リビングに戻ると、カレーはまだ完成していなかった。
「遥。上で宿題でもやってたの?」
「あ、ああ。やってたよ。」
本当は宿題などやっていなかったのだが、上にいた理由にはうってつけだ。
「あっそうだ。遥、あんたの電子辞書貸してくれない?明日授業で使うの。」
姉の鮎が横から話しかけてきた。
「そんなことがあるから買っておけって言ってたのに。」
「いいじゃん、近いうちに買うから。」
母と半ば口喧嘩するように姉は返した。
「分かったよ。ちょっと探してくる。」
「さっすがー!遥頼りになるー。」
「…頼りにしすぎないためにも買いなよ。」
「わかってる。わかってる。」
本当かな?その疑問を胸に遥は二階へ向かった。
電子辞書を持って降りてきたころにはカレーが出来上がっていた。鮎に電子辞書を貸してから、カレーを食べ始めた。だが、レーダーはまだ消えていない。まだ、スモークエネミーズが現れる可能性があるということだ。当然だがこの二人にも俺が魔法少年だということを伝えていない。公になればとんでもないからだ。実際、失敗も一回あったし……いや、あれを思い出すのはやめておこう。あれは忘れられない。いや、忘れてはいけないんだ。
「ちょっと!聞いてるの?」
突然声が聞こえて少し跳ね上がる。
「カレー、おいしい?」
「え、ああ、おいしいよ。」
「良かった。ずっとしかめ面で食べてたから。」
「ちょっと考え事してて。」
そのまま食べ終わり、食器を片づけて風呂に入った。
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