夜の公園は好きだ。
昼間のように騒々しい子どもはいない。
この歳になってもブランコに乗りたいと思うのは
微かに心に残る思い出のせいなのか
それとも、自分のようだと思うからなのか...
ブランコに乗るにしては大きくなりすぎた体を
小さなブランコにそっと預けて漕ぎ出す

同じところをいったりきたり
 小さい頃は空を飛ぶようだとはしゃいでた
高さを違えどいったりきたり
 今になって自分のようだと嘲け笑う

繰り返すブランコを楽しいと思えたあの日
繰り返すブランコに虚しいと思ったこの日

「繰り返すばかりの人生だ...」

一人呟いた

「先に進めない...」

夜空を見上げた。
満天の星空は今の自分には眩しすぎて
思わず、俯いてしまう。

「また、繰り返すのか...」

ブランコに揺られて自らに問う

「どうすれば、先に進めるんだ」

気づいているのに見つめようともしない
どうすれば先に進めるのか

ブランコから降りればいい
ブランコを壊してしまえばいい

「それが出来れば苦労しない...」

揺れるブランコに身を預け
夜の公園でただ一人
漕ぎ出して降りれなくなったブランコを
いつか降りる日が来るのかと漕ぎ続ける

繰り返すだけの玩具を
繰り返すだけの人生と
壊れるまで続く遊戯を
壊れるまで続く苦しみを
止める誰かを望みつつ
止まらぬことに安堵する
抱えるものが重ければ
玩具は動くことが出来ぬのか
抱えるものが重ければ
壊れることが出来るのか

繰り返すブランコ
繰り返す人生
進めない 進まない
終わらない 無くならない
始まりの終わり 終わりの始まり
揺れるブランコは
今日もまた揺れている

ため息を一つ吐き出した

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ブランコ

うらりゆられて。

子供のときは遊び道具にしか過ぎなかったのに…

+++++++++++++

長めなので、切り取ってどこかに使っていただいてもかまいません。

閲覧数:41

投稿日:2013/01/22 23:49:11

文字数:718文字

カテゴリ:その他

クリップボードにコピーしました