<きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 第2話 妖刀村雨>

(未来世界・世界警察ロンドン支部・メイコ警部の執務室)

過去のロンドンから帰ってきたレンとミクは着替えて、世界警察ロンドン支部のメイコ警部の所に報告に行った。そして報告が終わるとメイコ警部はうなり声を上げた。

メイコ警部:う~~~む・・・・。
レン:すいません、賢者の石を盗まれただけでなく、怪盗リンまで取り逃がしてしまって。
メイコ警部:あ、ごめん、そうじゃないの。まさか今回の件で、上から特別指令があった2点が両方出てくるとは思ってなかったのよ。
レン:『きのこオーブ』と『怪盗リン』の事ですね。
メイコ警部:うん。やっぱり両方に相互関係があったのね。あなた達はきのこオーブの事を詳しく知らなかったんだから、仕方ないわ。とりあえず“タイムトラベラーによる歴史変更”が“代替品”により無かったからいいとします。
レン:それは私の方でも確認しました。『時空の歪み』も無くなり、今まで通りの歴史になってました。
ミク:ミクっ!。私も確認しました!。
メイコ警部:まぁ怪盗達がなんで“代替品を作れる”のかはわからないけど、とりあえず彼女たちが、「歴史を変えるつもりで重要品の窃盗をしているのではない」事がわかっただけでも、儲け物よ。ただ、問題は狙っている重要品の正体が『きのこオーブ』である事なのよ。
レン:そもそも『きのこオーブ』ってなんなのですか?。
ミク:食べられるものには見えなかったですね、ミクミク。
メイコ警部:うーん、怪盗の行動とあなた達が聞いた発言から察するに、彼らの方が警察が掴んでいる情報の上を行っているのよ。警察内部で掴んでいる、というか警察の情報元は、ある学会の発表だけなのよね。
ミク:ミクっ?、学会の発表?。
レン:よほど凄い内容だったのでしょうね。
メイコ警部:ええ。もうそれは、学者の域を超えていたわ。ある特定の物品を私たちの時代の特殊技術を使って分析加工抽出することで、『きのこオーブ』っていう、きのこ型の小さな“宝珠”を取り出せる事がその研究でわかったの。ただ、その研究発表で取り出す事が出来たのは、屑鉄のようなものだったので、「特定の物品」を使えば、想像出来ないような有用なきのこオーブを取り出せる可能性がある、とだけしか言及してなかったの。
レン:なるほど。研究を知ったタイムトラベラーが、その“特定の物品”を色々窃盗していたわけですね。
メイコ警部:そう。ここのところのタイムトラベラーによる窃盗案件は、みんなソレがらみの疑いがもたれているの。そしてその中でも逮捕できずに、未だに動き回っているのが、“怪盗リン”・・・あ、レン君達の証言を加えると、『怪盗リン一味』って事になるわね。
レン:警察上層部が、特別案件として『きのこオーブ』、『怪盗』を指令してきたのは、そういう理由だったのですか。・・・で、その研究を発表した人って誰なんですか?。
メイコ警部:“巡音ルカ教授”って女性なの。綺麗な人だったわよ。他に2名ほど助手がいたわね。確か、リンさんとカイトさんだったかな。
レン:え!?、『リン』に『カイト』ですか!?。それって今回僕たちが現場で会った怪盗リン一味の二人と同じ名前じゃないですか!。
メイコ警部:レン君・・・さすがに、リン、カイト、って言う名前だけで疑う事は出来ないのよね。それに今回のあなた達の遭遇で初めて怪盗達の名前がわかったわけだし。それに警察は既にこの研究をしている当人達、つまり、ルカ教授と助手二人と会っているのよ。日本にある、法結(ほうむす)大学っていう所の研究室のスタッフよ。別に普通の人たちだったわよ。色々、警察に協力してくれてね。そうそう、そもそも今回の『きのこオーブ』の研究を発表したことで、重要物品の窃盗が相次ぐ危険性があるから、警察の方でも対策を考えておいて欲しいって提案してくれたの、ルカ教授なのよ。
レン:え?、ルカ教授が?。
メイコ警部:そう。だからさっきのレン君の予想である、怪盗一味=研究員のリンさんとカイトさん=ルカ教授の関係者って線は消えるのよね。窃盗している本人達が、自分を邪魔したり逮捕したりする警察に警戒の要請をすると思う?。
レン:う゛・・・・。
ミク:ミクっ!、メイコ警部の勝ち~!。
メイコ警部:まぁそれはさておき、あなた達から貰った今回の“経費関連”の事だけど、まぁ粗方いいんだけど、この“歴史図書館シャーロック”関係の検索費って何?。
レン:あ、それは、現場になるだろう“時空の歪み”を特定して貰った歴史の専門家の機関です。信頼できる所で実際に今回は見事的中しました。一応引き続き『時空の歪み』を検索してもらうように連絡してあります。
メイコ警部:なるほど、さすがは専門家といった所ね。いいわ、費用はこっち持ちでいいからどんどん検索して貰ってね。警察じゃ、こういう歴史データベースがないからね。あるのは“犯罪履歴”だけ。まぁこれはこれで最重要データだから、コレを狙ってくる奴らもいるのよね。最近だと、ルパン三s

プルルルルル、プルルルルル

ガチャ

メイコ警部:何?、今接客中・・・・え?、レン君に外線?、どこから・・・え!、歴史図書館シャーロック!?。今電話を代わるわ。

メイコ警部は受話器をレンに渡した。

レン:代わりました、レンです。・・・・・え!?、また『時空の歪み』ですか!・・・・はい・・・はい・・・今度は1814年、日本の江戸ですか。わかりました、僕たちもすぐ向かいます。はい、有り難う御座います!。引き続き検索をお願いします。

ガチャ

メイコ警部:今度は江戸時代の日本で発生ですか・・・・。レン君、なんか盗まれそうな重要品に心当たりある?。日本出身のあなたに期待するわ。
レン:うーーーーん、江戸時代で1814年か・・・。ちょっと待って下さい。

レンは小型端末のスイッチを押し、空中に半透明のパネルを映し出して、なにやら検索し出した。

ピ・・・ピピ・・・・・ピ・・・ピピピ・・・・

レン:一番有名なヤツで、賢者の石に匹敵しそうな物で、金銭価値ではないものとなると、侍の“神威学歩”が持つ『妖刀村雨』って日本刀ですね。うん!、これで間違いないでしょう。
メイコ警部:日本刀なの?。
レン:この日本刀は通常の刀とは違います。“妖刀”って名前の通り、刀に染み込んだ“霊力”により、所持者に力量以上の“技巧”を与え、所持者を百戦錬磨の強者にしたと言われている刀です。
メイコ警部:怖い刀ね。
レン:所持者の精神が刀の霊力に負けなければ、自在に操れる名刀となります。所持者が流れ流れて、この時代では、この“学歩”という人物になってますね。
メイコ警部:うーん、警察としてもこういう危ない関係は専門で扱わないと行けない事なんだけど、ここは君たちに任せることにするわ。もし、万が一“あなた達の命”に関係する内容になった場合は、すぐ動くから、出来るだけ“生死に関わる危険な事”には関わらないでね。
レン:ありがとうございます。では行ってきます!。ミク君、時空転送懐中時計に、1814年、江戸時代の日本の江戸城下町、時間は今の方式で午後1:00ジャスト、場所は・・・“長屋”の影で良いところある?。
ミク:ミクーーーーっと、はい!、あります。ここなら見つかりません。設定とフラグ、セットしました!。
レン:今回は向こうに着いてから衣装出して着替えよう。行くぞ!。
ミク:ミクっ!。

二人は真っ黒の盤面に吸い込まれていった。

(1814年・江戸時代の日本・江戸城下町・長屋の影)

ザッザッ

二人は長屋の影に到着した。

レン:ふぅ~、今回は雨でなくて良かった。さて、この格好ではまずい。異国人姿じゃ行動できないからな。
ミク:今回の衣装は何にするんですか?。
レン:僕が髷を結わない素浪人(すろうにん)、刀はフェイク品でいいだろう。ミク君は一般的な町娘でいいね。
ミク:ミクっ。

ごそごそ

レンは鞄に手を突っ込んで何かを探し出した。

レン:このコスプレマシンで一時的に姿を変える事にしよう。それじゃ。

パァーーーーーーー

コスプレマシンから光が発生し、二人を包み込んだ。

照射が終わると、レンは素浪人に、ミクは着物を着た町娘の姿になった。

レン:ミク君、なかなか似合っているじゃないか。
ミク:レンさんも髪型がマッチしていて、素敵ですよ、ミクミク。
レン:あ、ミク君、今回はお腹の方は大丈夫かい?。
ミク:ミク!。前のイギリスでしこたま食べたんで大丈夫です!。
レン:良かった。さて問題は、神威学歩をどうやって探すかだ。前回のミリアムさんについては偶然もあったしなぁ。

長屋の影を出た所で、なにやら町人が集まっていた。

瓦版屋:さぁさ、買った買った!、お江戸を揺るがす大泥棒!、かの“石川五右衛門”も顔負けの女盗人“お燐”がまたもお江戸に参上ってもんだ!。今度の獲物は、百両、いや、千両積んでも渡さないと豪語している、剣道指南役『神威学歩』の宝刀『妖刀村雨』と来たもんだー!。百人斬りの剣客と噂される学歩が勝つのか!?、それとも大泥棒“お燐”の盗人の腕が勝つのか!?、さぁさ、買った買ったあ!!。

ガヤガヤガヤガヤ

パラッ

レン達の所に1枚瓦版が落ちてきた。レンは手にとって読んでみた。

レン:うーん、この時代の崩し字は読みにくいな・・・、えっと翻訳マシンっと。

レンは風呂敷包みにフェイクした鞄から翻訳マシンを取り出し、瓦版に光を当てて翻訳結果を見ることにした。

ミク:ミクぅ?、どうでした?。
レン:ふんふん、なるほど。『お燐』ってのは、もうストレートに怪盗リンのことだろうね。“またも”って言っていた通り、今回が2回目だそうだ。1回目の獲物は、え!?、南町奉行の中村という人物から、『名刀村正』を奪うも、翌日には奉行所入り口に返却されてあって無事だったそうだ。『珍妙な大泥棒』とも書かれているが、“盗むのが困難な物を盗んだ”事で、盗人としての腕は認められているらしいね。
ミク:ミクぅ、で、学歩さんはどこにいるって書かれてます?。
レン:えーっと、ああ、この長屋の近くの剣道道場で剣道の指南役、つまり今で言う“剣道教室のコーチ”をやっているそうだ。住まいはその剣道道場だからすぐ見つかるな。問題はアポをどうやって取るかだな・・・。
ミク:ミクぅ・・・・私がやってみても良いですか?。
レン:え!?、どうするつもり?。
ミク:一本だけ手合わせを願い出るつもりです。とりあえずその刀を貸して下さい。
レン:相手って“百人斬りの剣客”とか言われているんだよ!?。
ミク:ミクぅ、まぁ見ていて下さい。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 第2話 妖刀村雨

☆オリジナル作品第4弾である、「きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社!」の第2話です。
☆2つ目の案件は“江戸時代”です。賢者の石と比べると、重要度が低いように思えますが、今度のターゲットは宝刀“妖刀村雨”です。
☆江戸時代の舞台設定については、ネットで調べました。

******

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

閲覧数:415

投稿日:2010/03/02 18:40:27

文字数:4,414文字

カテゴリ:小説

  • コメント11

  • 関連動画0

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    月々様、今晩は!

    > レン○もん:コスプレマシn(強制終了

    いわゆる、「ティロリロリン!、こーすーぷーれーまーしーんーーーーー(強制終了」

    > しかしKAITOまで変装の名人だとは!いつもはろくな役でない兄さんもついに重要人物に!?

    今回はKAITO兄さん大活躍+大失敗(第3話参照)扱いですね。第1シリーズ(研究所)のKAITO社長は不憫だけど大活躍、第2シリーズは不憫というよりアホ、第3シリーズはちょい影薄い、で、今回はライバル組の双璧ですから、結構美味しい役を貰っているのかも!?。ちなみに重要人物です~♪。

    > さてもう既に3話も上がっていらしているのでそちらも拝見させていただきます

    勉強でお忙しい中のご閲覧とコメント、有り難う御座います!。

    2009/04/12 18:59:10

  • 数卵

    数卵

    ご意見・ご感想

    こんにちは、月々です。

    か、完全に出遅れてしまいましたorz
    しかし、レンのバックはなんでも入るのですね。
    レン○もん:コスプレマシn(強制終了

    しかしKAITOまで変装の名人だとは!
    いつもはろくな役でない兄さんもついに重要人物に!?

    さてもう既に3話も上がっていらしているのでそちらも拝見させていただきます。ではでは。

    2009/04/12 17:01:06

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    hata_hata様、今晩は!

    > 色々な時代で話が展開するのは面白いですね~

    有り難う御座います!。そういえば時代や国まで違うケースは初めてですね。出来るだけ国や時代をかぶらせずに、毎回違う所にするようネットでお宝を調べてます。また下記の通り”何気ない物がお宝”ってのが一番ベストなんですが、やむなく”明らかなお宝”だけにしてます。

    > 今回切りとは贅沢なゲストですね

    確かに。ミリアムにしてもがくぽにしても、このお話では1時代一人の配役になってますね。これも初めてかも。基本的には後の方で出す予定はないんですよ。なので、お宝を増やすと、後で使ってないボカロがいなくなってしまう危険があるため、お宝の個数を調整してます。前の”ぼうかろうおじいさん”みたいなイレギュラーは使えないので・・・

    > 傾奇者

    私も調べてわかりました。前田さんの”傾奇者”はリンが変装している学歩さんの言うとおりですが、この時代の”歌舞伎者”は歌舞伎役者の事を意味するんですね。あて字も違うし。

    > 山盛りメシをお代わりする喰いっぷりの良さwwオマケに剣術の達人とくる

    なんかだんだんレンとミクの役所が代わってきている気がします。レンは調べてトリックを見破るけどリンに逃げられる役。ミクは・・・宮崎監督のL三世(カリ城参照)+第13代目・石川五右衛門ですね。美味しいところ2個取り

    やばい!。レンさんにもう少し”キャラ”をつけてあげないと、この小説シリーズ初の”主人公交代”になっちゃう・・・あ、それもいいかも・・・(レン:ギロ!)・・・・ごめんです、なんでもないです

    > 巡音ルカ教授

    きのこオーブの研究第一人者ですから、全く何もないって事はないですよね。ふふふ、これから”糸口”を作っていきます

    > カイトは、いいやw(正しい扱いw

    そうです、それがにーちんの正しい役所。でも小説では怪盗カイトばりに活躍していたりしますね。でも電子ロックの手錠をどうやってはずして、別の所にかけたのか。作者の私でもわかりません(orz orz)

    ご閲覧、コメント、有り難う御座います!

    2009/04/11 17:53:36

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nai☆様、今晩は!

    > 村雨

    有り難う御座います!。今回は某大怪盗のストーリーみたいに、各話or各時代で1個、実在か物語に出てくる物をお宝にしての、レン一行vsリン一味の駆け引きにしてます。よって、今回はネットを検索する回数が非常に多くなってます。今書いている第3話なんて、一体お宝を何回変えたか・・・。比較的”貴重品”が多いです。ホンネは”何でもない一兵士のお守りがお宝”ってケースが好きなんですが、それではユウ館長から言われた後、レンが検索するのに不具合が生じるので、やむなく”明らかなお宝”に変えてます

    > 個人的には眼鏡かけてて欲しいなーなんて

    ふふふ、これは後の話で少しずつ容姿を文で書いていきますね。でも眼鏡は必須アイテムだと思ってます。眼鏡っこルカさん、これはかなり萌の範疇かも・・

    > 思わず緑と白で葱色に

    これは最初はネギブレードvs村雨だったんですが、宝を使うのもおかしいし、ミクのこの時代の容姿は町娘なので、さすがに刀を持っているのはおかしいので両方木刀になりました。

    > 傾奇者

    そういうことなんですよ~。実はあの場面は、初のミクvsリンの剣術勝負だったんですね。しかも互角。これはこれだけではあまりにもったいないシチュなので、最後の方にあるであろう”最後の決戦”に盛り込みたいですね。2度目の本気勝負

    > 禁則事項

    はい。これはもうかなり強引に”誤魔化して”ます。それしか歴史を変えない方法がないので。本当は窃盗の意味通り、気づかれずにすり替わっているのがいいんですが、それではレン達vsリン一味の”勝負シーン”がなくなり、さらにレン達の役目もなくなるので、そうしないでいます。一応小説なもので・・・

    > タイプライター風のアレ

    ガガガガ、ティロリーン、ちゃらっちゃらっちゃちゃちゃちゃ!。うーん、レンがとっつあんで、リン達が三世達なわけですね。あれだけ取り逃がしていると、レンがとっつあんってのも無意識にそうしているのかも。でもとっつあん、人気あるのよね

    ご閲覧、コメント、ありがとうございます!

    2009/04/11 17:32:42

ブクマつながり

もっと見る

クリップボードにコピーしました