだぞ優希!!」

予想以上の答えが返ってきた



そしてみんなで話し合いを始めて10分ぐらいたった時、

話しと言っても合唱部の部員確保の話じゃなくて、ただのお喋りだったけど…

携帯にメールが来た

 『今どこにいるの?もう帰っちゃったの?』

サキ?え、なんで?

サキからのメールに私は疑問に思った。

サキからのメールだし、昨日の事があったので私はみんなに内緒にして

 『今みんなで第二音楽室にいるよ。今日からここが合唱部の部室なんだ。

 みんなで最後の1人をどうやって捕まえるかって話ししてるんだ~』

と送るとすぐにサキから返事が来た

 『捕まえなくていい。今から私が行く』

サキのメールに私は驚いた

は?え?なんで?今から行くって、え?

私が携帯を見て驚いてるのを流香が変に思ったのか

「ん?どうしたのハナ?何に驚いてるの?」

と聞いてきたので私は焦って

「何でもない何でもない!!驚いてにゃいよ!?」

「にゃいよって…十分驚いてるじゃない…」

不審に思ってる流香に手を振りながら

「ホントににゃんでもないから!!気にしないで!!」

「変なハナ…はっ!もしかして……男の子から…とか?分かった、聞かない…」

違ぇーよ!!

変な勘違いをしてる流香を無視してサキに返事した

 『今から行くって何?どうゆうこと?もしかして合唱部に入ってくれるの?

 でもサキは昨日、私と流香が説得しても断ったじゃん?え、なんで?』

すぐにサキから返事が来た

 『そう、私も合唱部に入るよ。

 昨日ハナと別れて家に帰ってからずっと考えたんだ。ハナの言った通り、

 私も流香とガク君の仲がずっと心配だったんだ…

 そんでアンタから2人の今の状況を聞いてもっと心配になった。

 でも演劇部を辞めてまた合唱部に入ることにかなり迷った。

 けど演劇部にはまだ入ったばっかだし、私も…2人を応援しようと… 

 アンタが言った通り文化祭で流香とガク君を会わせたいと思ったんだ。

 だから最後の1人は探さなくていいよ?私が最後の1人だよ。』

サキのメールを読んでると段々と嬉しくなってゆき

「やった…」

笑顔になり、つい小声を出してしまった

そしてすぐにサキに

 『ありがとう、サキ!すっっごく嬉しいよ!待ってるからね!

 私達、部室で待ってるからね!早く来てね!』

 『うん、今から行くよ。だから流香には秘密にしててね?』

自分の心を…嬉しさを表したメールを送り、サキから返事をもらうと流香が

「良かったね…ハナ」

なぜか微笑みながら私に言ってきた

「うん…良かった…すごく嬉しい」

「今のハナ、すっごくいい顔してるよ?気持ちが伝わった女の子の顔してるよ…」

流香は微笑んで…いや、少しうっとりとしていた

は?なに言ってんだ?

流香の言葉に私は疑問を持った

確かに気持ちは伝わった。サキが一緒に合唱部をやってくれるって…

でも何が女の子の顔してる…んだ?

「なに言ってんだ流香…私は元から女の子だぞ?」

「分かってるよハナ…言わなくても分かってるわ…」

流香は目を伏せて首を振り、手で私を制した

「いや、あの…な、なに言ってるの?聞いて?サk…いや、言っちゃ駄目か…」

サキが合唱部に入ってくれるんだって!そう言いかけた自分を止める。

危ない危ない…ここで言ったら一昨日と昨日の二の舞だ…

「うん、言わなくていいよ…私は分かってるから…

上手くいったんでしょ?そんぐらい顔を見れば分かるよ…

大丈夫だよ…私は聞かないよ…2人だけの秘密にしたい気持ちだもんね…」

うんうん…と頷きながらなぜか納得してる流香に

「い、いや…ちょ、ちょっと待って…な、なんだと思ってるの?」

何を考えてるのかと聞くと流香は真面目な顔をして

「ハナ…言わなくても分かってるって言ったでしょ?だからそんなこと

聞くんじゃありません。駄目よ?

相手の子にも悪いでしょ?相手の子だって勇気を振り絞ってハナに自分の

気持ちを伝えたんでしょ?だからハナだって嬉しかったんでしょ?

それに相手の子だって秘密にしてて欲しいってきっと思ってると思うよ?

だからわざわざ聞くんじゃありません。いーね?」

なぜか説教されてしまった

「い、いや…ちょっ…流香さん?」

確かにサキは流香には秘密にしてねとメールで言ってきたが…

そんな説教することですか?

流香の態度に疑問とゆうより、うろたえながら言うと

「ねぇ…もし良かったら私に紹介……はさすがに早いか…

そうね…私に紹介するのはまだ早いわね…いけないわ、私ったら…

同じ中学の子なんでしょ?ねぇ何組の……あっ!ごめんね!

聞かないって言ったのに…つい気になっちゃって…ごめんね?聞かないわ…

でもねハナ…私達は友達だから何かあったらいつでも相談していいからね?

私はハナとその子を応援するからね!いくらでも協力するからね!」

私の手をがっしりと握って何かを決意した流香に

「え、え~っと…あの~~そのぉ~」

協力するのは私達の方なんだけど…

あんたとガク君の為に合唱部を作ろうと…

え~っと…と何にも言えないでいると流香が手を離して

「でも良かったねハナ…気持ちが伝わって恋人ができて…私もすっごく嬉しいよ…」

しみじみ言う流香の言葉でやっと私は理解した

そうか!コイツ私がサキからメールを貰ってるのを見て男の子から…と

言ってた!!そんで私が良かったって言ったから、良い返事を貰って

付き合うことになったって思ってるんだ!!

なんてこった!!流香の頭の中じゃ私が知らない男の子と付き合ってる姿が

もうできあがっているのか!!

コイツ馬鹿じゃねぇの!?高校に入ってすぐに好きな男に告るかよ!!

確かにいるけどよ…メールの相手はサキだっつーの!!

どうしよう…このままじゃ流香にずっと勘違いされっぱなしになるかも…

いや、勘違いされっぱなしになる…

でも説明はできないし…面倒くさいなぁ…う~~~ん……



色々と悩んで私は流香に

「なんかあったら相談するよ!」

流香の勘違いを通すことにした

「任せて!いくらでも力になるから!!」

私達の友情がさらに固くなった………ような気がした



そして流香が漫画について真剣に話してる優希とヒロを止めて

「…ポスターは優希とゆうことで…じゃあ今日はもう帰ろっか?」

そう言って立ち上がろうとするので

「え~?もうちょっとみんなで話そうよ~?」

サキがもうすぐ来ると知っていたので私が止めると

「じゃあ…もうちょっとだけね…」

流香がまた座り私達を見た

良かった~これでサキが来るまで時間が稼げる…

内心でほっとして

「今度みんなでショッピングモールに行こーよ?」

とみんなに提案するとヒロと優希が

「いいねぇ~ハナ。3階の新しいお店に私行ってみたかったんだよね~」

「ヒロ…こないだ新しい服買って…お金無いって…言ってなかった?」

私の話に乗ってくれた

そしてちょっと話しすると部室のドアが

がちゃ、

と開き、そこに立っていたサキに流香とヒロと優希が

「え?」

「あっ」

「…へ?」

と驚くが私だけは驚かなかった

「……」

だって誰が来るか知ってたんだもん…

みんなでサキを見ると、サキが私達を見回し

「やっぱりいたね…」

微笑みながら静かな声で言った。

そんな1人落ち着いてるサキに流香が立ち上がり

「え?え?何でサキ来てるの?あれ?演劇部は?」

サキに近づきながら当然の疑問を尋ねると

「私も合唱部に入ろうと思って…いいでしょ?」

おそらく流香にとっては意外な返事をした。

サキの言葉に流香はうろたえながら

「は?え?何で?だ、だってサキ演劇部に入ったんでしょ?え?」

そりゃ驚くわな、私だってさっきメール貰ってビックリしたもんな…

するとサキがなんてゆーか…と言いながら私の方をチラッと見たので

サキ!?見たら気付かれるよ!

私が焦るとサキは視線を流香に戻して

「私もまた…みんなで合唱部をやりたいなぁ~って思ったの」

と流香とサキが2人で話し始めた。

するとヒロと優希も、サキ?なんで?と立ち上がり近づこうとするが、私は

「2人とも待って…」

そう言って2人の腕を掴んで止めた

「は?なんでよ?」

「ハナ…どうして?」

私が止めようとするのを疑問に思った二人に小声で

「実はさっき話した昨日の話に続きがあってね、流香と別れた後にサキと帰って

サキを私一人で説得したんだ、全部話して…まぁ失敗したんだけどね…

でもさっきサキからメールがあったんだ、やっぱり私も合唱部に入るって…

だから第二音楽室を部室にしてるって教えたの…だからサキが来たって訳よ…」

流香とサキを見ながら説明したら

「ふ~ん、そうゆうこと…」

「なるほど…ハナにしては…上出来だ…ね」

ヒロには納得され、優希には賞賛?された

微かに馬鹿にされた感じがするのは気のせいなんだろうか?

優希の言葉に引っかかりを感じながら

「そうだよ…だから…」

3人で流香とサキの方を見ると、微かに笑ったサキが

「いいよ…みんなでまた合唱部やろう?」

と言ったら流香が私達とサキを交互に見てから

少しずつ顔に嬉しさが広がってゆき

「ありがとー!サキー!」

サキに抱きついたので私は流香のところに行き

「よかったね…流香」

本当に良かったね…

そう言うと満面の笑顔の流香が

「うん!嬉しいよー!ありがとーサキー!ありがとーみんなー!」

飛び跳ねるように喜んだ。

こうしてようやく流香がガク君との約束の合唱部を作ることができた。



そして抱きついてる流香にサキが苦しいと言って流香を剥がし、

私達はみんなで記念の写真を撮ることにし、

「それじゃ~撮るよ~はいチーズ!」

パシャ!



合唱部結成の写真を私達は撮った





流香とガク君の為の合唱部…その結成の写真を撮った

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

初恋メロディー 過去巡り 外伝 花の祝福その4

過去巡りの花の祝福のその4です。

サキが部室に来る前のやり取りがポイントですかね?

外伝に書いてていいのかな?

閲覧数:29

投稿日:2011/11/25 14:34:57

文字数:5,386文字

カテゴリ:小説

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