#「めんどくせぇ来客」



トリックオアトリート

お菓子をくれないといたずらするぞ

最近では、あまりに有名になった言葉である


小さな子供たちは、お化けなどに仮装して、近所のお宅を訪問してこれを言います

まるで正月に親戚の家を着物着て「あけましておめでとうございます」といいつつ、お年玉を回収する作業のような


そう、いってみれば、ハロウィンとは、海外版のお正月だといっても過言ではない

過言ではない、誰が何と言っても過言ではない




「神威お兄さーん!トリックオアトリートォ!!」


くそっ……今年も来やがったか

俺は扉の小さな覗き穴をのぞき込む

そこにはニコニコとした女性が、たくさんの子供たちを引き連れて立っていた

俺は静かに玄関のドアをあける


「トリックオアトリートォ!!」


あけると同時に子供たちが叫ぶ

俺は面倒と頭に手をやる


「神威さん、今年もよろしくお願いしますね」


子供たちの保護者的ポジションに立っている女性がニコニコしながらそういった


「えと……巡音とかいったか?……今年は一段と数が多いな」

「はい!なかなか、あなたのような人はいませんから、みんな楽しみにしてたんですよ」


この巡音とかいう女……毎年、ハロウィンになると、たくさんの子供を連れて、俺の家にやってくる


「そろそろ俺以外の奴、見つけてくれないか?」

「まぁ?そんなこといってても、ちゃんと用意してくれているんですよね?」


この女、ニコリと俺を見る


「……まぁ、こいつらの顔みたら、仕方ないだろ」


俺の言葉をきいて、ふふっと笑う巡音


「おい、ガキども。さっさと中に入れ、さみぃんだよ」


俺の言葉をきくと、子供たちがわーわーと部屋の中に駆け込む


「あんたも入れよ」

「あら?私は大丈夫ですよ?別に寒くもないですし」


ニコニコ笑う女


「そういう問題じゃねぇんだ。外に一人でいられる方がかえって迷惑だ」


そういって、無理やり手を引いて部屋に入れ、ドアを閉めた


俺が目を部屋の中に戻すと、子供たちは俺が用意したお菓子をすでに食べまくっていた


「おい!ガキども!勝手に食うんじゃねぇ!」


しかし、すでに彼らの興味はお菓子一直線


「まぁ……毎年のことか」


俺は追加の菓子と、飲み物をそれぞれのグラスについでやった


「ありがとう、おにいちゃん!」


子供たちの笑顔が俺に向けられる

俺はそれから目をそらす

とてもじゃないが、俺にはこいつらをまっすぐ見ることはできない


「ねぇ、お兄ちゃん、僕にもー」


僕の手を引っ張る一人の少年


「わっ!さ、さわるな!」


慌てて手をはなした

俺はもともと子供が苦手なんだ



それから1時間、きっかりと用意した分のお菓子を平らげた子供たち



「神威さん、ありがとうございました。みんな、楽しそうでした」


巡音が俺を見て頭をさげる

結局、この人は今年も何も食べなかった


「なぁ……」

「なんですか?」


毎年のこととはいえ、俺はやはり信じられない


「本当にこの子たちは……」

「あら?またそれですか?もう何回目でしょうかね、毎年言ってますね、ふふ」


俺はこの人のことも信用ならない


「本当ですよ。彼らは本物の幽霊です。ハロウィンなら、周りにも似たような方がいっぱいですからね。行動しやすいんですよ」


さっき、あの中の一人の子供に触られたとき、体温を全く感じなかった


「……あんたは何者だよ」


ずっとニコニコ笑い続ける女に俺は少し気味が悪い


「それも去年とかわりません。彼らが今日を楽しんで、無事、逝けるようにお手伝いするものですよ」


毎年、それしかいわない女


「あなたみたいに、彼らが見える人が少ないのでね。私はここの人間じゃないので、お菓子を用意できませんし」


それは一体どういう意味なのだろう

聞いてみてもおしえてはくれない



「では、私たちはこれで失礼しますね。また来年もよろしくお願いします、神威さん」


そういって子供たちを集めて、笑顔で誘導する

子供たちも隣の子と手をつないで歩く


俺は黙ってその姿を見送る



暗い夜の街に消えていく彼女たち……




トリックオアトリート

お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ

最初の年、今から10年以上前になるか……お菓子をあげなくて、三途の川を見ている俺

それ以来、俺は毎年、お菓子を用意して彼らが満足できるように準備している

世間一般的にハロウィンが楽しみにされているイベントかもしれんが……

俺にとっては、恐怖の夜だ

何よりもあの巡音という女……いっこうに歳をとっていない



こうして、今年もハロウィンの夜があけていく……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

めんどくせぇ来客 byしるる

ハロウィン企画用テキスト

内容については……ふーんってレベルww


今日、仮想したチビたちがいっぱいいましたw
かわゆかったぁww  あ、チビたちって褒め言葉だからねw

閲覧数:131

投稿日:2013/10/30 17:39:39

文字数:2,009文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    し、しるるさんの「俺」だと…(ガタッ

    がっくんがツンデレに見えるのは私だけですか?←
    お年玉の回収作業…あれは親戚ですが、これは地域バージョンですよねw

    お菓子をくれないときの悪戯が恐ろしすぎます!w
    ルカさんは何者なんでしょう?不老不死の魔女ですかね…?

    2013/10/31 19:43:22

    • しるる

      しるる

      俺様の美技に酔いな!←

      あーまぁ、ツンデレかもしれないですねw
      子供たちを想う心は持ち合わせているいい人ではあります

      いたずらも、果たして子供たちにされたのか、はたまたルカさんかww
      さぁ?私、何も考えてませんww

      2013/10/31 20:02:03

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