第10回目の講座は音圧と音質調整についてです。
まずは音圧や質感など近づけたいリファレンス曲を用意しましょう。
MP3などの圧縮形式は音質が元の曲から変化していますので、極力CD音源のWAVEで用意できると好ましいです。
" MixTips #5 音圧 " ではミックス段階でRMSメーターの最大が-15dbを目安に調整するようしてきました。
今回、マスタリングでは『平均が-10db程度』になるよう調整していきます。
ただ楽曲のジャンルや音数などによっても音圧の目安は変わってきます。
なので、リファレンス曲と聴き比べながら近づけていきましょう。
まずは用意したリファレンス曲とマスタリングを行う曲を読み込み、マスタリングを行う曲にリミッターをインサートします。
どれぐらい音圧を上げることができるかリミッターのみで軽く試してみましょう。
音圧の上がりやすい曲と上がりにくい曲が出てくると思いますので、感覚をつかんでおきましょう。
またコンプでの音圧アップも有効です。
ただし、コンプを使うと音質やミックスバランスが変わりやすいので扱いは難しいです。
以下のポイントを参考にしながら調整をしてみてください。
・インプットを大きく下げ、アウトプットを大きく上げる
過度にコンプをかけすぎないようにするため、このような設定にしてから徐々に『アウトプットを下げ、インプットを上げる』を繰り返して適度な具合になるまで調節します。
これはプリセットを使う方も同じ事なので、このように調整をしてみてください。
・アタックタイム、リリースタイムともにやや遅め、レシオ低めの設定
アタックタイムがやや遅いとアタックの印象が損なわれずに済み、リリースタイムで自然な音の減退を目指します。
ゲイン・リダクションが『3~4db程度』を目安に下げた分だけメイクアップ・ゲインを上げましょう。
・アタックタイム、リリースタイムともに最速、レシオ高めの設定
この設定はコンプ感が最も出やすく、音圧を大きく稼ぐことができます。
ただし、リリースが速いためクリップする可能性があります。
コンプにリミッターがついていない場合はコンプの後に『リミッター』をインサートしましょう。
次にEQでの音質調整です。
楽曲の空間の抜けの悪さや低域の力不足を解消していきます。
EQはリミッターの前にインサートします。
以下のポイントを参考にしながら調整をしてみてください。
・空間の抜け
空間の抜けが悪いと楽曲はもこもことした感じになっていると思います。
そのような場合は高域をブーストします。
目安は『5kHzから上をシェルピング、緩めのQでブースト』です。
歌ものの場合、摩擦音などが耳障りになる場合がありますので、その場合は『ディエッサー』をEQとリミッターの間にインサートしましょう。
・低域の補強
スピーカなどで聴くと低域の力不足を感じることがあると思います。
そのような場合は低域をブーストします。
目安は『100Hzから150Hz上あたりをシェルピング、緩めのQでブースト』です。
やりすぎると音圧が上げにくくなったり、音が歪んだりするので注意しましょう。
EQでは基本的に音質調整です。
この時点でシンバル系がうるさくて高域がブーストできない場合や低域の音圧に不足を感じる場合は迷わずミックスに戻りましょう。
最後にリミッター[マキシマイザー]です。
最初にインサートしたリミッターでリファレンス曲の音圧まで到達できていれば、マスタリングは完了です。
到達出来ていない場合は、リミッターの代わりにマキシマイザーを使用していきます。
リリースタイムは短めだとが自然な仕上がりに近くなります。
音圧と音質調整に関して理解して頂けましたでしょうか?
次回はステレオ音場について解説していきたいと思います。
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