誰にでも1回は、あっ、今日なんか出来る気がする、と思うような日があると思う。
まさに今の私はそれだった。
手に力を込め、強い眼差しで見た先には、大きいわりに古臭い‘‘神威研究所’’という建物。
ここは学校の裏に建っていて、いつも気になっていた。
でも近寄ることはできても、中に入ることは未だできでいない。

「…、今日の私ならできる!」

更に手に力を込め、恐る恐る1歩を踏み出した。
そしてまた1歩、また、と繰り返して進んでいく。
歩いている時のことは全く覚えてなくて、気づけば建物のドアの前に立っていた。
これまたボロボロのドアは、少し開いている。なんて不用心なんだ。

「入って、いいのかな?」

答えてくれる人なんていないから、自分でいいんだ、と言い、建物の中に足を踏み入れた。
薄暗くて、湿っぽく、たくさんの本や紙があちこちに積み重なっている。
辺りを見ても、あるのはそれぐらいで人の気配はない。

「誰か…、いませんかー?」

返事はない。
その場でジッとするわけにもいかず、ゆっくりと前に進んだ。
でも周りを見ながら歩いていたのがいけなかった…。私は前に迫っていた壁に気づかず、思いっきり頭をぶつけた。

「いったー!」

頭をさすりながら前を見ると、またドアがあった。

「ド、ア?」

ドアノブに手を伸ばし、ドアを開けた。
鍵はかかっていないようで、すんなりと開いた。
でも、その直後、私の目に映ったのは、青色の液体が入った容器に入っているヒトの姿。

「なに、これ。」

呆然と立ってそれを見ていると、コツコツと足音が近づいてきた。
慌てて振り返ると、白い布…?上を見ると、長い紫色の髪を1つに束ねている、眼鏡をかけた男の人。
その人はジッと私を見つめる。
もしかして勝手に入ったから怒ってる?どうしよう、こっ、殺されちゃうの?
怖くなって、私は部屋に駆け込み、その人から離れた。

「ごっ、ごめんなさい!」
「……えっ、なにが?」

予想外の答え。
ゆっくり顔を上げると、ポカンとした表情が見えた。

「いやー、人が来るなんて滅多にないから嬉しいなー。」

そりゃ、こんな怪しい雰囲気ムンムンの所に来ようと思う物好きは私ぐらいだろう。
そうツッコんでいれば、いつの間にか手を握られている。

「はじめまして、神威がくぽです。」
「はっ、はぁ…?」

優しい人なんだろうけど、なんていうか絡みづらい。

「あ、えっと、恵原グミです。」
「グミちゃん…か、うん、可愛いね。」

‘‘可愛い’’なんて言われ慣れてない私は真っ赤になって、返す言葉を見失った。
それを見て神威さんはまた、可愛いなー、と言って私の頭を撫でた。

でもこの後の神威さんの行動が今の私を大きく変えるのだ。



「あっ、忘れてた!」
「えっ…?」

神威さんは私の横を通り過ぎ、私もつられるように後ろを見れば、さっきまで私が見ていたヒトの姿。

「気分はどうかな?」

緑色の髪や着ている服が液体の中で揺れる。このヒトの動きはそれぐらい。あとはピクリともしない。

「あのっ…、このヒトは?」
「あぁ、彼はここに来たとき致命傷になるぐらいの怪我をしててね、今は怪我を治す薬に入れて治療してるんだ。」

致命傷になるぐらいの怪我、一体、このヒトに何があったのだろう?
多分、見た目からして私と同じぐらいの年齢。
私は、何かに引きつけられるように容器に近づき、触れた。
その瞬間、そこから全身に電流が流れるような感覚がした。
慌てて手を離せば、今度は激しい頭痛。

「グミちゃん?!」

神威さんの呼びかけとは別の声が私を呼んでいる…。

『…ミ、グミ!』

私の頭の中で流れる映像。
そこには、たくさんの花が咲き誇る花畑の中にいる幼い私の姿。

『あっ、グミヤ、みてみて!お花のわっかを作ったの!!』

満面の笑みを浮かべる私。
こんな思い出、あったっけ……?

『キレイだな。』

多分、これはグミヤという子の声だろう。
でも姿が見えない。

『はいっ、グミヤにもあげる!』
『……、ありがと。』

やっと見えたグミヤ、という男の子。美しい笑顔を浮かべていて、見入ってしまいそう。
でもそれと同時に驚きを隠せない。
まさか、彼は………



「…ミちゃん、グミちゃん!」

目の前には心配そうな表情の神威さん。
ここは現実、ならさっきのは夢?あんなリアルな夢、あるのだろうか。
私は再び、さっきのヒトを見つめた。
なんでだろう、涙がこぼれる。このヒトを見ると懐かしい気持ちになる。
そして私の口は自然と動き、小さな声で言葉を発した。

「グ…ミ、ヤ。」

その瞬間、全く動かなかった彼の口元が少し動いたのを、確かに私は見たんだ。


                            ―END―

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

記憶

なんか、よくわからない話になってしまったかもしれませんw

とにかく眼鏡がっくんが見たいですwww
カッコいいんだろうに。

そして青色の液体に浸ったグミヤくんをカメラにおさめたいw

やっぱり描写は難しいですね…ww

読んでいただきありがとうございます!

閲覧数:327

投稿日:2012/04/03 15:29:46

文字数:1,997文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 紅華116@たまに活動。

    なんかすごいww

    眼鏡のがくぽって想像したらめっちゃかっこいい!!
    可愛いって言われて照れるグミも可愛いよねww

    いつもとはちょっと変わったストーリーだけど面白かったんでブクマもらうね^^

    2012/04/05 15:13:57

    • 甘菜

      甘菜

      ブクマ&メッセージありがとう!!

      だよね!絶対、カッコいいよね!!
      ピュアなグミちゃん大好きです。

      なんかすごいww←ひえぇぇ、ありがとう!!

      2012/04/06 21:43:40

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