●簡単性格設定
カイト…おバカ、ヘタレ
アカイト…ヘタレが残る俺様
帯人…ヤンデレ、マスコン

●力関係
帯人>アカイト>カイト

●注意!
マスターが男の人で喋っちゃう。
カイト、アカイトが不憫。
―――――――――――――

ピンポーン

俺、カイトとアカイトと帯人しかいない家に鳴り響くチャイム。
マスターは残念ながら外出中。
「ちゃんとイイコに留守番してろ」
と言われたので、何も触らず、歌の練習をしていた。

「カイトー、誰か来たぞー」

ソファに寝転んで、雑誌のページをめくりながら「行け」と言うように促すアカイト。
近くに座っていた帯人はパソコン画面に夢中。
俺も忙しいのになぁ…。
なんて思いながらも、マスターだったらいけないので小走りで玄関に移動した。

実は前にこんなこともあって、誰が玄関に行くかで何分かもめたことがある。
そして玄関にいたのはマスター。
(ちゃんとイイコに留守番できるか試したらしい)
何十分も待たされたマスターはカンカンに怒って、当分の間喋ってくれなかった。
そのときは珍しく帯人が謝っても許してくれなかった。
……もともとはマスターがあんなことするからなのに…。短気だよね。

「どちらさまですか」
『宅急便です』
「マスターが何か頼んだのかな?」

もしかして新しいボーカロイド!?
そ、そうだったら嫌だな…。これ以上増えるのもだけど、何より帯人が恐ろしいことに…。

だけど届いたものは違った。
なんていうか、ボーカロイドなんだけど、……。

「俺?」

小さな人形。
人形は可愛くできており、箱には「ねんどろいど」と書かれていた。
その、ねんどろいどの俺が3体。

「……マスター…。実は俺のことすっごい好きだったんですね…!」

じゃなかったら俺の人形を3体も買いませんもんね!
マスターはツンデレだったんだ!

「カイト、誰だったんだ?」
「アカイト!見てみて!」

玄関で幸せ気分で人形を見ていたら、面倒くさそうにアカイトがやってきた。
俺は箱に入った俺人形を見せながら笑うと、ゆっくりと目を見開く。
そしてひったくるように奪う。

「なんだよこれ!何でお前が…!ていうか何で3体!?」
「わかんないけど、マスターがツンデレなのは解ったよ」
「は?マスターがツンデレなわけねぇじゃん。アイツはツンツンツンだよ」
「でもマスターは俺のことが好きだよ?」

「マスターが好きなのは僕だよ。気持ち悪いこと言わないで」

「いや、それも違うと思うけどな…」
「いーや、好きだよ。じゃなかったら3体も俺の人形買わないよ」

いつの間にかアカイトの後ろにいた帯人が、眉間にしわを寄せながら呟く。
その言葉には憎悪の感情がこれでもか!ってぐらいこもってて、少しだけ身構える。
いつアイスピックが飛んでくるかわからないからね。

「ムカつく。バカイトのくせに…死ねばいいのに」
「今回ばかりは俺もムカつく。ムカつくから赤く染めてやろーっと」
「……僕も」
「ちょ、止めて!ていうかそれマスターのだから勝手にいじったらダメだよ!」
「きっとマスターも黒いほうが喜んでくれる」

そう言って二人は箱から俺人形を取り出し、どこからか出した赤と黒の絵の具で塗り始める。
こ、こうなったら残り一つは死守しないと…っ!
あとマスターにはきちんと言おう。

「俺のせいじゃないって…!」
「何が?」
「あ、マスター!」
「おう、お帰り」

マスターのご帰還です。
ああ、その袋の中には何が入ってるんですか?
え、ダッチョですか?ダッチョですね!
でもそれもおあずけなんでしょうね。
だから力を振り絞って言います。

「俺は止めましたからね!」
「だから何が?」

少しイライラした様子のマスターに、最初から説明しました。
(ほんとこの人短気すぎる…)

「マスターが俺のことこんなに好きなんて思ってませんでした!」
「は?」
「違いますよね…。マスターが一番好きなのは僕ですよね」
「見ろよマスター!全部赤く染めたぜ!」

空気読まずに発言したのはアカイト。
自慢げに赤く染まった元俺をマスターに見せびらかす。
マスターは首をひねったあと、「ああ」とだけ答えて、持っていた荷物を俺に預ける。

「カイト、それ冷蔵庫に。帯人、荷物全部持ってきて。アカイト、今すぐ手ぇ洗ってこい」
「「「はい」」」

マスターは服を脱ぎながら居間へ向かい、ソファに身体を沈める。
ハァ…。と重いため息を吐きながら、「集合」とまた声をかけた。
すぐに集まる俺たち。
居間にある唯一のソファはマスターのお気に入り場所。
他に座る場所がないので、俺たちは目の前に正座。(これが通常ポジション)

「カイト。別にお前が好きで3体も買ったわけじゃない」
「え?じゃあ何で3体も買ったんですか?」
「アカイトと帯人を作るため」
「て言うかよ。俺らがいるのに人形なんて買う必要なくね?」

そう言うアカイトに、マスターはハッ!と笑った。
あ、Sモードですか?

「人形のほうが喋らねぇから可愛いだろうが。テメェら二人と違って」

肘をついて、足を組んで、見下した目で笑う。
これがマスターのSモードです。
そして帯人への贔屓っぷり!

「帯人は普通に欲しいと思った」
「でも僕がいるのに…」
「そうだよな。じゃああのカイトはストレス発散用に置いておくか」

ニヤリと笑うマスターに、背筋が震えた一日でした。




翌日。

「カイトー。おい、返事しろよバカイト」
「……マスター。本体はこっちです」
「おお、どうりで小さいと思った」

俺人形を使ってイジメることが多くなりました。



*****
ねんどろいど、欲しいなぁ…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種注意】ある家のボカロたち05【KAITO】

KAITO亜種たちとマスターの日常生活

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投稿日:2010/02/04 14:56:55

文字数:2,361文字

カテゴリ:小説

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