「忘れ物はないの？」

お母さんが今日何度目かの確認をしてくれる。
１回言えば分かるのに・・・心配性め。

「もー大丈夫だって！いってきまーす！」

今日は学校のメインイベント(？)修学旅行の日！
昨日から眠れないくらいあげぽよですっ

この３日間は受験なんか忘れて遊びまくれるんだからいいよなぁ・・・

行くのは京都の自由行動、ＵＳＪに奈良ッ！
ＵＳＪ楽しみすぎて死にそうｗｗ


＊


「いまからホテルの諸注意を言いまーすよく聞けー」

言われなくてもしおり見ればわかるって・・・

って・・・！？

『異性の部屋へは行ってはいけません』

なん・・・・・・だと・・・・・？
先生ェ・・・

何？これ彼氏もちの子への嫌味？嫌味ですか？
ずぅっと夜喋ってすごそうと思ってたのに・・・！！

「先生！」

「なんですか初音さん」

みっ・・・ミク、目が怖いよ！

「どうして異性の部屋へは行ってはいけないんですか」

ミクがあたしにウインク。
いや、聞きたいのミクもでしょ？

「あたりまえでしょう。考えれば分かることです」

先生。考えても分かりません。

「ミク・・・」

「リンっ悔しくないの！？」

悔しいけど・・・あたし結構悪なんで。

「無視して普通に夜行ってもばれないよ？２日目は先生違う宿舎だし・・・」

ミクの顔が輝く。
クオが遠くで笑顔になる。バカップル。テレパシーか。

「そうだよねッッ」

「じゃあリンは俺の部屋来んの？」

あ、違いますよ。この人は彼氏じゃないです。
ウザイウザイリントです。

「ざけんな死ね！」

あ、いま殴ったのが彼氏ですね。

鏡音レン。

苗字は同じ鏡音だけど、血は繋がっていません。
ちょっとＳっ気があるようなないような・・・彼氏。


＊


「はい京都を自主プラン通りに行ってくださいねー」

先生の合図で皆がわらわら動き出す。もちろんあたしも。

「レンっ」

バカップルが先生の目の前でキスしてる。
あほ。怒られるぞ・・・

「最初どこだっけ？」

「金閣寺じゃね？」

と、いうことで。
レンとあたしは怒られてるミクたちを尻目にバスに乗り込む。


駅から出るバスだからかな。満員。
でも乗らなきゃプランが崩れるからちゃんと乗らなきゃならない。

「せ、せまっ」

レンは何も言わずにあたしの手を引いてっちゃう。
人ごみを掻き分けながら、なんとか窓の所に辿りつく。

「あ、ちょっと広い・・・？みゃッッ」

急停車されてバランスを崩しちゃったけど、後ろでちゃんとレンが受け止めてくれた。

「しっかりしろよな・・・でも可愛かったからもう一回やって」

「無理です」

「リンならやれば出来るって俺は知ってるぞ」

「謎です」

ちょっと人目を気にしながら、恥ずかしそうにレンがキスしてきた。
深いのじゃないよ。違うよ。
ちょっとレンにしがみついて、京都の町並みを眺めた。

なんか・・・あたし達もミクのこと言えない位バカップルですか・・・？


＊


「わあっはじめてみたぁ！」

金閣寺は太陽を受けて超、もうやばいほど綺麗に輝いてた。
写真とかでは見たことあるけど、本物は初めて。

「やっぱ午前中でよかった。リンの喜ぶ顔見えたし」

「ぇ、珍しく気が利くじゃん」

「おー鏡音ペア！」

「げ・・・」

グミとネルと、リント・・・

「あ、グミとネル先に回ってろ。俺こいつらと行くかｒ」

「「だが断る」」

「堅いこと言うなって、なぁリン」

リントはあたしの弱いトコロを何故か知り尽くしている。
認めたくないけど、多分レンと同じくらい。

耳に息をひゅうっと吹きかけられた。
声が漏れないように手で口を抑えた。人が多いところで感じてたら恥ずかしい。ってかそれ以前にリントに声聞かれたくない。

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ」

レンがリントを投げる。金閣寺の手前の池目掛けて。
風のお陰もあってリントは見事に池にドボーン。ざまぁｗｗ


＊


「え？次は清水寺？」

平安神宮をぬけても池くさいリントはまだまだついて来る。

「ホント消えろお前。頼むよマジで・・・」

「じゃリン一日貸してよ」

「ムリ。獣の家に子猫一匹だけで連れてけってか」

「自分だって獣のくせに」

動物園かって突っ込みたくなる。

ホントに・・・邪魔者早く消えてよッ

二日目に部屋行くねって言えないじゃん・・・

無理だと思うけどレンに指で「２」を表す。
レンは頷いた。理解した。すげぇ。


＊


「清水寺って・・・どこが凄いの？」

「知らん。眺めはいいよな」

「ん？地主神社？縁結び・・・だって！行こ！レンだけ」

「俺は！？」

「ちょっと留守番してて！お願い！」


そこは縁結びで有名な神社。知らなかった。
お守りを買って、おみくじも引いた。

二人とも小吉。まぁそんなもんかな。
クオミクコンビも居て、ミクは凶だったらしい、絶叫して破り捨ててる。

「私は絶対こんな物信じないからねッックオと私の愛は永遠だもん！」


恋占いの石もやった。

目を瞑って、片方の石から１０ｍ離れたもう片方の石にたどり着けたら願いがかなうらしい。

あたしは残念ながら逸れちゃったけど、レンは辿りついた。

「じゃあ、リンとずっと一緒に居られますよーに」

何も言わないけど、絶対繋いだ手は離さない。
そんなカップルになりたいな―――

「リンーレンー終わったかー？」


「リント空気読め」


そだね、とりあえず邪魔者は消えて欲しいかな・・・