「へぇ……今ので能力がついたっぽいよ、レンー」
「あ、ホントだ……、ん」
「! あ、ホントだ!」
リンとレンは、2人同じ空間に閉じ込められていた。が、箱は別のようだった。
能力の確認を済ませると、二人同じタイミングでもう一枚の紙を手に取る。
そして、同じタイミングで開き、同じタイミングで―――固まった。
「………ねぇ、レン。なんて、書いてあった?」
「……内緒、ってナシ?」
「いーや、アリ。あたしも言わない」
「そ、っか」
そう応えたレンの持つ紙に書かれていた「大切なもの」は、『鏡音リン』。
(負けることは許されない……けど、僕が勝って神になったら、リンを負かすってことだ)
(なら……僕もリンも、初めからこのゲームに勝てないじゃないか…)
(リンの大切なものは何だったんだろ?……ま、聞けないけど)
よく似た双子は、また2人同じタイミングで、コートに武器を忍ばせた。
ふう、と息を吐きながら、ルカは『巡音ルキ』と書かれた紙をじっと見つめた。
それから、もう片方入っていた紙に左手を伸ばすと、何のためらいもなく開く。
「………っ!?」
開いた紙は光を放ち、驚いたルカは思わず手を離してしまった。かさり、と落ちていく。
「全く……、何なのよ」
呟きながら、落としてしまった紙を拾い上げる。そこには、
「……へぇ、これが能力ね」
必ず勝とうじゃないか。『神』なんて称号よりも、弟―――ルキのために。
コインを身につけ、武器のレイピアを鞘へ収めると、ルカは口を三日月形に歪め、悲しそうに笑った。
メイコは、ぺたん、とその場に座り込んだ。
折り畳まれた紙を持つ手は、微かに震えている。
「メ……イ、と」
喉が震え、言葉にならない。
手足に力を込めて何とか立ち上がると、能力を手にした体をぱんっ、と叩いた。
「……よし、勝つぞぅ……」
もう震えは収まった。覚悟は決めた。
既に一度死んでいる身なら、今更それを怖がって何になる?
「勝って、また、メイトともう一度。絶対、会いに行く」
その言葉を刻み、メイコは真紅のコインを身に着けた。
「―――鏡のようだな」
カイトは、そう言いながら能力で現れた自分を消した。
「もう一人、一定時間もう一人の自分の出現、か。………まさに夢だ」
カイトの足元には、開いてある紙が落ちていた。
そこに書かれた者の名は、今まで何度も呼んで来たもの。
「………「大切なもの」は、者も、物も、関係ないか……漢字一つでこんなに変わるものか」
自虐的に、うっすらと笑みを浮かべる。
あの涙も、哀しそうな顔も、もう二度と、浮かべることが無いように。その必要が無いように。
蒼いコインは、鈍く、それでいて綺麗に輝いていた。
グミは、その場に寝転がった。
能力のせいか、体が軽い。こんなに疲れた、重たい気持ちでいるというのに。
何度手に持つ紙の内容を読み返しても、当然内容は変わらない。はぁ、と溜息をついた。
(一番大切なもの、って、あのペンダントだと思ったんだけどなぁ……)
彼女にとって、一番最高で、一番最悪でもあった誕生日の日。
10年以上前のあの記憶は、今でも鮮明に残っている。
だが、その日に貰った、世界で一番大切だと思っていたペンダントは、今つけてはいない。
(……あれ、壊れちゃったかな……)
この世界に来る前、あのペンダントを後ろから引っ張られて、首が絞まって、そして……
(あの時に切れちゃったのかなぁ……?てか、何であんな……)
彼の涙を、最初で最後のものにしないために勝てば、それでいいのだろう。終わりだろう?
「帰ったら、一発エルボー食らわせてやるんだから………待ってて」
しばらく寝転がっていたグミは、ゆっくり起き上がり、落ちていた武器を拾い上げた。
神様ゲェム・2
こんにちは、アストリアです。
プロローグを含めたらこっちの方が多いですが、単純な話数で行くと白黒バクと2話の差があり、(((当然の結果)「並べるか」と思って神ゲをうpしちゃいます!!!
そんなワケで、ミク以外のサブ主人公達のお話ですw
個人的に気に入ってるのはやっぱかぐみねです!!が、思い切って兄さんをカッコイトにしてしまったことに後悔が出ないように頑張る……w
次回はミク戦、その前に白黒バク4話です!
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kemu
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