「ねぇ兄さん、ここはどこかな…」
暗いクライ森の中、そこにいるであろう人物に問いかける。
先程から同じような質問ばかりしている。
たったひとりの頼れるひとを、困らせてはいないだろうか…不安になる。
「大丈夫、ここは僕らがよく知ってる森の中だよ。暗いから怖いけど、じっとしていれば大丈夫さ」
なのに、兄さんは怒りもせずに答えてくれる。
自分も怖いくせによく言うわよ。
前なんか怖い話聞いただけでビクってしてたくせに。
だけど、私を気遣ってくれていることは伝わってくる。
「そうだよね…」
「それに僕らは二人でひとつ。それなら、どこに行っても怖くないよ」
私と兄さんは双子の兄妹。
小さなときからずっと一緒、だからお互いを誰よりも知っている。
誰よりも信頼できて、優しいんだ。
「そうだよね…じゃあ、おうちに帰らないとね」
「もう暗いしね。一緒に帰ろう?」
「うんっ!」
手をつないで立ち上がり、辺りを見回す。
二人でいれば怖くない。どんなことでも頑張れる。
…だけど、今回はちょっと難しいかな。
「どう戻ろうね…?」
ふたりぼっちで、暗い森の奥深くに残された私たち。
これじゃあまるで、おはなしの中のヘンゼルとグレーテルみたい。
もし私たちが童話の通りになったのなら、両親を探さないと。
いつのまにかはぐれちゃったから、見つけなきゃね?
「こんなクライ夜には…、怖いクマが出るからね」
そう、恐ろしいほぼに暗い夜の森はとても危ない。
はやく、ハヤク…帰らないとね?
日が暮れるまでには帰らなきゃいけない。その言いつけを既に破っている。
辺りはすでに真っ暗。お月様の僅かな光だけじゃ、帰る道はまったくわからない。
もしも怖い熊に会ったら、「お願いです、見逃してください」って言って、許してもらおう。
「はやく帰らなきゃ」
こんな暗い夜は、カミサマがイタズラするから。
<<【置き去り月夜抄】仲良し双子と暗い森【二次創作】>>
「そうだ、森に行きましょう」
開口一番がこれだよ。
『そうだ、京都に行こう』みたいなノリで言うなよ。
理由も何も言わずに、この人起承転結の結から入ったよ。
「で?何しに行くの?母さん」
そう、結から入るという珍百景を見せてくれたこの人は、イヴ・ムーンリット。
僕らの母さんである。だけどこんな人と血が繋がっているとはとても思えない。
「そうそう、目的を伝えなきゃね」
「父さんは知っているの?」
「いや、僕は全然…」
「だんご○兄弟、だんご♪」
変な歌歌いだしたよこの人。
某教育テレビかよ。伏字の意味あんまないよ。
こんな母さんはいやだ。もっと優しい…いや、常識をもった母さんが欲しかった。
「実はね…これから森に【ヒミツ】を【自主規制】しに行くわよ、星」
「うわこの人ヒミツとか自主規制とか自分で言ったぞ、効果音使わずに自分の口で自主規制とかって言ったぞ」
「せめて全国放送で子供に聞かせられない単語を自分で言ってうまくピー音かぶせるってことしてよ…」
レンと一緒にツッコミをしちゃうくらいにはビックリだよ。
しかもこの人、星って漢字で言ったぞ漢字で。せめて☆にしてくれよ。
「冗談よ。ま、ついてからのお楽しみってことで」
どこからどこまでが冗談なのだろうか。
できればおかしなことを口走る性格を冗談と言ってほしいのだが。
「結構歩くから、かるーくご飯持って行ったほうがいいわね。何がいいかしら?」
何かあったかなー、と台所でガサゴソする母さん。
できれば手軽に食べれて美味しいものがいいな。
「あ!こんなのはどう?」
母さんが得意げに取り出したのは、
……何かの本?
なんか見覚えあるなあ…
「ちょ、ミク!それ台本だ!」
「え!?あ、え、嘘!?あれ本当だ!ヤダ、素で間違えた!」
どうりで見覚えがあるはずだ。
よく読みこんでるんだもん、そりゃ見覚えがなかったらおかしいよね。
「…なんだったっけ?ついでに見ちゃおう」
間違えて取り出した台本をパラパラと捲る母さん。
間違えたとはいえ、本番中に台本をガン見するのはどうかと思う。
「あ、そうだそうだ。うん。わかった。思い出した」
台本をパタンと閉じ、少し間をとって母さんが一言。
「本とはいえ、紙なんだから食べられるわよね?」
「「「いやいやいや!普通は食べない!」」」
なんてこと言うんだこの人は。
全員によるガチなツッコミが入ったよ。
そんな台詞、なかったよね…?
というかそれを喜んで食べるのはヤギか冥界の主くらいだと思う。
「まぁそれはさておき。サンドイッチやおにぎりでも持って行きましょうか」
「最初からそうしてくれ」
本当、なんだったんだろう、さっきのコント。
「よーっしじゃあ早速れっつらごー」
そうして母さんは出て行った。
開きっぱなしの窓から。…泥棒さんなの?
あと今外から「ヒイイイイイイイハアアアアアアアアアアアアアア!!!!」って聞こえてきたけど、キチガイなの?
「待てよ!イヴ!おーい!」
続いて父さんも飛び出す。
だがもう母さんの姿は見えない。
「はー…しょうがないなあ…ゆっくり行くか…」
父さんの後についていく。
この人はまともでよかったなあ。
部屋に隠してあったワッフルを頬張りながら歩く。
ワッフル美味しいよワッフル。神だよね。
ちなみに兄さんはポン菓子を食べていた。そこにあったから食べてるだけだろうけど。
…しばらく歩くと、どこからかうめき声が聞こえてきた。
何?ゾンビでもいるの、この森?
随分不気味な森だね!うわあ怖い!
「ねえ父さん、母さんはどこにいるの?」
「どこだろうね?でもほら、あの性格だし、ほっといても死にはしないよ」
「だよね。じゃ、放置するか」
「うんうん、そうしよう」
なんだか扱いがヘタレな悪徳裁判官の扱いになってきたけど、きっと気のせいだ。
いや、だって…ねえ?原罪者まで酷い扱いにしたら…もう収拾つかないよね。
ヘタレアンは一人で十分!
でも本当にこのうめき声何?
「だーもー助けてえー、抜けられないよー、わー」
しかもやけに棒読みだよ!w
足元に目を向けると、そこには落とし穴にはまったと思われる母さんが。
…何してるの?
「アダムー、抜いてー…穴から出られなくなっちゃったのー…」
しょぼんという顔をした母さん。
穴ちょっと広いのに、なんでなんだろう。
「出ようと思えば出れるでしょ?」
「でも、でも…」
言いにくそうに口ごもる母さん。
「だって…ここに、みかんゼリーが…!」
そう言ってスッと手に取ったのは、コンビニでもよく売っている、カップタイプのみかんゼリー。
出てこれるじゃん、と思ったけど、ミク姉が一番好きなものだもんね。
そりゃあ出られないよね。しょうがないね。
私は笑って一言。
「ねぇ母さん、この道にはどんな幸せが続いてると思う?」
「え?」
「そこでは、私の大好きなおやつも、思う存分食べることができるのかな…」
「急に歌詞の通りにならないで!私を助けてよ!みかんゼリー美味しそうなんだよ!ねえ!」
失礼な。
あまりにもみかんゼリー大好きっぷりが凄いから、これが一番いい対応だと思った結果なのに。
「父さん、この先に神様は待っているの?神様さえいたら、母さんを助けてくれるよね?」
「うーん、ちょっと無理かなあ」
「どうしてそんな悲しい顔で僕らを見るの?」
ほら、父さんと兄さんの目も冷ややかだよ。
さすがだね、二人ともよく状況を理解しているよね。
「じゃあ、母さんは放って行こうか」
「そうだね」
スタスタスタ。
もうね、さっき起きたことなんて見事にスルーしたいよね。
後ろから悲しそうな声が聞こえるけど、もう気にしたら負けだよね。
「おおっと父さんは急用を思い出したぜ!」
父さんがログアウトした。
そうだね、さっきのくだりで日が暮れちゃったもんね。
洗濯物取り込まないといけないもんね。
しめっちゃうよね。
私と兄さんは暗い森の中を歩く。
本当は全部わかってるの。
このまま森の奥へ奥へと進めば、もう帰ることなんてできないって。
じゃあ道戻ればいいじゃんと思ったけど、戻ったら戻ったでさっきの変な母さんがいるからね。
森って怖いよね。
「兄さん、懐中電灯なんて持ってないよね?」
「そもそも原曲に懐中電灯なんてないよ?」
「おおっとそれ以上は言ってはいけない」
今日はなんか、事故が多いよね。
「でもほら、道の手掛かりがないわけじゃあないよ。これを見てごらん」
兄さんがポケットから取り出したのは、手のひらサイズのガラスの小瓶。
私たち双子にとっては、とても見覚えがあるもの。
「それをどうするの?」
「これを月にかざすとね…ほら、ぴかぴか光るんだよ」
「わあ、凄い!兄さんは物知りなのね!」
もしこれが、まだお日様が昇ってるときだったら、火をおこせるよね!
でも当たり前だけど放火は犯罪だよ!
絶対にやっちゃいけないよ!
一生を暗いところで過ごすことになるからね!
「これが灯りになるから、安心して道を探せるね」
「うん、安心だね」
ガラスの小瓶が道を照らす。
でも、その道が正しい道かなんて、私達にはわからない。
わからないし知らないけど、歩いてみなければ正解なんてわからない。
そして月が満ちる時、一つの家を見つける。
「兄さん、これって…」
「あぁ、僕らにはわかる」
なぜだかとってもよくわかる、見覚えのある家。
そう、ここは、
「「ここは、魔女の家」」
倒すべき敵。
昔から話は聞いていた。
この森にはとっても恐ろしい魔女と、その子分が住んでいるんだって。
だから私達は貧乏で、食べるものに困っているんだって。
…ワッフルとかポン菓子食べてただろっていうのは、言わない方向で。
魔女は皆を不幸にする。
魔女はとても怖くて、悪い人。
悪者は、皆の敵は、倒さなければいけないんだ。
さぁ、―――悪い魔女を、やっつけろ!
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「ルッカーーー!」
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そしてスピードを落としたメイコの手が、空を切る瞬間。
「え」
メイコの制服の襟を掴んで、私から...【がくルカ】memory【6】
ゆるりー
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ご意見・ご感想
Turndog~ターンドッグ~
ご意見・ご感想
もうね……さすがというか安定というか……wwwwwwwwwww
(笑いをこらえているので言葉が出ません)
一体あんたにとってギャグ要素少な目とはどの位を言うのか!?wwwwww
ついでに君達台本もういらないよね! アドリブで十分面白いよね!wwwww
そういえば彼女らが台本無視し始めたのもmoonlit bearだった気がする。
いま読み返してみるとあの時はまだ軽く舞台裏に触れるぐらいだったのに、
今回はいきなり台本取り出しちゃうわ
ついでに読んじゃうわ
ついでにボケを入れちゃうわ
もはや途中から大罪ギャグがてんこ盛りしちゃうわ
まためーちゃんが暴走するわ
めーちゃんがエクスプロージョンしちゃうわで
なんだこれwwwwww
あと何、ミクさん大根ぶっかけは標準装備かい!?
ANFO爆薬を咄嗟に作る辺りそこはかとなくアレン臭が……
多分投げ入れただけでぶっ飛んだのはきっとどこからかグミさんがグレネードランチャーかなんかぶっ放して誘爆させたんだ!←
どうでもいいけど銀鏡反応っていう化学反応で出る廃液を放置しておくとちょっとの衝撃で急激に膨張して爆発する小規模な爆弾になるらしいですよ。
うちの高校の先生は1リットルビーカーに満タンの廃液の爆発を喰らって病院に搬送されたことがあったそうですw
わかんなかったら調べてください、説明めんどいんで←
めーちゃんの扱いにも定評が出てきたゆるりー((
2014/02/11 20:18:49
ゆるりー
ギャグ?は4月以降書いてなかったので、正直どのようなテンションで書けばいいかわかりませんでした。
昔の私はどうやってあんなカオスなの書いていたのでしょうね。
えっ!?少なめですよ!?ほら、結構シリアスじゃないですか!
彼らの台本無視っぷりはここまできました。
そうですね、moonlit bearです。
雪りんごさんへの誕プレとしてその時も今回も書いて…こうなりました。
投稿日も、moonlit bearから丁度一年なんですよ。日付をかぶせたのはわざとです。
「Jack-o'-lantern」関連は完全に舞台裏ですからねw
台本を間違えて取り出したあたりから、ミクさんが壊れましたw
悪ノさん関連は、茶番も大罪も原罪も繋げてますw
アレン君マジアレン。
へーそうなんですかー、って、先生ー!?
次回からのめーちゃんをお楽しみに(((
2014/02/12 22:21:17
雪りんご*イン率低下
ご意見・ご感想
うわあああああああああああめっちゃ嬉しい! ありがとう!
読んでる間ずっとゆるの誕プレ小説書かずじまいの罪悪感に苛まれてたよ!←
ミクちゃんがマイロード突き進んでいっても気にしない((
めーちゃんがヘタレアン並になっても気にしない((
爆弾の説明を余裕でスルーしちゃったよ!(ぉぃ
だって難しいもん! とにかく凄いってことだけはわかったもん!←
イ、イイハナシカナー?(((
2014/02/11 17:57:07
ゆるりー
気持ちだけでもすごく嬉しいよ!
でも受験終わるまで無理はしないでね!←
ミクさんはmoonlit bearと同じテンションにしたらこうなったw
めーちゃんは…テヘ☆←
難しいよね←
ブクマありがとう!
イイハナシデハナイナー(((
2014/02/12 22:10:52