「・・・♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪♪♪♪・・・」
・・・!?
何・・・これ・・・
歌い終わったとたん、私の足元にぽっかり開いた緑色の穴。
逃げる暇も無く、私の身体は穴に吸い込まれるように落ちて行く。
「嫌っ・・・何この穴・・・!?誰かっ!助けてぇ!!」
声は誰にも届かず、どんどん穴の底に落ちて行く
・・・?
聴こえてくるのは・・・歌?
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
聞こえてくる歌は、何故か聴き覚えがある声で歌われていた。
けれど、誰が歌っているのかは分からない。
・・・誰が?
何故、どこで歌っているの?
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
「・・・♪♪♪ ♪・・・
なんで、聞き覚えがあるのに思い出せないのかしら。
お願い、教えて、答えて!
この歌を歌っているのは誰?
私はこのままどこまで行くの?
教えて・・・!!
・・・
・・・・
・・・・・!?
「ミク、大丈夫?」
「あれ・・・?お姉ちゃん・・・?」
「よかった、気付いたみたいね。」
「私は・・・一体・・・?」
「ミク、あなた、緑色の楽譜を持ったまま倒れてたのよ。」
「え・・・?」
私の手元には、さっきまで見ていた緑色の楽譜があった。
「ミドリノウタ」と書かれた、不思議な楽譜。
確か、この楽譜の通りに歌ったら・・・穴に落ちた。
落ちた筈なのに、何故か私は助かっていた。
「う~ん・・・謎だらけだわ・・・」
「ミク?」
「あ、ううん。なんでもない!」
「いや、待って・・・ミクには、話しておいた方がいいかもしれない・・・。」
「何を・・・?」
「・・・話すわ。全部」
お姉ちゃんは、「アオノウタ」から始まった事件。「ミドリノウタ」と「アカノウタ」の呪いの話。
そして、帰ってこない「KAITO」と言う人のこと・・・
たくさん話してくれた。
「そのKAITOって人は・・・私のお兄ちゃん・・・?」
「そうよ。「アオノウタ」の件以来、帰ってこないままだけど。」
「・・・憶えてない・・・。」
<ピピーッ!ピピーッ!ピピーッ!>
突然鳴り響く警報。
地震?火山の噴火?・・・どちらでもないみたい。
『ただいま入りました情報によりますと、植物が異常繁殖し、登山者の遭難等の事故が多発。そして、街にもかなり繁殖が始まり、道路や建物などを破壊しながら、なおも繁殖が続いております!!』
・・・え?
「植物の異常繁殖・・・?あ、そういえば、「ミドリノウタ」の封印はまだされてない・・・
でも・・・どうすれば・・・?」
「えっと・・・逆さに歌えばいいんだっけ・・・?」
「ううん、ここで歌っても意味が無いの・・・あ、そうだ!」
「何・・・?」
「「アオノウタ」よ!「アオノウタ」を逆さに歌った時、実体化することが出来たわ。それを利用すれば・・・!!」
そう言ってお姉ちゃんは、私の手をしっかりと握り、逆さの「アオノウタ」を歌い始めた。
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
この歌・・・たしか穴の中で聴いたような・・・
・・・!!
一瞬周りが真っ白になって、気付くと、私はお姉ちゃんと二人、見知らぬ場所にいた。
「マスター、お久しぶりです。」
「ま、またかよ・・・もうどうでもいいや・・・好きにしろ。」
「あ、は、はい!行くわよ、ミク!」
「え?あ、はい!」
さっきいたのがマスター?
と言うことは・・・あれ?
あぁ、思い出した。何もかも。
「アオノウタ」から始まったこと。
私とお姉ちゃんが残りの歌を歌ってしまったこと。
KAITOに・・・お兄ちゃんに封印の仕方を念じて伝えたこと・・・!!
全部思い出した・・・!!
「お姉ちゃん、私、全部思い出したわ!お兄ちゃんのことも、この一連のことも!!」
「そう、良かった!!と、とにかく、今は“崩壊の中心”があった場所に向かいましょ!」
お姉ちゃんに手を引かれてたどり着いたのは、草だらけでかなり荒れた様子の中央広場。
かすかに聞こえるのは・・・歌?
「ミク、あなたは「ミドリノウタ」を逆さに歌って頂戴!私は「アカノウタ」を歌うわ!」
「うん!」
「・・・♪ ♪♪♪♪ ♪♪ ♪♪♪・・・」
「・・・♪♪♪♪ ♪♪ ♪ ♪ ♪・・・」
歌い終えたとたん、今度は茶色の穴が開いた!
「・・・ッ!!なるほど、赤と緑が混ざれば茶色になるってことね・・・」
「お姉ちゃん!納得してる場合じゃないでしょ!!」
「大丈夫、上手く行くか分からないけど、試したいことがあるの・・・」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
お姉ちゃんが歌ったのは、逆さの「アオノウタ」
周りで流れていたお兄ちゃん声と共鳴して、なんだか聴いていて心地が良かった。
・・・なんてこと考えてる場合じゃない・・・けど・・・あれ?
周りが・・・茶色から青に変わってく・・・
「ミク!上手く着地するのよ!」
「あ、うん!!」
<トンッ!>
何とか着地したその場所には・・・
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
逆さの「アオノウタ」を歌い続けるお兄ちゃんがいた。
「KAITO!」
「お兄ちゃん!!」
「KAITO!気付いて!!帰りましょ?もう大丈夫だから!!」
「お兄ちゃん!ね?一緒に帰ろ?」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
お兄ちゃんは、私達の声を無視して歌い続ける。
本当に、聴こえてないのかしら・・・
「KAITO・・・どうしましょ・・・」
そうだ。一つ良いことを思いついた。
「お姉ちゃん、目には目をって言うじゃない。だったら歌には歌!私、お兄ちゃんの耳元で逆さの「ミドリノウタ」を歌ってみる。」
「え・・・?」
「やってみて損は無いと思う。だから・・・ね?」
「まぁ、良いわよ。やってみなさい。」
「うん!」
そして私は、お兄ちゃんに近づいて、耳元でささやくように歌う。
「・・・♪♪♪♪ ♪♪ ♪ ♪ ♪・・・」
お兄ちゃん・・・お願い、戻ってきて・・・!!
「・・・♪♪♪♪ ♪♪ ♪ ♪ ♪・・・」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
「・・・♪♪♪ ♪ ♪ ♪♪ ♪・・・」
「・・・♪♪・・・♪・・・!?」
「お兄ちゃん?」
「・・・あれ?俺は・・・一体・・・?」
「良かった!お兄ちゃん元に戻った!!」
「え?え?元にって、何が!?」
「良かった!!本当に良かった・・・お兄ちゃん!!」
「・・・え?な、何なの一体!?って言うかここどこ!?」
「・・・もう・・・心配したんだからね、バ・カ・イ・ト!」
「なっ!バカイトってゆ~なぁ~~!!」
「良かった。ちゃんと戻ってるみたいね。」
「だから・・・何?」
「さ、お兄ちゃん!帰ろう!マスターのところへ!」
「そうねぇ・・・私が「アカノウタ」を逆さに歌った時は無事戻れたから・・・同じ要領でやってみましょ。」
「え・・・?何の話・・・?」
「KAITO!ミク!こっちきなさい!」
「はーい!」
私達3人は手をつないで、お姉ちゃんが逆さの「アカノウタ」を歌った。
「・・・♪ ♪♪♪♪ ♪♪ ♪♪♪・・・」
お姉ちゃんが歌うと、私達の足元に赤い穴が開いて、落ちたと思ったら、いつものパソコンの中に戻ってきていた。
そして、災害のニュースは完全に流れなくなって、ディスプレイから見える景色も、いつものマスターの部屋に戻っていて、すべてが何事も無かったかのようになっていた。
「戻って・・・これたのね。」
「なんか久しぶりな感じがするなぁ・・・」
「お兄ちゃんは向こうで数日過ごしたんだっけ?」
「うん。」
「あ、なんかずるい」
「え~・・・?も、もういいよ・・・うん。」
「なんで?」
「・・・疲れる。」
「ああそういう・・・」
「とりあえず、もう二度とこんなことが起きないように、この楽譜はゴミ箱に捨てて、
歌のメモリも全部消してしまいましょ。」
お姉ちゃんはそう言って、楽譜を全部ゴミ箱に放り込んで、そしてゴミ箱を空にしてしまった。
これで全てが終わる。これで、またいつも通りの生活が始まる。
「ご・・・ごめんね?俺のせいで・・・」
「ううん、「アカノウタ」を歌っちゃった私も悪いんだし・・・」
「そうよ。私も「ミドリノウタ」、歌っちゃったから・・・。お兄ちゃん帰って来れたんだし、もう大丈夫よ!」
「”終わりよければ全てよし”って言うでしょ?だからもう、大丈夫。」
「うん・・・!!」
こうして、一連の事件は終わりを告げた。
そしてまた、いつも通りの日々が始まる―
―END―
【小説】碧ノ歌
やっと完結・・・!!
長かった!!wwww
2時くらいに始めて気が付きゃ4時だー!wwww
しかもだんだん内容は短くなってる気がするー!
一応メモ帳にバックアップ取ってるけどそれぞれの容量が↓
蒼ノ歌→10.6KB
紅ノ歌→7.06KB
碧ノ歌→6.87KB
・・・
やっぱり短くなってるwww
の割には何で書く時間は伸びてんだろーwww不思議www
とりあえずハッピーエンドになりましたw
バッドエンドだったら多分全員帰ってこないんだろうかw
あ、ちがうな、実はまだ呪われた歌ありましたよ的なオチになってたかもwww
本当そうしなくて良かったwもう疲れた!!www
実は黄色も出そうかなとかも当初は思っていたのですが、
黄色は同じ意味の違う漢字が出てこなかったのでこうなりましたw
後人数増えても面倒臭いことになるだけなのでwww(実は昔学校の宿題(日記みたいなの)で日記ネタが無くて小説書いてたとき、仲間増やしすぎて収拾が付かなくなった経験が・・・w)
あと、それぞれの歌の音符の配置は考えて変えてあります。
並べると分かりますが、「逆さに歌う」と言う表現の時に分かりやすいようにしてありますwww
ちなみに穴は2回歌うと開く的な設定があったり無かったりw
とにかく、この流れはこの3部作で終了です。
今回改めて自分が短編の方が合ってる事に気付きましたw
ブログでやってる連載どうしよう・・・orz
まぁとりあえずここまで読んでくださった方には感謝します!
今回かなりの労力を費やしたのでまた当分文章は書かないと思います←
でもここまで読んで少しでも面白いなと思ってもらえれば幸いです。
意見・感想・誤字脱字報告(←ここ重要)などお待ちしております!
ミスタッチが多いので誤字脱字多分あるので気になったら何でも言ってください!修正するので!
ではっ!
コメント2
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ご意見・ご感想
戒斗 星
ご意見・ご感想
3部作じっくり拝見しましたー^^
話の展開が上手くて、設定が良いなあwと思いました。
ボーカロイド、という彼らの立ち位置が上手く引き立ってて、感動してしまいました♪
何故にこんな素敵な話が創れてしまうのでしょう。
ぜひご指南して頂きたいくらいです…orz
やっぱりKAITOは「俺」派が多いんですかねー?
でも、可愛いKAITOなら俺でも僕でもボクでも私でも何でも良いn…(p゜ロ゜)==p)□`)
三人とも無事で本当に良かったです。ハッピィエンドですね♪
途中、マスターが、慣れて来て動じてないところが好きです(笑)
…ミドリノウタでネギが大量発生、巨大化する所を想像してしまいました…orz
内心喜ぶのはミクだけですね…。←
2011/05/18 20:54:46
背黄青_もみじP
>戒斗 星 さん
好評価ありがとうございます!
設定は自分で混乱しつつ微調整しながら矛盾があまり出ないように頑張ってみましたw
でも追求したいところはまだあったり・・・orz(結局「アオノウタ」はどっからきたの?とか、何でデータがそんなに世界スケールで影響与えたりすんの?とかw)
とりあえず・・・起承転結と矛盾が無いかを確認しつつ箇条書きで適当に流れをノートにまとめてから書き込みました。
たとえば、最初の方で出かけたまま帰ってこないキャラが突然途中から出てきてて、それなのに途中から帰ってきてないことになってたりとか・・・
それぞれのキャラの行動を忘れないようにしないとこういう変な矛盾がw
あと、キャラ増やしすぎると途中から数人空気になってきたりするので増やしすぎは注意ですよw
うちのKAITOはなんかいつのまにか「俺」って言ってましたw
個人的にデレてる時は「僕」になってる気がwww
そこはやっぱりマスターにもよるんでしょうかw
一瞬男マスターは「僕orボク」派で、女マスターは「俺」派が多い気がしたけど気のせいだよね。
マスターは2回くらいその状況に会うと慣れてしまえる人ですw
収拾が付かなくなったり暗く沈んだ感じにならないようにした結果ハッピーエンドに。
KAITOは一回本気で壊してしまおうかどうしようか迷った。
多分暗い方面に行ってたらKAITO帰ってこなかったw
ネギ大量発生www
人々が苦しんでる中ミクだけが歓喜www
緑のネギを滅ぼしなs(ry
メッセージありがとうございました!
2011/05/21 17:29:23
なつと
その他
帰ってこれたのかー良かったよかったw
脳みそ軽い自分はハッピーエンド大好きです←
だが「やっぱりまだ呪いの歌ありましたー」って第2部がいつかできそうな予kなんでもないです(^ω^)
しかしこれ、マスターには何が何やらな十数日でしたでしょうねw
KAITOたちが出て行った後、一人で思い悩んだりしてたのでしょうか?
まーなにはともあれ完結おめでとうございますっ お疲れさまでしたー♪
2011/05/16 22:28:06
背黄青_もみじP
>なつとさん
帰ってこれまs(ry
マスターの記憶からはさっぱり消し飛んでると言う設定w
呪いが封印されて全部元に戻った時にその間の記憶は皆消えたって言う設定だったりwww
災害で死んだ人も何事も無かったかのように生き返ったりw
今回の地震もそんな感じで何事も無かったようになればいいのになぁ・・・
ちなみに記憶消える前(呪い発動中w)は避難準備とかでそれどころじゃなかったみたいですw
KAITOマスターは男でも女でも良いと思ってる。
作風から性別って分かってくるなぁ・・・
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
ではっ!
2011/05/17 20:07:25