「地球人を捕まえて解剖し、
サンプルとして自分の惑星(ほし)に持ち帰る。
それが君の使命か」

「そう」

「冗談じゃねえ。モルモットにされてたまるかよ」

「あなたは人間。学名はホモ・サピエンス。
モルモットとは身体的構造が大きく異なっている。
我々の技術ではあなたをモルモットにするのは不可能」

「そういう意味じゃねえよ。例えだ、例え」

「データ不足。理解不能」

「……とにかく、実験台にされるのはごめんだ。
おれにも使命がある。
命を懸けてあの子を守るという使命がな」

「彼女は既に死亡している」

「何だと」

「私が殺害した」

「そんな…バカな……」

「これが証拠」

「ま…まさか…これは……」

「彼女の髪飾り」

「…嘘…だろ……」

「これは真実。虚言ではない」

「………ッ……!!」

「心拍数が増加。アドレナリンの上昇を確認。
あなたは今、怒りという感情に支配されている」

「この野郎…っ…」

「あなたの持つ全ての表情パターンの中で、
その表情が最も魅力的」

「……くっ…」

「もっとデータが必要。ターゲットロックオン。
攻撃を開始」

「うわあぁあぁあっ」

「私が地球上で観察したどの人間よりもあなたは優秀。
サンプルに最適と判断した」

「そうかよ…ッ…」

「そう。私が保証する」

「うぁッ…よせっ…あぁあっ……」

「良い声」

「調子に…乗るなッ……ぶっ飛ばすぞっ……」

「あなたに私を攻撃することは不可能。
地球人は我々に近付くことすら出来ない」

「んなこと、やってみなけりゃわからねえじゃねえか」

「あなたが勝つ確率は1%未満。結果は明白」

「……クソっ…」

「あなたは私のもの」

「まるで、おれに惚れてるみたいな言い方だな」

「………」

「お、おい。本気なのか」

「我々には地球人のように恋愛感情というものは存在しない」

「…そうか……」

「しかし、私があなたに執着していることは確か」

「ひとつ言っておくが、
おれを殺してもこの心は君のものにはならないぞ」

「肉体と精神が別のものだという感覚が我々には理解できない」

「今すぐその頭に叩き込め」

「叩く?何を?」

「理解しろって言ってんだ。これ以上、罪を重ねるな」

「罪?」

「人を傷付けたり殺したりするのは罪だろ。
そんなこともわからねえのか」

「地球人も道に咲いている花を摘む。
我々がやろうとしているのもそれと同じ」

「おれは君にとってただの花か」

「地球上で最も青く美しい花だと認識している」

「嬉しくねえよ」

「残念」

「……本当はあの子を殺してなんていないんじゃないか?」

「何故」

「何となくだ」

「……彼女は生存している」

「本当か」

「私は彼女に会ってすらいない。あの髪飾りは道で拾っただけ」

「良かった……。ビックリさせやがって。
心臓が止まるかと思ったぜ……」

「最近の地球人は他人に無関心だと聞いていた。
しかし、あなたの反応はそうではなかった。
あなたは悲しみ、怒り、運命に立ち向かおうとした。

あなたをサンプルに出来なかったのは残念。
でも、このデータを提出すれば、
他の惑星(ほし)の住人も地球を爆破するのを中止する。

私はそう確信している」

「地球を爆破だと。そんなことが決まってたのか」

「心配はいらない。私が会議に参加してこの惑星(ほし)を守る。
地球には愛着がある。私の故郷によく似ているから」

「人間をサンプルにしようとしていたのは間違っていたが、
君は君なりにこの惑星(ほし)のことを考えてくれていたんだな。
知らなかったぜ。

ただのインベーダーだと誤解して悪かった。
ありがとな」

「……さっきはあなたの怒っている表情が魅力的だと言ったが、
今のあなたの方がもっと魅力的」

「そうか」

「宇宙船が私を迎えに来ている。
自分の惑星(ほし)に帰らなければならない」

「おい、待てよ」

「あなたのことは永遠にこのメモリーに残しておく」

「おれも君を忘れない。ずっと。またどこかで会おうぜ」

「ありがとう。……さようなら、地球」

☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・☆.。.:*・

少年「…というプレイも捨てがたい」
宇宙少女「そう」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい
  • オリジナルライセンス

【小説を書いたよ♪】宇宙少女は青い花の夢を見るか?

人が人を思うことの素晴らしさを描いたシリーズの第三弾っ!!
これも話はつながっていないので単体で読めます♪
タイトルは「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のパロディですっ♪

【メイドさん】第一弾はこちら☆彡【ヤンデレ】
前編(歌詞) http://piapro.jp/t/ZvXC
後編(小説) http://piapro.jp/t/azcq

【軍服少女】第二弾はこちら☆彡【ツンデレ】
http://piapro.jp/t/45nY

【慈愛少女】第四弾はこちら☆彡【聖女】
http://piapro.jp/t/el2b

小説の感想をメッセージで送っていただけたら、
めちゃくちゃ嬉しくて踊り出します♪
よろしくお願いしますっ♪

閲覧数:609

投稿日:2015/02/09 18:38:33

文字数:1,820文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • kazu8823

    kazu8823

    ご意見・ご感想

    そんな…バカな……嘘…だろ……ここで話が終わりだなんてッ……!!

    あ、「データ不足。理解不能」という回答は無しの方向でお願いしますっ!(;・`ω・´)キッ!

    2015/02/28 01:48:23

    • ふわふわ

      ふわふわ

      感想ありがとうございます!!。+゜((ヾ(oゝ∀・)ノ ))。+
      嬉しさのあまり大気圏を突き抜けて宇宙に打ち上がりそうになりましたっ☆彡
      SFはロマンがありますよねっ!楽しいっ!!

      2015/02/28 10:06:04

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