＃１１




「……え、ネル？」

「リンさん！ルカさんはあの人にやられました！気をつけてください！」


後ろから、ミクが忠告する


「……うぅ……リン？……なんだ……また頭痛が……くそっ！」


ネルが最初と同じように頭を抱える




「……そう。ルカ姉はネルに……」


一瞬、とても悲しそうな顔をするリンだったが、すぐにギラリと光る目でネルを睨みつけた


「なんだよ……その目は？」


ネルがリンを見て睨み返した


「正直、ネルが生きていてくれて嬉しい……けど、ネルがルカ姉をやったっていうなら……私は【今度こそ】あなたを！」


リンは忍者刀【白鳴】を構える


「あんたは私をしっているみたいだけど、私はあんたなんて知らないんだけど？」


不敵な笑みを浮かべるネル




「…………そう。他人の空似っていうなら、よかったよ。……こっちもやりやすい！」


そういって、リンがネルに飛びかかる

リンは、小太刀による細かい連撃をネルにあびせる

ネルはそれを必死に防御するが、大きな鎌と右手一本では限界がある

みるみるうちにリンがネルをおしていく




「……リン……痛い……痛いよ……やめて……」


ネルの口から発せられた言葉に、はっとして攻撃をやめたリン

その瞬間、ネルがニヤリと笑い、鎌の柄の部分でリンを吹き飛ばす


「わぁあぁぁあ！」

「リンさん！」


飛ばされてくるリンをミクががっしりと捕まえた

リンはミクを突き飛ばして、素早く立ちあがる


「邪魔！下がってて！」


そして、リンはむきになって、またネルに向かっていく



さっきと同じようにリンがおしていくが……


「リン……どうして……あたしを……痛いよ」


ネルの言葉に再びひるむリン

そして、今度は鎌の刃がリンを襲う


ぎりぎりでかわすリン

けど、顔に余裕はない










「いい！リン！あいつはネルじゃない！ネルじゃないんだ！しっかりしろ！」


自分に言い聞かせるリン

目をつむって、ふぅ……と大きく息を吐くリン


「やっと隙をみせたな！くらえぇぇ！！」


ネルが大鎌で攻めてくる


「リンさん！危ない！」


ミクの声が響いたと思った、次の瞬間、リンはネルの後ろにいた



その状況に、ネルも驚いて、後ろを振り返る


「な！い、いつのまに！」

「ネル…………苦しかったよね……ごめんね」


リンさんが涙目で二コリと笑う


ミクは何が起こっているのか、わからなかった……

けれど、次の瞬間に大鎌が砕け散る



そして……ネルの体が崩れた








「……ごめんね、ごめんね」


リンはミクに顔を見せないように背を向けて……震えていた




ネルがいなくなると、あたりの無数のバグたちが泥のように溶けて消えた

そして、カイトからの無線がはいる


「みんな……お疲れ様……」


でも、誰一人として、それに応答する気力がなく……それぞれが地に伏して涙を流した