初恋メロディー 過去巡り そのじゅー
合唱部が舞台に上がり、みんなの真ん中に立って私はガク君を探したが
あれ?どこにいるの?
なかなかガク君を見つけることができなかった
あれ?あれ?とキョロキョロしてると
「流香…始まる…」
「あっ、うん」
ハナに言われ歌が始まった
歌ってる最中にガク君の姿を探して
いたっ!
ようやく見つけることができた
いたっ!見つけた!
ガク君は一番後ろの列の端の席に、腕を組んで座っていた
ガク君見えてる?じゃあ約束通りにやるよ?見ててね!?
心の中でガク君に合図をして
私は…
合唱部の中で私だけが…
スッ、と…
胸の前で手を合わせた
私の隣で歌ってるハナが声には出さなかったが良かったね、と言っている。
ガク君見えてる?私の合図に気付いてる?
そう思うとガク君が
見えてるよ、流香…
と小さく私に手を振ってくれた。
!!
見えてる!ガク君見えてる!!やった~!
私はたまらなく嬉しくなって飛び跳ねたくなったが
まだ歌は終わってない、まだ最後まで歌ってないやと何とか堪えて…
そして…
合唱部の歌は終わった…
歌が終わり舞台袖に戻るとすぐにガク君に
『ガク君見ててくれた!?私の歌聴いてくれた!?
今から私達は部室に行くけどガク君はちょっとそこで待っててくれる?
みんなが帰った後に部室で話そ?ねっ?いいでしょ?』
とメールを送るとすぐに
『分かった、待ってる。』
ガク君から返事が来たので携帯をポケットにしまい、私がみんなに
「さ!部室に戻りましょ!」
と言って部室に戻った
みんなで部室に戻るとすぐにハナが
「じゃ!ウチ等は帰るわ!」
と言った
「え?なんで?少しぐらい話しようよ?だって今日が私達最後なんだよ?」
うろたえながら私が言うとサキが
「そうね…帰りましょうか?クラスの片付けもあるし、後で集まりましょう…」
と鞄を持って扉に向かった。そのサキを見てヒロが
「そうだね~行こっか優希?」
「うん…また後で集まればいいよ…流香」
と言って2人とも扉の所に向かっていった
「え?ちょっ?後でって…何でよ?ちょ、ちょっとみんな!?」
な、なんでよ!?
今日で最後だからみんなでちょっと話そうと思ってたのに、後でって…
止めようとしても歩いてくみんなに私はうろたえてハナを見る
「ちょ、ちょっとハナっ!?どーしたの?え?何で?」
ハナは私の言葉を無視して
「後で集まって話せばいいじゃん?じゃあね~」
と扉の所に向かった
「ちょっとハナ?え?後で集まるの?それでいいの?本当?」
扉の前に立っている4人に聞くと
「うん。それでいいの~後で流香がメールして?それでここに集まろ?」
とハナが笑顔で答えたので
「わ、分かった…後でみんなにメールするね…」
私は何となく察した
そうか…私とガク君を………でも何でみんなまで?
だってみんなはガク君が今日来てるって知らないはず…
なんで?偶然?
疑問を浮かべながら4人にじゃあねと手を振ると
「先輩達っ!お疲れ様でーす!」
私の横のミクが4人にそう言って座ろうとするが
「お前もだよ!!来いミク!!」
そう言ってハナがミクの襟首を掴んでズルズルと引きずると
「何でですかー!?離してくださいよー!?やめてぇー!!
私は流香先輩と話したいんです!!私はクラスに戻らなくていいんです!!」
「うるっせぇ!!いいから来い!!」
「離してー!!鬼ー!!うわぁーん!流香せんぱーい!!助けてー!!」
「そういやお前のクラス、たこ焼き屋だったな?よし!行くか!!」
「先輩達に食わせるたこ焼きなんて無いです!!やめt…」
バタンッ!
扉が閉まりミクの叫び声が途中で途切れた
騒ぎの余韻が少し流れた後、静かになった部室で
ありがと…ハナ…
そしてゴメンね…ミク…
感謝と謝罪をして私はポケットの携帯を出し
『今から体育館に行くね。待っててねガク君』
恋人にメールを送った
体育館に行き、ガク君と手をつないで部室にやって来て私は
「ガク君…」
と言ってガク君にぎゅっと抱きついた
「何?どうしたの流香?」
ガク君もそっと私を抱きしめてくれた
「ん~ん…何でもないよ……ただちょっとこうしたいなぁ~って…」
ガク君にようやく歌を聴いてもらえたことが嬉しくて…
久々に会えたのが嬉しくて…
今日で3年間の高校の文化祭が終わってしまったことが切なくて…
もう合唱部が終わったことがちょっぴり哀しくて…
色々な気持ちが一緒になって泣きそうになったから抱きついたのだ
「そっか…」
ガク君も私の気持ちを汲んでくれて何も言わなかった
「…………」
「…………」
そのまま私達は何にも言わず抱き合った。
あったかい……
私は自分より高い体温を全身で感じていた
ガク君は私と違って体ががっちりとしているから、抱きしめてもらうと
安心する、安心感を与えてくれる。
ガク君の腕の中に私はすっぽりと入り、全部を包んでもらってる。
ガク君に力があるのにそっと優しく抱きしめられ、彼の温もりを感じ、
そのガク君の胸に頬を当て、
ガク君の匂いだぁ……
大好きな彼の全てを感じ…ぎゅっと彼を抱きしめる腕に力を入れ…
自分の気持ちを全部あげたくなって…彼の気持ちを全部欲しくなって…
動かない部室の空気に落ち着いて…
チッ、チッ、と時計の音だけが鳴る、静けさだけの部室で…
賑やかな外の音や声達が遠くに感じて…
その音に包まれた静かな部屋で抱き合ってることが何だかいけない気がして…
胸の中が段々とあったかく…気持ちがゆっくりとトロトロしてゆき…
彼の言葉が……思ってることを知りたくなって……
「…ガク君……私の歌…どうだった?」
ぽそっと小さい声で聞いた
「…うん…良かったよ…」
ガク君も小さい声で返してくれた
「…良かった?」
「…うん…綺麗だった…」
「…綺麗だったの?」
「…うん…綺麗だった…」
「…本当?」
「…うん…良かったよ…」
「…良かった?」
「…良かった…」
同じようことを何度も聞いて何度もガク君の言葉をもらった後
「………」
何も言わないでガク君からスッと離れて、ガク君をじっと見上げ
「ガク君…」
と言って私が目を瞑ると
2人の唇が合わさった
想い合ってるのが嬉しい…
そんな風に思った秋のことでした。
初恋メロディー 過去巡りその10
初恋メロディー過去巡りのその10です。
過去巡りはこの話でお終いです。
未来音符と双子蜜柑のほうは続きの話を書こうと思っています。
あ、過去巡りの外伝の『花の祝福』とゆうオリキャラのハナ視点の
過去巡りの話があるんですけど…
それには合唱部を作った時の裏の話しを書いてるんですけど…
コメント0
関連動画0
オススメ作品
円尾坂の仕立屋
詞/曲 mothy
円尾坂の片隅にある 仕立屋の若き女主人
気立てのよさと確かな腕で 近所でも評判の娘
そんな彼女の悩みごとは 愛するあの人の浮気症
「私というものがありながら 家に帰ってきやしない」
だけど仕事は頑張らなきゃ 鋏を片手に一生懸命
母の形見の裁縫鋏 研げば研ぐほどよく...円尾坂の仕立屋
mothy_悪ノP
もしも許されるのならば
何度だってやり直せるのだろう
もしもやり直せるのならば
こんな未来築かずに済んだのだろう
斜陽描いた部屋の隅
あの日重ねたあなたの影
信じた道 希望の灯りが
例え偽りだとしても
「あなたと過ごした世界は
どうしようもない場所のままだけど...逃げ水
ST
呼吸を止めて 溜息を一つ
記憶に残る いくつもの日々
同じ姿に 重ねて見つけた
離れた指の 混じわる感情
視線落として 思わず見つけた
流れる涙 手で覆いかぶせて
光る刹那に ふとして消えていった
儚い時と 一片の虚像
手を伸ばすけれど まだ届かない
鮮やかな光 纏っている...弱くて儚いヒカリのハナ
ST
「君へ続く軌跡」作詞作曲/駒木優
心のなかは空っぽで 何してても
頑張れずに
一つのことも成し遂げれない
自分が嫌になるよ 今も
当たり前も できない
僕を責めた いつだって
必死で 生きてるのに伝わらない
居場所が 奪われてゆく
声や視線が 雨のように...君へ続く軌跡_歌詞
駒木優
いったいどうしたら、家に帰れるのかな…
時間は止まり、何度も同じ『夜』を繰り返してきた。
同じことを何回も繰り返した。
それこそ、気が狂いそうなほどに。
どうしたら、狂った『夜』が終わるのか。
私も、皆も考えた。
そして、この舞台を終わらせるために、沢山のことを試してみた。
だけど…必ず、時間が巻き...Twilight ∞ nighT【自己解釈】
ゆるりー
(せーのっ)
welcome to night owl circus
紳士淑女の皆様(Ladies and Gentleman)
昨日と明日の間
夢幻が溢れる
『night owl circus』
迷い込んだ羊
硝子の棺
シナモンの香り
marvelous parade!...Night Owl Circus/歌詞
るりねまろ
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想