「失礼します」
そう言って、ドアを開けて入ってきたのは、おしとやかそうな、背の高い女性だ。
「綾奈さんですね」
「はい。よろしくお願いします」
彼女は、椅子に座った。
ここは、絵本作家の重音テッドさんの事務所、「重音舎」。
女性の前に座るのは、テッドさんと、ちょっと年上の男の人の2人。
彼女は、こんど、新しくオープンする「カフェ」の、スタッフ採用の面接に来たのだ。
「あなたは、ニコビレに入居してる人の推薦、ということですね」
「はい。綾奈咲弥(あやな・さくや)です」
「そうですか。私は、新しいカフェの経営をする一人の、重音テッドです」
テッドさんは、にこやかに言う。
彼は、となりの面接官も紹介した。
「こちら、ニコビレ...ニコニコ・デザイナーズ・ビレッジの責任者で、風祭順さん。通称“ズン”さんです」
「カフェは、私たちが共同で経営するんですよ」
ズンさんとテッドさんは、にこやかに言った。
●居心地のいいカフェに!...
ズンさんが質問する。
「あなたは、喫茶店やカフェに勤めたご経験は?」
「はい。以前はずっと、ウエイトレスをやってました。いまは、雑誌社でアルバイトをしています」
「雑誌社?」
「はい。“宝マガジン”という出版社です」
「おや、あそこですか。私も仕事をさせてもらったこと、ありますよ」
テッドさんは、メガネの縁を直しながら言う。
「テッドさんの絵本は、よく読ませていただいてます」
彼女は、微笑えみながら言った。
「ほう、それは嬉しい。どうもありがとう」
テッドさんは嬉しそうだ。
ズンさんは言った。
「新しくできるカフェ、『カフェ・つんでれ』は、こじんまりしてるけど、サービスに力を入れたいんです。居心地のいい店に、したいのでね」
テッドさんは続けた。
「ウエイトレスの方は2名、チーフになるウエイターが1名。チーフの男の人はもう決まっています」
彼女はうなずく。
「あなたが以前されてた、ウエイトレスの仕事はどんな感じでしたか?」
咲弥さんという女性は、静かに、でもはきはきと、話しはじめた。
●こんどはどんな「カフェ・つんでれ」?
その頃、ゆくりさんのお店「ゆっくり」で。
お店に来ていたテトさんが帰ったあとで、ゆくりさんとレンくんがカウンターで話していた。
「テトさん、いろいろ忙しいね。新製品も作るし、今度は新しいカフェだって?」
「そうねー。ずいぶん前に、カフェは彼女、やってたことあるけどねー」
ゆくりさんの言葉に、レンくんもうなずく。
「うんうん、僕も言ったことありますよ、昔の『カフェ・つんでれ』に」
「そうなのー」
レンくんは、カウンターの上の伝票を、トントンと揃えて、つぶやいた。
「新しいカフェは、どんな風になるのかなー? 昔のカフェには、モモさんとかが勤めてたけど」
「そうねー。そそ!そういえば、」
ゆくりさんは、それを聞いて言った。
「今度のカフェのウエイターの、吉さんっていう人。その、モモさんのお兄さんなのよー」ヾ(^^ )
(次回に続く)
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