全快した。大尉は意外と早かったわねと褒めてるのかどうかよく分からないことを言いながら、一等お気に入りのボトルを回復祝いと称して置いていき、少佐が本当に治ったのかこのモヤシといいながら僕をどついたぐらいで特にどうといったことはなかったけれど。取り上げられていた愛銃も返却された。今日から隊に戻ることになっているのだ。僕は廊下で消えて以来現われない。本当は結局なんだったのかさえ分からず、いまではひっそりと、あれは幻だったのだと思うようになった。いや、思い込まなくてはいけない。そんなもの、あるはずがない。久々に着込む軍服―鏡の前に立ってみればそれはもう、完璧に僕だった。「―僕は、誰だ」呟いた言葉もなにも意味なんてない、ぺたりと手をついて苦笑する。なにかが急速に消えていく。止まらないのだ。どんなに息を殺そうと気配を消そうと、決して逃れることのできない、なにかがあるのだ。僕は知っている。

「真実が進行中である―もはや何者にも止めることはできない」
踵を返して部屋を出た。鏡の中に青い影が、ひっそりと立ち尽くしていることを僕は知っている。

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アンビバレント3 (KAITO・軍パロ注意)

続いているのかどうかがよく分からなくなってきたよ!
取り敢えず同じ兄さんなのは確か。


少尉はきっとレンの予定。

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投稿日:2008/11/10 22:22:02

文字数:469文字

カテゴリ:小説

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