「久しぶり」
 笑いながら彼女は言った。
 久しぶり、というには短い期間かもしれない。たった1ヵ月――。ただ、二年以上彼女と過ごしていた俺にとっては1ヵ月というのは長い時間だった。
「やあ」
 なんていったらいいか分からなくて、そう言う。本当は思いっきり抱きしめたいけど、ここは駅で、見知らぬ人がたくさんいるのでやめておく。
「迎えに来なくていいって言ったのに」
 そういいながらも嬉しそうだ。
「早く会いたかったし……な」
 かなり小さい声で俺は言った。
「え?」
 彼女は口元を押さえながら言った。クスクス笑ってる。
 まあ、あういうことを口にする俺が変だと自分でも思うけど。でも、彼女と会わなかった1ヵ月間、本当に大変だったんだ……。

★☆★


 彼女が出発する日、普通に送り出した。特に何もなく、彼女が笑って行ったので俺も笑って見送った。
 夜。

 彼女がいないことが。

 彼女と触れれないことが。

 彼女の温もりを感じれないことが。

 ここまで寂しいことだと初めて知った。
 一人で住むようになって数日。久しぶりに泣いた。彼女への依存はそうとうなものだった……。
 久しぶりの涙の感触。頬を伝う涙。胸が痛い。刺さるような痛み、じゃなくてなにかがこう、上がってくるような。なんで泣くのかわからない。自然と、涙が。流れて当然というように涙が。どうしようもできない。熱い。目が。


 泣くって……涙って……?

 
 何であるんだろう?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

涙雨

初投稿作品。

短めですいません^^

閲覧数:84

投稿日:2011/02/21 20:49:17

文字数:629文字

カテゴリ:小説

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