焼けつく様な蟬時雨
目の先に揺れる逃げ水
私はだらしなく生きながら
風になった無数のあなたを思う
微かに聞こえる虫の声
終わった花火の煙の匂い
私は溜息を吐きながら
星になった無数のあなたを思う
その時希望はあったのでしょうか
その時笑顔はあったのでしょうか
物言わぬあなたはただ私の
頬を静かになぜて過ぎていく
私が流す血以上に無駄なものは無いでしょう
私が描く言葉以上に空虚なものは無いでしょう
それでも私はあなたを思って泣きたい
見えないけれど確かに存在した、あなたに
過去は永遠に変えられず
未来は迷走し続けている
あなたが負った消えない傷を
私は受け継げているだろうか
私が見る景色以上に曖昧なものは無いでしょう
私が聞いた音以上に無意味なものは無いでしょう
だから私はあなたを思って歌いたい
この世界線に確かに存在した、あなたを
紡がれない言葉として叫ばれた声は
他のどんな言語より沢山の物事を内包し
私にぶつかってくる
割れそうな頭蓋も捥げそうな耳も
あなたと同じくこの世界線に存在していた
あなたの手をとって歩く私の幻想を
私の手を引いて導くあなたの幻覚を
どうか笑ってほしい
燃える街の夢を見た
焼けた街の幻を見た
あれ程までに残酷で
美しく醜悪な傷はない
この熱気だけはあなたの世界と変わっていないだろうか
私とあなたを繋ぐものは
悲しみ以外に残されていないのだろうか
漠然と純然たる不安は
私を押し花の様に潰して
どこにも逃さないと抱き締める
母の様に
薬指の呪縛の様に
あなたの代わりに私の身体が
あの時あそこにあったなら
どう足掻いても多過ぎる後悔から
逃れられずに暴れている
私が放つ言葉になんの力があるというのか
私が放つ歌にどんな力があるというのか
それでも私はあなたの傷を伝える
あなたが負ったあの傷を余さず伝える
そのために歌おうと思う
きっと
私が見た世界以上に儚いものは無いでしょう
私が聞いた声以上に汚い物は無いでしょう
だけどこの目に映る世界以上に綺麗な物なんて無いんだよ
あなたは私が背負って往くよ
だから今は私の背中で眠ってよ
星を見ながら眠ったあの日の様に
この世に確かに存在したあなたへ
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