「23941回目の世界の再構成…、全てリセットする、だって?」
僕はとりあえず初音の話を聞いてすぐ驚きしか生まれなかった。
「……なんで、それをするの?」
とりあえず僕は尋ねてみた。
「なんで、って……。簡単に言っちゃえばめんどくさいから。
あれってめんどくさいのよー?
JavaでもなけりゃC++でもないのよ。
人間にゃ書けないプログラム言語で書いているのよ。
あ、言っとくけどアセンブリじゃないわよ?」
ごめん、全くわかんない。とでも言うように僕は首を横に振った。
「なによあんた。
どちらかと言えば、“科学”より“化学”派?
まぁ、白衣着てるし、実験室にいつもいるし根暗っぽいしねぇ」
「おい待て、最後おかしいぞ」
「まぁまぁ、そんなことはおいといて。
あんたはどうすんの?
言っとくけどこれが完了したらあんたの存在は消滅するよ?」
唐突に初音が言ったことに、僕は凍りついてしまった。
「……どういうことだ?」
「だって、総てをリセットするんだ。
神という概念は消滅する。まぁ、それも構わないだろう。
だって、今神という存在を信じている人間がどれくらいいるというんだ?
人間が神に祈りを捧げ、それを神が助ける時代は終わった。
今は、祈りを捧げる前に自らの人生を終わらせる人間ばかりだ。
それがいいといえば、神の立場からいえばいいのだろうな。
なにしろ、フリーダイヤルみたいに使われちゃ困るし。
まぁ、神自身にとっては『重りが取れた』って思えるから楽ではあるかなぁ。
なにしろ、もう何万年もやってるんだ。疲れるのは当たり前だ」
「えーと。つまり初音が言うには、神という存在が消滅して、ちゃんちゃん。
人間だけでハッピーエンドだよーばんざーいばんざーいってわけか?!」
「まあ言い方はおかしいけど半分合ってる。
いいんじゃない? もう神は疲れたし。
どっか宇宙の外にも出て新しい宇宙を作るってのも有りだね。
なんせ、どっかの作品に“もともといたかのように”寄生すりゃ簡単にいくからな」
初音の言葉に僕はぞっとした。そんな簡単に人は命を捨てられるのか。
「人が命を捨てられるか?
それはただ気合がないだけじゃないの?
人は、それが出来る気合があるかないかで、価値が決まるってもんよ。
死ぬ気で何かをしよう、と思えばそんなの簡単に出来るわ。
それができない人間は弱虫。ただのクズよ。
『自分の命が惜しい』という言い訳で罪悪感に背を向けて生きる、ただのクズ。
それに変わりはないわ。だって、そうでしょう?」
「命が惜しいという言い訳で罪悪感に背を向ける?
それはおかしいんじゃないか?
だって、守るべき物がある人は必ず当てはまるじゃないか。
初音のその持論は極論だろ?」
「……バカね。知ってる?
本当にクズな人間は守るべきものすらも捨ててしまうのもいるのよ。
ほんと、人間って面白いのよ。
神のスゴロクで操作しても、良くも悪くもそれ以上の効果を発揮する。
これだから、この星の管理は飽きなかったのよ」
神は荘厳で、かつ恐ろしい存在であった。
僕はそれを目の前にいる“神”から身をもって思い知るのだった。
つづく。
【リレー】僕と彼女の不思議な世界 03
進んでないように見えて、実は進んでたりする。
お久しぶりです。1ヶ月も待たせてしまい申し訳ありませんでした。
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実はこれでシリーズ累計50話目! ……だったり。
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