薔薇色の髪をした少女だった。
僕と同じくらいの歳、高校生だと思う。
珍しい髪色だったので蘇るほどに覚えている。
あの子が話しかけてくれたのはいつだったか、僕が君に心を許したのはいつだったか
今度会ったら聞いてみる事にする。
たぶん君はいないだろうけど
◇
「笑えば良いよ」
なけなしのお金で買った一眼レフを片手に立ち尽くしていた。
雨の中 傘を持たない人物が二人。
自分がどこにいるのか、目の前の少女は一体誰なのか、、、全くわからない。
ピンクと赤の間?薔薇色のような髪色をしている。
大まかにいえば場所は公園なのだが詳しくは分からない。
日本ではない選択肢も存在する。
いや、そんなこと考えれない。
目の前の少女の目線が思考を狂わせる。
ん?いま”笑えば良い”って言ったか?
というか俺に話しかけたのか?
周りを確認したが人どころか犬猫もいない
確信。
約10秒遅延の返答をした
「ぼ、僕に聞いてます?」
嚙み合わない。
何を確信したんだか、聞いてしまった。
「当たり前でしょ」
そうなのか、俺なのか。
笑えば良いって何のことを言っているんだ
てかカメラめっちゃ雨でびしょびしょだ、終わった。
いろいろな危機が頭の世界で登場する。
びしょびしょのカメラを見た後、目線を強く感じたので彼女を見ると
数分前より機嫌が明らかに悪くなっているようだった。
「・・・。」
余計に話しずらい
そして彼女はため息をついた。
◇
綺麗な青空。
授業中、飽きたら窓の景色を見る。
そんなことを何日もしていたが今日ほど綺麗な空は久しぶりに見た。
窓際の席はお気に入りなのだがそろそろ席替えの宣告が告げられるであろうと薄々感じている。
空を見るのが好きだった、だから趣味が写真を撮ることになった。
人と接するのがあまり得意ではなかった、だから窓際が好きだった。
終業、さよなら、バイバイ。
「ただいま」
自室のドアを開ける。
部屋はあまり綺麗ではない。
このままいくと写真の絨毯が客人を驚かせるだろう。
写真は大部分が夕方か夜に撮ったやつばかり。
学生なので仕方がない。
一瞬の感動に縋る日々、このまま時が進めば
幸せな未来という階段は瓦礫のように崩れ落ちるだろう
そう思いながらカメラを持ち、崩れかけの階段を進んだ。
カシャッ
夕空を撮る。
それにしても昨日は本当に変な夢を見た。
カメラを見ながらふと思う。
雨でカメラが濡れるなんて悪夢でしかない。
カシャッ
綺麗な花を見つけた。
ピンクと赤の間?薔薇色というのだろうか
すごく綺麗だった。
ただ花は暗い空より明るい空を背景にしたほうが映える。
「学校が休みの時にまた来るか」
そう呟くと自宅へ足を進めた。
「ただいま」
自室のベッドに横になって今日の成果を眺めた。
少し見ると次の写真、少し見ると次の写真
絨毯の繊維が増える。
と、ここで1枚の写真に不思議なくらいに引き込まれた。
納得のいかなかった薔薇色の花が写った写真だ。
なぜか既視感のようなものを感じた。
また見てみたい。
駆け上がった。
部屋の扉を開けて崩れかけの階段を
妙だ。
予報では一日中、雨は降らないはずだったが道を行くにつれて曇っていく。
突然の雨に備えてカメラを鞄にしまった。
さぁ、この角を曲がればあの花に会える。
そして角を曲がったとき、足が止まった。
全く違う景色、来たことがない。
否、来たことがあるかもしれない。
公園、そして薔薇色の髪をした少女
◇
彼女は僕をじっとみつめ
「今日はカメラを持ってきてないの?」
と聞いてきた
「い、いや今日も持ってきてるけど」
「そう」
この時、自分に違和感を感じた。
自然にでた”今日も”という言葉
数秒後、鞄を握る手が強くなった。
昨日見た悪夢は、カメラが雨に濡れる、、、だけではなかった
「・・・君は誰?」
彼女は何も喋らなかった。
そして表情を変えないまま首を横に振り
「私と友達になりましょう」
一言
理解できない君の存在に引き込まれていたのか
表情を変えないまま首を縦に振ってしまった。
◇
そして次の日も僕は彼女と会いに行く。
果たして君と過ごす世界は一体なんなのか、現実なのか夢なのか。
今日はアルバムも持って行く
僕が撮る写真に興味を示してくれたのだ。
自分だけのものだと思っていたものに共感してくれて正直嬉しかった。
「いい写真だね」
幸せだった。久しぶりに笑顔になった。
人と話すことなんてほとんどなかったが良いように感じた。
今日も曇りだったが薄っすらと月の輝きが僕らを照らした
◇
どれくらいの日数を重ねたか
「カメラであなたをとっても良い?」
彼女が言った
「いいよ」
君にならカメラを渡してもいい
「笑って」
昔は難しかったけど、いまなら笑顔になれる
カシャッ
フラッシュが優しく包んだ
ザアァァ・・・
急に強い雨が僕を襲う。
降る気配など微塵もなかったのに
「あれ?」
渡したはずのカメラが僕の手元にあった。
電源が点かない、壊れてしまっている。
そして
少女の姿は消えてしまっていた。
そして世界も・・・
「、、、は?」
呆然とする
「すみません、ここら辺で薔薇色の髪をした女の子見ませんでした?高校生くらいの」
何人にも聞いた。
でも答えは
「知らない」
「風邪ひくよ!」
そんな答えは求めていない。
まだ君に見せたい写真があるのに
お気に入りになってしまった君と同じ薔薇色の花の写真を君に見てほしかったのに
次の日もその次の日も君はいなかった。
そしていつしか、俺は学校を卒業して地元を離れた。
そして、カメラを捨てた。
◇
「いらっしゃいませー」
うん、今日は喉の調子が良い
「すみません、可愛らしくて綺麗なもの探しているのですけど、、、」
「そうですねー、全部おすすめできるのですが僕が一番気に入ってるのは、、、」
「こちらの”薔薇色の花”になります!」
果たして長い夢だったのか、わからない。
誰にも信じてもらえないような話・・・
そして僕は2つ強く気になって仕方がないことがある
1つは・・・
最近、久々に開いた昔の写真アルバムに笑顔の自分が写った写真があったこと
2つめは・・・
君が一度も笑わなかったこと
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