※※百合注意※※
ルカミクでルカリン。どちらかと言えばギャグ。
真の主役はメイコかもしれない……。
「痛い、痛いってば。お姉ちゃん!」
「めー姉、はーなーしーてー!」
それは自室にて新曲のイメージトレーニング中のルカの耳に飛び込んできた。
++++ メイコからの贈り物 ++++
普段から声が大きいミクとリンだが今日のはとりわけ大きい。しかも「痛い」だの「離して」だのと不穏な言葉が飛び交っていることにルカは首を傾げる。
(一体、何をやってるのかしら……)
このままでは、騒がしさと状況に対する疑問の二つの面から練習にならないと、ルカは様子を見に行くことにした。
自室のドアを開けようとしたまさにその瞬間、ドアが外から開く。そこには既に酔っているのか上気した頬でご機嫌のメイコが立っていた。
「誕生日おめでとう、ルカ!!」
「あ、ありがとう、ございます」
メイコの勢いに幾分気おされながら、ルカは感謝の意を伝える。だがその視線はメイコではなく、彼女が手にしたものへと注がれていた。
「あ、これ? これはルカに誕生日プレゼントー!」
「え? これが、ですか?」
「そっ、リボンだってちゃんとしてあるでしょ」
そう言うとメイコは手にした二つの『プレゼント』――黒に赤いラインの入ったリボンつきの緑色と、白いリボンつきの黄色――をルカの部屋へと押し込んだ。
「リボンも包装も全部ほどいて好きにしていいから」
「ああ、そういうことですか。ありがとうございます」
先ほどまで疑問を浮かべていたルカだったが、ここでようやくメイコの意図が分かり、満面の笑みを彼女に返した。
二人の会話に不吉のものを感じたのだろうか、メイコが持ってきた『プレゼント』のうち黄色い方が口を開く。
「ミク姉、今の会話ってどういう意味かな……?」
「ど、どういう意味かなー。わたしが考えてる意味じゃないといいんだけど……」
答える緑色の『プレゼント』の声からは覇気が失われていた。
『プレゼント』たちがそんな会話を交わしている間に、「じゃっ、そういうことだから」とメイコは部屋から出て行ってしまった。
残されたのはルカと二つの『プレゼント』、いやミクとリンだった。
「えーと、誕生日おめでとう、ルカちゃん」
「おめでとう、ルカちゃん」
「ありがとう、ミク、リン」
お礼を言いながらルカは二人との距離をつめる。一歩。一歩。
だが、同じようにミクも後ろへ一歩。それにつられるようにリンも後ろへ一歩。
「なぜ、逃げるのかしら」
「逃げてなんか……」
ルカとミクが話をしている隙にリンが動いた。ドアへと向かいそれを開けようとする。
だが。
「ミク姉、開かないよー!!」
「ええ!?」
ドアはリンが引っ張った位じゃびくともしない。それどころか、慌てて駆け寄ったミクが力を添えても状況は変わらない。
ドアに張り付いて何とか開けようとする二人に背後から近づく影一つ。
「二人とも観念して、『いいこと』しましょうか。せっかくメイコの好意なんだし」
ルカの声に振り返った二人が見たものは。笑顔のルカ。
そう、確かに笑顔なのにどこか怖くて。二人は頷くしかできなかった。
その後、二人がルカにどんな『いいこと』をされたのか、当事者以外、誰も知らない。
ただ翌日、二人がとても疲れていたことと、ルカが普段とは異なりやたら上機嫌だった様子が目撃されている。
おわり
おまけ
――ミクとリンがルカの部屋のドアに張り付いていた頃。
「メイコ姉、なんでルカ姉の部屋の前で、一人で酒盛りしてんのさ」
「ああ、レン。あたしはねー、門番なのよ」
「はぁ? 意味わかんね」
「いいから、レン、付き合いなさい!」
「ええー」
この家最強の人物(+巻き添え一名)によって、ルカの部屋は封じられていた。
おまけもおわり
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