「ぐみ、落ち着いた?」
「うっ、うん...」
涙が止まったとたん、なんだか恥ずかしくなった。
そして泣いた後の疲労感が私を襲う。
「ぐみ、体は大丈夫?」
「えっ、うん?」
「そっか、よかった...」
屈託のない笑顔に私の胸が強く締め付けられた。
グミヤのほうが酷いケガを負っているのに、私の心配ばかり。
罪悪感を覚える反面、少しだけ嬉しい気持ちもあって。
「そんなことより、グミヤの方が!」
「そんな、だいじょ......」
「どこが大丈夫なの?!体中、傷だらけじゃん!!」
グミヤの体に巻かれた包帯やガーゼが視界に入るたび胸が痛くなって、息をするのもままならない。
私のこうなってしまったんだ、と思わずにはいられない。
「ごめんね、私のせ...っ」
言いかけた言葉は途中で遮られて、私の体はグミヤの両腕で包まれた。
グミヤの香りと温かい体温。
突然のことに心拍が一気に速くなる。
「ぐみのせいじゃないから。」
「でもっ...」
「でもじゃない。それ以上謝ると怒るよ。」
「えぇっ!?」
驚いて顔を上げると、グミヤは悪戯っぽく笑っていた。
初めて見る一面に、ドキドキしながらも嬉しくて、私もつられて笑った。
でもこの体勢、一体いつまで続くのかな?
さすがにずっとこの状態は私の心臓が、もたない。
「えっ...と、グミヤ?」
「なに?」
そんな優しい声で返されたら、‘‘この腕をどかして’’なんて口が裂けても言えない。
どうすればいいのか分からず混乱した私は、自分でも予想していなかったことを口に出していた。
「グッ、グミヤの小さい頃って、どんな感じだったの?」
私の声が部屋から消えたと同時に、なんだか部屋の空気が変わった気がした。
もしかして、聞いちゃいけないことだったのかな?
グミヤの表情も、どこか硬くなった気がする。
「グミ、ヤ?」
「......、別に普通だよ。」
そう言って微笑み、グミヤは私から離れて、窓から見える景色を眺めた。
「今と何も変わらない......」
小さく呟いた言葉を私が聞き逃すことはなかった。
そしてグミヤの瞳は、さっきまでとは違って、冷たくてまるで何も見ていないようだった。
考えてみれば、私はグミヤのことを何も知らない。
知っていることと言えば、グミヤがヴァンパイアだと言うことぐらいだ。
急にグミヤが自分とは遠い存在に感じた。
手を伸ばせばすぐ触れられるぐらい近くにいるのに。
-コンコン
「久しぶりね、2人とも。」
「ミク、さん!」
ドアの前に立っていたのは、紛れもなくあのミクさんだ。
今は白衣を着ていて、なんだか前と雰囲気が違う。
歩くたびに響くヒールの音が、それを強調する。
「なんのようだ?」
「そんな怖い目で見ないでよ。私はただ、ぐみに用があるだけよ。」
「...えっ、私、ですか?」
「そう、あなたに話があるの。」
「...?」
何だろう?
「でも、ここで話せないわ。」
「俺が聞いちゃダメってことか?」
「えぇ、そうよ。」
2人の間に流れる空気が怖くて、この場にいづらい。
どうしてこうもピリピリしているのだろう。
「え、っと、私はいいですよ。」
「そう?じゃあ行きましょう。」
どこか満足そうな笑みを浮かべて部屋を出るミクさんの後に、私も続いた。
でも、その途中、私はグミヤの方を振り返った。
グミヤは何も言わず、どこか不安げな瞳で私を見つめる。
「グミヤ...、私、大丈夫だからね!」
「...。」
わざわざそんなこと言わなくてもよかったと思う。
でもなんとなく、言いたくなった。
ただそれだけ伝えて、私はまたミクさんについて行った。
また、笑ってグミヤに会えると信じて。
コメント1
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ご意見・ご感想
紅華116@たまに活動。
ご意見・ご感想
ミクさんの白衣を想像して悶えたwww
いや、だって白衣ですぜ!?((だから何だww
ぐみちゃんとグミヤ君やばい!!めっちゃかわいい!!
今後はミクさんとピコさんが注目!?
楽しみにしてます^^
2012/06/11 19:29:17
甘菜
白衣ですぜ(笑)
悶えてもらえるなら、書きがいがあるというものですなww
ぐみちゃんとグミヤ君がやばい!!、という言葉にヤバイww
グミ廃には、たまらん言葉です!!
あいっ、早く書いて投稿しますww
2012/06/12 19:46:25