う~ん、まさか子供が出て来るとは思わなかったわ…ゲームの企画者どんな奴なのかしら?

「チコリ、おい、チコリ。」
「何よ?」
「お前ガキの扱いとか得意か?」
「うーん?子供は嫌いじゃないけど…。」
「ガキ苦手なんだよ…どうしたら良いのかよく判んねぇし、ピーピーやかましいし…。」
「見るからに頭悪そうだもんね。」
「あぁ?!」

振り返るとオカッパの男の子が一人立っていた。2~3歳位だろうか?随分饒舌な子ね。

「えっと、ボク?1人なの?パパやママは?」
「ちゃんと来てるよ、ゲームの主旨も判ってる。お姉ちゃん達が欲しいのはこれでしょ?」

その子はポケットからごそごそと小さな箱を取り出した。パカッと開けると中には小さなバラを象ったブローチが輝いていた。

「わ…綺麗…。」
「話の判るガキだな~。」
「あ、ちょっと!」

ブローチにクラムが手を伸ばした瞬間、男の子は箱の蓋を閉めるといきなりホイッスルを鳴らした。大きな音に驚いていると、誰かがこちらに歩いて来るのが見えた。

「お呼びですか?」
「啓輔か…出来れば密が良かったんだけど…まぁ良いか。」
「今は『トカゲ』ですよ。」
「あ、そっか、良し『トカゲ』!こいつ等と勝負しろ!勝った方に花をやる!」

勝負?!と言うか私も数に入ってる!!この人と勝負って…何回か見かけた事はあるけど話した事も無いし、正直殆ど初対面よね…何か凄く得体が知れないんですけど…。

「何で勝負します?女性が居るので殴り合いは出来ませんね。」
「お、おい!勝手に決めんなよ!」
「殴り合いは勘弁して欲しいわね…。」
「何か持ってないか?」
「カードなら。」
「良し!じゃあトランプで勝負だ!」

いきなりトランプ勝負って言われてもなぁ…。でも殴り合いとかよりは全然良いか。

「じゃあそこのテラスにしますか、外だとカードが飛びますからね。」
「負けるなよ?『トカゲ』!」
「俺カードは弱いんですよ、なので期待に沿えるかは判りません。」

そう言いながらカードをシャッフルする手は淀みも無駄も無い。何だかディラーみたいに見えて来た。

「どうする?やる?」
「トランプなら殴り合いよりマシだしな。」
「そうね。」
「では、始めましょうか?」

気のせいかしら…トカゲさんの目がギラッと光った様な…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-51.蓮-

キノセイデスヨ

閲覧数:176

投稿日:2010/08/04 02:31:53

文字数:967文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

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