語り部の或る詩謡い人形の記録『賢帝の愛顧』
ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのは遠い昔に青い髪の男女の人形が謡っていた全5曲から成る一連の物語の4曲目のお話です。

北の果ての国の賢帝は、元々は平和を愛する人だったそうです。
そんな彼はある時、彼の国一番の歌姫に恋をしたそうです。

けれど、彼女の先は短く、いつも苦しそうにしていたため、
王は彼女を救うために手段は問わなかったそうです。

東、西と次々に滅ぼして延命の術を探し続け、腹心の少女の忠告など
無視して暴挙を振るううち、いつしか彼は血に酔い、
狂ってしまったそうです。

そんな中、腹心の少女は王が、これ以上罪を重ねぬようにと思い、
たった一人で歌姫の元へと向かい、永遠の眠りについてくれるように
頼んだそうです。
歌姫はかねてより暴虐な王の姿を見るに耐えなかったため、
少女の頼みに応じたそうです。

しかし、その噂はあっという間に王の耳へと届いてしまい、
王は少女を牢に閉じ込め、その後すぐに王の目の前で
殺されてしまったそうです。

ですが、少女を殺すのがほんの一時、遅すぎたのです。
少女の死を知った歌姫は、王が戦場に出向いている隙に、
人々に王を止める方法と、王はついに自身の部下すら手に掛けたことを
教えたそうです。

誰にも迷いなど無く、すぐに歌姫の葬儀が行われたそうです。
大勢の人々が歌姫に別れを告げ、歌姫は悲しい笑顔と自慢の歌で
その言葉に答えていたそうです。

そしていよいよ、歌姫が眠りにつこうとした時、魔物に首を切り裂かれた王が、紅く染まった首元を押さえながら歌姫に駆け寄り

「ここで一度お別れだよ。先に逝くよ、白き門閉じる場所。」

  途切れ途切れにそう告げて息絶えてしまったそうです。

そのため、歌姫ではなく王が棺にいれられて、葬られたそうです。

その後しばらくして、歌姫もまた病により永遠の眠りにつき、
眠った歌姫は森の奥の城に運ばれたそうです。

いかがでしたか?私のお聞かせした物語は。今日のところはここでお開きにしましょう。次にお聞かせするのは5曲目の物語です。帰り道にはどうぞお気をつけて。よければまた、私の物語を聞きにいらして下さい。それではさようなら。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

語り部の或る詩謡い人形の記録『賢帝の愛顧』

語り部シリーズ15作目です。

閲覧数:271

投稿日:2009/08/21 18:39:39

文字数:942文字

カテゴリ:小説

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  • 文鳥

    文鳥

    ご意見・ご感想

    黒夢~
    ・・・ぎゃああぁぁ!!
    また間違いがああ!!
    くっそー、修正してやる。

    いや、誤字があったらそんな良い才能じゃないと思うが。

    2009/08/21 18:38:59

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